📌 Quick-Tip:術前肝機能評価の知っておきたいポイント

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♦️ Introduction

肝硬変をもつ62歳の患者さんが予定手術を控えています.🩺
「どの検査値を見ればリスクがわかるのか?」を整理しておくことで,術前に高リスク例を見抜くことができます😊☝️

🔷 基本となる肝機能検査

まずはAST,ALT,ビリルビン,アルブミン,PT-INRといった基本検査.
これらは肝予備能と合成能を反映し,最初に確認すべき項目ですし,採血で簡単に評価できます👍

既知の肝疾患がある場合は,Child-Pugh分類MELDスコアがいまでも標準的評価ツールです.数値を全て覚えるのは大変ですが,いつでも見れるところに貼っておいたり,スマホに保存しておいたりしましょう📲

Child-Pugh CまたはMELD >15は原則として選択的手術を避ける指標です。

また,血小板数 <10万/µLは門脈圧亢進や高度肝障害の反映の可能性があり,術後回復遅延や肝障害リスクを独立して高める重要なサインです.

♦️ 注意すべき臨床所見 ⚠️

以下の項目は周術期の肝障害リスクを示す「赤信号」です:

  • AST/ALT・ビリルビンの上昇
  • アルブミン <3.0 g/dL
  • PT-INR延長
  • サルコペニア・栄養不良・フレイル
  • 麻酔時間5時間超の手術

特にサルコペニアや栄養不良は,術後死亡率上昇と強く関連すると言われています.
近年のガイドラインでは,栄養介入・術前リハビリ(prehabilitation)が推奨されています.

🔷 揮発性麻酔薬とTIVA

セボフルランなどの揮発性麻酔薬で肝障害が報告された例は稀で,多くは軽症です.かつてのハロタンは高率に肝障害を生じるとされていましたが(ハロタン肝炎の名称で有名),現在はほぼ臨床使用はされていません.

TIVA(静脈麻酔)は,過去に麻酔関連肝障害を起こした例や重症肝障害例では選択肢になり得ますが,必ずしもTIVAのほうが安全と断言できる根拠はありません.
患者背景を踏まえた個別判断
が重要ですが,よほどでない限り,どちらでもOKですね😊.

🔷 リスク予測モデル 📈

VOCAL-Pennスコアは複数の要素を組み合わせ,術後死亡リスクをより正確に予測できる新しいモデルです.
2025年ACGガイドラインでも,多因子評価とチームによる意思決定が推奨されています.



📝 まとめ:Take Home Points

  • Child-Pugh/MELDスコア,アルブミン値,血小板数,PT-INRなどに加えて,栄養状態とサルコペニアの評価も重視しましょう☝️

参考文献:
ACG Clinical Guideline (2025)/Zhong ら, Risk Factors for Postoperative Liver Abnormalities (2025)

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