☢️ 自然被爆・医療被爆・職業被曝・・・その違いは!?

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♦️ そもそも放射線とは?被曝とは?

 ごくごく簡単に言うと放射線とは「飛んでくる目に見えないエネルギー」だと思ってください.

 目に見えるエネルギーである拳👊(笑)が顔面に当たれば血が出たり腫れたりするように,目に見えないエネルギーである放射線も私たちの体(組織)に吸収されてダメージを与えます.(ちなみに放射線の中には「電離放射線」と呼ばれるものがあり,X線やγ線など医療や原子力関連で問題になるのはこちらです.電波や赤外線などの「非電離放射線」は今回の話からは除きますね).

そして,放射線のダメージは殴られた時のようにすぐに見えるものもあれば時間が経ってから現れるものもあります


♦️ 被曝の種類その①:外部被曝と内部被曝

 被曝の仕方には,外部被曝と内部被曝があります.

 一般的なレントゲンやCT,カテーテル検査・治療における被曝は,外からやってくる放射線を浴びるので「外部被曝」です.

 一方で「内部被曝」とは,放射性物質が食物やガス(例:ラドンガス,あるいは原発事故で問題になったヨウ素131など)を通じて体内に入ることで生じます.

一般的な医療関係の被爆は「外部被爆」


♦️ 被曝の種類その②:公衆被曝,医療被曝,職業被曝

🔷 公衆被曝🍀

 放射線は宇宙からも降り注いでいて(地球規模で磁場や大気などにより守られています),弱いながらも今もそこかしこに飛び交っています.

 自然界の土壌にも微量ながら放射性物質が含まれており,それらによる被曝を「自然放射線被曝」と呼びます.身近な例では,バナナなどに含まれるカリウム40によるごくわずかな被曝もあります.

 また,人為的な放射線源(大きなものでは原子力発電所,小さいものでは実験室や工場にある放射性物質)により,そういった職業に従事する者以外が受けてしまう被曝を合わせて「公衆被曝」と呼びます.

 公衆被曝は原子力発電所の大きな事故がない限り,自然放射線被曝や公衆被曝のレベルは健康に影響を与えるものではありません


🔷 医療被曝🏥

 医療被曝とは治療を受ける患者さんが受ける放射線被曝のことで,通常のレントゲン検査やCT検査,放射線治療(γ線など)も含まれます.

 ここでのポイントは線量限度がないということです(下記の職業被曝は限度がある).

 線量限度とは,放射線からの悪影響をできるだけ防ぐことを目的に設定されている数値で,医療従事者だけでなく宇宙飛行士にも設定されています(宇宙兄弟でも言及がありました!).

 医療被曝には「放射線検査や治療による被曝というデメリットを,それによって得られるメリットが上回る」という前提があります.また,状態が異なる個々の患者さんに一律の線量限度を設けることは難しいため,医療被曝には線量限度が設けられていません.

 ただし,特にカテーテル検査・治療の場合などは,治療部位以外(特に生殖器)の被曝を最小限に抑えるために,防護衣や他の防護手段を適切に使用する必要があります.

🤔【参考資料】環境省 診断で受ける放射線量(環境省ホームページ)


🔷 職業被曝🧑‍⚕️

 職業被曝とは,私たち医療従事者をはじめ,様々な放射性物質を扱う人びとが受ける放射線被曝のことです.

 職務上最低限の被曝は避けられないため,年間(生殖年齢女子は3か月)で受けることが許容される最大の放射線量=「線量限度」が設けられています(具体的な線量などの詳細は別記事参照).

 患者さんは医療機器から発せられる放射線を直接浴びますが,この放射線の一部は検知器に届き,一部は患者さんの体組織に吸収され,さらに体表面や組織に当たってさまざまな方向に飛んでいきます(=散乱線).医療従事者はこの散乱線による被曝を主に受けることになります

 その被曝の程度をチェックするために,職業従事者は適切な部位に蛍光ガラス線量計(通称ガラスバッジ)をつけて仕事を行い,1ヶ月ごとに回収されて被曝線量のチェックを受けます⤵️.

 また,術中手技によっては指の被曝が多いため,リング型線量計を使うこともありますし,最近はリアルタイムで確認できる電子式個人線量計も利用されます.

 適切な防護具の使用と定期的なチェックがなされている限り,通常は線量限度を超えることはほとんどありません


📝 まとめ

  • 放射線は私たちの身近に存在し,自然界からも常に浴びていますが,原子力発電所や一部の研究所等の事故出ない限りは,健康に影響を与えることはありません.
  • 医療現場では,患者さんにとっての利益と被曝リスクのバランスを考慮しつつ,医療従事者は防護具や線量管理を徹底することで,基本的に安全に働くことができます.

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