🗣️ 脳外科領域の合併症

Contents

📝 問題リスト

  • 共通合併症
    • 術中に脳血流の低下(NIRS等で)が疑われたときにはどのように対処しますか.
    • 術中〜術後(覚醒後・抜管前)に痙攣が起きた場合はどうしますか.
  • 脳出血・くも膜下出血後の合併症
    • 脳出血・くも膜下出血手術の周術期に生じることのある,神経学的合併症を挙げてください.
    • 脳動脈瘤クリッピング中における再破裂(や未破裂動脈瘤の破裂)による大出血が生じた場合,どのように対応しますか.
    • 消化器外科手術などに比べ,脳神経外科手術(脳腫瘍など)で輸液を制限する理由は何ですか?
    • 過灌流症候群とは何ですか?
  • 脳腫瘍摘出術の合併症
    • 後頭蓋窩腫瘍にはどのようなものがありますか?
    • 後頭蓋窩腫瘍摘出術における,術中・術後の代表的な合併症を挙げてください.
  • 経蝶形骨洞下垂体腫瘍切除術の合併症
    • 経蝶形骨洞下垂体切除術の主な術後合併症を挙げてください.
    • 尿崩症ではどのような所見が見られますか.
    • 尿崩症への対応はどのように行いますか.

👥 はじめに

まっすー

昔は脳血管攣縮がよく問われていたんでしたっけ

さらりーまん

そうね.あとは過灌流症候群とかね.とりあえず脳外科手術自体の合併症に関してはここで取り上げているところを押さえておけば大丈夫かと.

まっすー

やっぱりrSO₂が下ったり左右差が出たりすると嫌ですね.

さらりーまん

あんまり血圧あげたり輸液すると脳外科の先生は嫌がるけど,脳虚血はもっと問題だから灌流圧の維持は超大事.

Keywords

痙攣発作 脳血管攣縮 過灌流症候群 尿崩症 くも膜下出血 脳虚血 脳血流低下 脳浮腫 NIRS

🤔 一般的な合併症

Q. 術中に脳血流の低下(NIRS等で)が疑われたときにはどのように対処しますか.
  • まず換気・循環が保たれているかの評価を行います.
  • 原因検索として,血圧低下,心拍出量低下,換気異常,手術操作の影響,頭位の影響などを確認します.
  • 対応としては,適切な輸液・輸血管理による循環血液量の最適化,昇圧薬による平均動脈圧の維持(最低60〜65mmHg以上)適切な呼吸器設定(過換気の是正,適切なETCO₂の維持).頭位は可能な範囲で中立位にします.
  • 手術操作が原因と思われる場合には,必要に応じて手術操作の一時的な中断を検討します.
  • 両側ともに低下する場合は,ほぼほぼ灌流圧の低下かと思われますので,十分な輸液と昇圧を行いましょう.
  • 片側のみの低下の場合,シールの剥がれなどなければ血栓による脳梗塞等の可能性もあります.

NIRSについては こちら (noteはこちら

Q. 術中〜術後(覚醒後・抜管前)に痙攣が起きた場合はどうしますか.
  • 術中であればまず一旦中断し,脳表の冷却等を行うこともあります
  • どちらの状況でも,プロポフォールやミダゾラムなどのベンゾジアゼピン系薬物を痙攣が収まるまで投与します.痙攣予防にフェニトイン15〜20mg/kg程度(最大250mg)を15〜20分ほどかけて点滴静注します(血圧低下,徐脈要注意).
  • 抜管前の痙攣では抜管は中止し,状態が安定するまで鎮静を継続します.
  • 原因検索のため,電解質,血液ガス分析,頭部CT(出血や脳梗塞)を行い,原因に応じて対応します.瞳孔もチェックしておきましょう.
  • 再出血や脳梗塞など緊急性の高い所見がなければ,ICUで経過観察を行います.
Q. 消化器外科手術などに比べ,脳神経外科手術(脳腫瘍など)で輸液を制限する理由は何ですか?
  • 脳浮腫の軽減や予防のためです.
  • 正常な脳では,血液脳関門(Blood Brain Barrier:BBB)が血管内と脳実質間の物質移動を制御しています.
  • 脳腫瘍や脳損傷,脳梗塞,脳出血等が生じると,そのBBBが不完全となり,この状態で過剰な輸液を行うと,血管内から脳実質への水分移動が増加し,容易に脳浮腫を引き起こす可能性があります.
    脳には脳実質と血管との間に血液脳関門(Blood Brain Barrier)という機構が存在しているが,脳損傷や脳梗塞,脳出血,脳腫瘍ではその機構が損傷部位において破綻してしまう(腫瘍内血管はそもそもBBB機構がない).
  • 腫瘍内の新生血管はそもそもBBB機構がなく,また腫瘍の周囲組織のBBBも障害されてしまいます.
Q. 過灌流症候群とは何ですか?
  • 主に頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術後に発生する合併症です.
  • 狭窄により慢性の虚血が生じると,その部位の血管の自動調節能が失われてしまっています.その状態で血流が再開通すると,術後数時間から2週間の間に急激な脳血流増加が起こることがあります.
  • その結果,頭痛や痙攣,意識障害,局所神経症状が出現し,重症例では脳浮腫や脳出血を引き起こす可能性があります.
  • 狭窄部位より遠位の血管が最大限拡張していて,収縮がうまくできないため,血圧が上がると脳血流もびゅんびゅん長れるイメージですね.
  • そのため,CEAやCASの術後には,脳外科医が血圧のコントロールにめっちゃ気を払いますよね.

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