🗣️ 基礎知識・トロンボエラストグラフィ

Contents

📝 問題リスト

  • 心臓外科手術の基礎知識
    • 心臓外科手術において,体温をモニタリングする場所を挙げてください. 
    • 通常の胸骨正中切開アプローチと比較した場合の利点・欠点を説明してください.
    • 一般に開心術ではどのようなモニタリングが使用されますか(標準モニター以外で).理由も合わせて説明してください.
    • 開心術の胸骨切開時に,麻酔科医として注意することは何ですか?
    • 心臓外科手術の術野にCO₂ガスを流す理由を説明してください.
    • 心臓手術におけるトラネキサム酸の投与方法を説明してください.
    • 心臓外科手術後の再開胸止血術の適応について述べてください.
  • トロンボエラストグラフィの基礎知識
    • トロンボエラストグラフィの測定原理を簡単に説明してください.
    • トロンボエラストグラフィはどのような場合に用いられますか.
    • トロンボエラストグラムが,通常の採血によるPTやAPTT測定と異なる点にはどのようなものがありますか.
    • トロンボエラストグラフィの結果がわかるまでどのくらいの時間がかかりますか?
  • トロンボエラストグラフィのパラメータ
    • トロンボエラストグラフィのパラメータを図示してください.
    • R/CTは何を指しますか?また,このパラメータに影響を与える因子とその変化について説明してください.
    • R/CTの延長と短縮はそれぞれ何を表しますか?
    • K/CFTは何を指しますか?また,このパラメータに影響を与える因子とその変化について説明してください.
    • α角は何を指しますか?また,このパラメータに影響を与える因子とその変化について説明してください.
    • MA/MCFは何を指しますか?また,このパラメータに影響を与える因子とその変化について説明してください.
    • LY-x(ROTEM®ではLI-x)は何を表しますか?
  • トロンボエラストグラフィの様々な測定法
    • EXTEM(ROTEM®の検査.TEG®ではRapid TEG)とはどのような検査方法ですか?
    • INTEM(ROTEM®の検査.TEG®ではKaolin TEG)とはどのような検査方法ですか?
    • HEPTEM(ROTEM®の検査.TEG®ではhTEG)とはどのような検査方法ですか?
    • APTEM(ROTEM®の検査.TEG®では該当検査なし)とはどのような検査方法ですか?
    • FIBTEM(ROTEM®の検査.TEG®ではFF)とはどのような検査方法ですか?
  • トロンボエラストグラフィまとめ
    • 凝固因子欠乏ではどのような変化が生じますか?
    • 血小板機能低下,血小板不足はどの検査で調べますか?
    • ヘパリンの影響はどの検査で調べますか?(ROTEM®)
    • フィブリノゲンの影響はどの検査で調べますか?
    • トロンボエラストグラフィで線溶系の評価はどのように行いますか?
    • ROTEM®において,ヘパリンを用いない通常の手術における凝固障害の原因の検索にはどの検査を用いますか?

👥 はじめに

まっすー

トロンボエラストグラフィは最近出てますね

さらりーまん

そう.普及率はまだそれほどでもないけど(かつ点数的にも・・),心臓外科や大量出血がよくある症例を積極的にやってる病院では導入が進んでるみたいね,

まっすー

まだうちにはないですね

さらりーまん

まぁ最低限のパターンや,言葉の意味とかは知っておかないとね.普及はTEG®とROTEM®と半々くらいみたいだね

まっすー

二つあって言葉も二種類あるのがまた悩ましいですね・・.

さらりーまん

まずはどちらかで覚えよう.

Keywords

深部温 胸骨切開 トラネキサム酸 トロンボエラストグラフィ ROTEM TEG EXTEM INTEM HEPTEM APTEM FIBTEM 血小板機能 凝固因子欠乏 フィブリノゲン ヘパリン 再開胸 止血術

🤔 心臓外科手術の基礎知識

Q. 心臓外科手術において,体温をモニタリングする場所を挙げてください. 
  • 膀胱温,食道温,直腸温,皮膚温,血液温(肺動脈カテーテル)などです.鼓膜温を用いる施設もあると思います.
  • 直腸温はう○こ温のこともある上に,知らない間に脱落することもあります.また外界とも近いので中枢温としての信頼度は低いです.
  • 以下の中枢温の指標について一言ずつ.
    • 食道温:心臓に近く,迅速な変化を反映
    • 膀胱温:尿量の影響を受けるが,安定した測定が可能
    • 血液温(肺動脈カテーテル必要):最も正確だが,侵襲的
    • 鼓膜温:非侵襲的だが,測定の安定性に注意が必要
  • 末梢温は末梢循環の評価に有用ですね.中枢温との開きが大きいとシバリング必発・・.
Q. 通常の胸骨正中切開アプローチと比較した場合の利点・欠点を説明してください.

MICS特有のリスク評価

  • 血管アクセス評価: 大腿動静脈カニュレーションのため,下肢血管評価が必須です(本症例では有意狭窄なし).大動脈の粥状硬化評価も逆行性塞栓リスク評価のため重要です.
  • 低酸素血症リスク: 片肺換気の必要性があり,術中低酸素血症のリスクあり(肺の状態はそれほど悪くないが)
  • 神経合併症リスク: 大腿動脈カニュレーションによる逆行性灌流に伴う脳合併症リスク.
  • 末梢灌流不全リスク: 大腿動脈カニュレーションによる下肢虚血リスク.
  • CO₂ガス塞栓リスク: 術野展開のためのCO₂送気に伴うリスク.

胸骨正中切開との比較

  • 利点としては,創部痛の軽減,呼吸器合併症減少,回復期間の短縮,美容的な利点,出血量減少の可能性があること
  • 欠点としては,手術時間延長,人工心肺時間延長,技術的難易度の上昇(低侵襲手技・術野の物理的な制限),片肺換気が必要になること,大腿動静脈カニュレーション関連合併症(下肢虚血,血管損傷,解離,塞栓)リスク,CO₂ガス塞栓リスクがあること などです.
Q. 一般に開心術ではどのようなモニタリングが使用されますか(標準モニター以外で).理由も合わせて説明してください.
  • 動脈ライン(血圧変動の早期発見),
  • オキシメトリ付きCVカテーテル(CVP,ScvO₂)or 肺動脈カテーテル(右心系評価,PAWP):前負荷の指標,静脈血酸素飽和度測定による,心拍出量や酸素需給バランスの評価
  • NIRS:脳虚血の早期発見.特に頸動脈の狭窄がある場合.左右差に注意.
  • BIS:麻酔深度の指標.特にCPB中はプロポフォール投与が多いため.
  • TEEによる心機能評価・前負荷評価も用いられます.
  • トロンボエラストグラフィ:TEGやROTEM.適切な血液製剤の使用のため.

【参照】NIRSについては こちら から(noteはこちら)

【参照】CVC・PACに関しては こちら (noteはこちら)

Q. 開心術の胸骨切開時に,麻酔科医として注意することは何ですか?
  • 鎮痛が不十分な場合,血圧の急上昇が起きます(その後の開胸器装着でさらに).
  • 切開前までにフェニタニルの追加投与やレミフェンタニルの持続投与量を増加させておきます.
  • また,ボーンソーによる肺損傷のリスクがあるため,一時的に換気を中止し,肺を虚脱させます.
Q. 心臓外科手術の術野にCO₂ガスを流す理由を説明してください.
  • 空気塞栓予防が主な目的です.
  • CO₂は空気より比重が重く,また血液への溶解度が高いため,心腔内や血管に入っても速やかに血液に溶解して塞栓のリスクを減らすことができます.
Q. 心臓手術におけるトラネキサム酸の投与方法を説明してください.
  • 麻酔導入後〜手術開始後早期に負荷投与(1g程度)を行います.
  • その後,維持投与(1g程度)を人工心肺中に追加します(体重換算では,負荷量10〜20mg/kg,維持量1〜2mg/kg/時程度)です.
  • 確立された投与方法はありません.初回投与のみを行う施設もあります.
  • 総投与量は5g程度にとどめます(痙攣のリスクあり

【参照】トラネキサム酸については こちら (noteはこちら)

Q. 心臓外科手術後の再開胸止血術の適応について述べてください.
  • 心タンポナーデや縦隔からの出血.出血が原因の低血圧,低心拍出量が継続する時,通常の蘇生法に反応しない心停止の場合に戻ってきます!
  • 出血量としては,400mL/時または200mL/時の出血が2時間以上継続するとき,24時間の出血量が2Lを超えるときなどです.
  • 看護師さん『さっき出た患者さん戻ってきまーす!』・・・メンタルやられますね(..)
  • 施設によっては,急性大動脈解離など止血に難渋するのが予想出来る場合,早々にガーゼパッキングして退室し,復温や凝固系の是正をICUで行って,改めて閉じに戻ってくるようにしている場合があります(予定止血術).

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