🎐 手術室の空気環境ってどうなってる?🤔

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🤔 手術室の空気環境はなぜ大切か

手術室の環境管理というと,空調や換気などの「設備の話」と考えられがちです.しかし実際には,手術室の空気を清潔に保つことは,手術部位感染(SSI)やその他の感染症対策にも関わる,医療安全上とても重要なテーマです☝️.

大切なのは,「空調設備があれば,自動的に清潔な環境が保たれるわけではない」という点です.空気の流れは,扉の開閉,入室人数,機器の置き方など,手術室内での人の行動にも左右されます.つまり,手術室の空気環境は,設備と医療従事者行動の両方で管理する必要があるものと考えましょう😊

また,もちろん空気環境の管理だけで手術部位感染を「完全に防げる」わけではありません.あくまで複数ある感染対策のひとつとして,「リスクを下げることに関わる要素」です.

☝️まず4つの言葉を分けて考える:空調・換気・清浄度・室圧

手術室の環境管理を理解するとき,厳密な意味としてわかりにくいのがが用語です.似た言葉が並ぶので,まずは正確な意味を知っておきましょう.

  • 空調は,温度,湿度,気流,空気の清浄などをまとめて扱う,いちばん広い概念です.
  • 換気は,その中でも「空気を入れ替える」という考え方を指します(これはわかりますね).
  • 清浄度は,「その場所の空気をどのくらいきれいに保つか」という考え方です.手術室,ICU,感染症区域などでは,求められる清浄度が異なります.
  • 室圧は,「空気をどちらの方向へ流すか」という管理で,陽圧・陰圧という言葉で表されます(コロナの時期にはよく聞いたと思います).

ここで押さえておきたいのは,これらは別々の概念だということです.「換気回数さえ満たせば,手術室の空気環境は十分」というわけではありません.また,後で出てくる「清浄度」と「HEPAフィルタの性能」も,似ているようで別物です.混同しやすいポイントなので,言葉を分けて理解しておきましょう.

なお,換気回数,室圧差,清浄度クラスといった指標は,参照する基準の体系が異なることがあり,同じ土俵で単純に比較しにくい点にも注意が必要です.

💨 通常の手術室では陽圧管理が基本

通常の手術室では,周囲の廊下や隣の区域から空気が流れ込みにくいように,手術室側の気圧をやや高く保つ「陽圧管理」が基本とされています.イメージとしては,「手術室の中から外へ向かって空気が出ていく方向」をつくることで,外側の相対的に清潔でない空気が手術室へ入りにくくする,という考え方です.手術室受付の小窓を開けたりしたとき,中から風が吹いてきますよね🎐 ?

室圧差の具体的な数値は,参照する設備基準や施設設計によって異なります.そのため本記事では,個々の数値よりも,「周囲から空気が流入しにくいように陽圧を維持する」という目的を押さえることを重視します.実際の基準値は,施設方針と最新版の資料で確認してください.数値そのものより,「なぜ陽圧にするのか」を理解しておきましょう☝️

一方で,「手術室は常に陽圧」というわけではありません.空気感染リスクのある感染症患者の手術等では,通常とは異なる対応が必要になる場合があり,その際は施設の感染対策方針に従うことになります.

🪟 換気とHEPAフィルタの役割

清潔な空気環境を保つためには,十分な換気と,清浄な空気の供給が重要です.

換気については,手術室では一定以上の換気回数と外気の導入が求められます(代表的な基準の一例として,総換気回数15回/時以上,外気導入3回/時以上などがあります).
高度な清潔環境が求められる区域では,より多い換気回数が設定されることがあります.具体的な数値は参照する基準や施設設計によって異なります.
要は,「換気によって空気を入れ替え,清浄な空気を供給し続ける」が目的です.

清浄な空気の供給を支える要素のひとつがHEPAフィルタです.HEPAフィルタは,外気や再循環させる空気に含まれる微粒子を取り除き,清浄な空気を供給するために使われます(私は初めて聞いたとき,ヘパリンフィルタだと思ってました😅).
ただし,手術室の清浄度はフィルタだけで決まるわけではありません.換気,室圧,気流,扉の開閉,入室人数などと合わせて考える必要があります.特にTKAやTHAなど,人工関節などの人工物を植え込む手術では,施設基準や手術内容に応じて,より清浄な空気環境が重視されることがあり,HEPAフィルタを介した空気供給も重要な論点になります(術者も”宇宙服”と言われるような姿で手術してますよね😁).

前述したように,注意したいのが,「HEPAフィルタの性能を表す数値」と「清浄度クラス」は別の指標だという点です.HEPAフィルタがあれば清浄度がすべて保証されるわけではありません.また,「フィルタさえあれば,扉の開閉や入室人数は気にしなくてよい」というわけでもありません.

空気の流れ,つまり気流にも,設計上の考え方があります.一般的には,天井側から供給された清潔な空気が,術野の周囲を経て排気側へ流れるように設計されます.ただし,すべての手術室が同じ気流設計とは限りません.供給口や排気口の配置など,施設の設備によって異なります.

✨ 清浄度を乱すのは設備だけではない

ここまで設備の話をしてきましたが,手術室の清浄度を左右するのは設備だけではありません.医療従事者の現場での行動も大きく影響します.

代表的なのが,扉の開閉と入室人数です.扉を頻繁に開け閉めしたり,人が出入りしたり,入室する人数が多くなったりすると,空気の流れや室圧,清浄度に影響します.つまり,スタッフ自身も空気を汚す要因,つまり汚染源になりえます.だからこそ,機器の搬入や人員の移動など必要な場面を除いて,扉の開閉や入室人数はできるだけ最小限にする,という考え方が大切になります(二重にドアがあるような部屋では,片方のドアが閉まってから次のドアを開けますよね?).
走ったりするのもダメですよ!笑🙅

もうひとつが,機器の置き方です.排気口やリターンガラリ(空気の戻り口),気流の通り道を,医療機器や物品でふさいでしまうと,空気の流れが乱れて清浄度の維持に影響することがあります.「清潔な空気の通り道をふさがない」と意識しましょう.以外と意識から外れがちなところです.

これらは,医師だけでなく,手術室にいるチーム全員が関わる行動です☝️.

🦠 例外として考える空気感染リスク患者

ここまでは通常の手術室を前提に説明してきました.しかし,結核などの空気感染リスクがある患者では,通常の陽圧管理とは異なる対応が必要になる場合があります.

通常の手術室の陽圧管理は,「外の空気を手術室へ入れない=患者や術野を守る」ことが主な目的です.一方,空気感染リスクのある患者では,「手術室内の空気を周囲へ広げない」という配慮が必要になることがあります.なお,空気感染対策で用いられる陰圧の空気感染隔離室(AIIR)は,もともと隔離室の考え方であり,通常の手術室の運用とは区別して理解しておくとよいでしょう.

ただし,そうした感染症リスクのある患者の手術では「どの施設でも必ず手術室を陰圧にする」という意味ではありません.陰圧対応が可能な部屋の有無,換気設備,手術の緊急性,感染対策チームの方針によって対応は変わります.重要なのは,通常手術室の陽圧管理と,空気感染リスク患者で求められる隔離・曝露低減の対策を,分けて考えることです.

具体的には,緊急手術時のN95またはDS2相当の呼吸用防護具の使用,挿管・抜管時の曝露対策,ポータブルHEPAフィルタの活用などが検討されることがあります.こうした運用は施設ごとに大きく異なるため,感染対策チームや手術部門の方針に従うことが前提です.本記事では,「通常管理と例外管理は分けて考える」という点を押さえておいてください.

✏️ 周術期管理チーム試験で押さえるポイント

このテーマを試験対策として整理しておきましょう😊

暗記寄りの項目としては,陽圧と陰圧の違い,換気,HEPAフィルタ,清浄度,高度清潔区域といった基本用語が挙げられます.

理解しておきたいのは「なぜそうするのか」です.なぜ扉の開閉を減らすのか,なぜ入室人数を絞るのか,なぜ気流を妨げないのか.こうした運用の理由を説明できるようにしておくと,数値を問う問題だけでなく,考え方を問う問題にも対応しやすくなります.

あわせて,混同しやすいポイントも整理しておきましょう.

  • 通常の手術室は陽圧が基本ですが,空気感染リスクのある患者では例外があります.
  • HEPAフィルタの性能を表す数値と,清浄度クラスは同じものではありません.
  • 空調設備だけでなく,扉の開閉・入室人数・機器配置といった行動も重要です.
  • 高度な清潔環境が求められる手術室では,清浄度や換気などで要求が異なる項目があります.

これらは,試験でも臨床でも取り違えやすいポイントです.数値だけを丸暗記するのではなく,「数字」と「その理由」をセットで理解しておくことをおすすめします.

📝 まとめ:空気環境は設備とチーム行動で守る

🔑 Key Points

  • 手術室の環境管理は,陽圧管理,換気,清浄度,HEPAフィルタ,気流,扉の開閉,入室人数といった要素が,「清潔な空気環境を保つ」という共通の目的でつながっているテーマです.
  • 周術期管理チーム試験対策では,陽圧管理や換気などの考え方を整理しておきたいところです.ただし,数字だけでなく,「なぜその管理が必要なのか」という運用の理由を理解しておくことが大切です.空調設備は施設が整えるものですが,清浄度は設備とチームの行動の両方で守るもの,と整理しておくとよいでしょう.
  • なお,本記事で触れた換気回数などの数値は,あくまで代表的な基準の一例です.実際の基準は施設や参照資料によって異なるため,最終的には施設方針や最新版の資料で確認してください.

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📚 References & Further reading

  • Centers for Disease Control and Prevention. Appendix B. Air. Guidelines for Environmental Infection Control in Health-Care Facilities. 2024 update.
  • Centers for Disease Control and Prevention. Summary of Recommendations. Guidelines for Environmental Infection Control. 2024 update.
  • 厚生労働省掲載資料.手術室の換気.年不明.
  • 木内淳子,江原一雅,戸田満秋.手術室の空調と環境整備.日本臨床麻酔学会誌.2017;37(3):369-379.
  • 日本環境感染学会.換気に関する基礎知識.年不明.
  • ANSI/ASHRAE/ASHE Standard 170-2021. Ventilation of Health Care Facilities. 2021.
  • Centers for Disease Control and Prevention. Glossary: Airborne Infection Isolation Room (AIIR). 2024.
  • Centers for Disease Control and Prevention. C. Air. Infection Control. 2024.

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