📌 Quick-Tip:手術前の糖尿病薬中止タイミング,覚えてる?🤔

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♦️はじめに

糖尿病薬を数種類内服している患者さんが,来週手術を予定しています.
さて,どの薬を早めに中止し,どれを手術直前まで継続してよいのでしょうか?🤔

それほど厳密に意識されていない場合もあるかもしれませんが,このタイミングを誤ると,ケトアシドーシスや重度低血糖といった重大なトラブルを引き起こす可能性があります.
今回は,周術期での各薬剤の「中止タイミング」を簡単に整理しておきましょう😊☝️


⚖️ 薬の種類ごとの中止タイミングを知る🤔

糖尿病治療薬は種類がたくさんあり,作用機序もさまざまです.
そのため,手術前に中止すべき時期も薬剤ごとに異なります


⚠️ SGLT2阻害薬:最も早く中止が必要

  • 手術の3日前に中止(カナグリフロジン,エンパグリフロジン,ダパグリフロジンなど)
  • 正常血糖でも起こりうる正血糖性ケトアシドーシス(euDKA)を防ぐためです.
  • ☝️これが最重要ポイントです.

💊 メトホルミン(ビグアナイド系):1〜2日前に中止

  • メトホルミンビグアナイド系薬に分類され,肝での糖新生を抑え,末梢でのインスリン感受性を改善します.
  • 手術前日または当日朝に中止し,乳酸アシドーシスを防ぐことが推奨されます.
  • 特に腎機能低下・脱水・低血圧・造影剤使用などがある場合はリスクが高くなります.
  • ✅ 再開は術後の腎機能が安定してから行います.

🍽️ スルホニル尿素薬・グリニド系:前日中止

  • これらはインスリン分泌促進薬に分類され,絶食時に低血糖を起こしやすい点が要注意です.
  • グリメピリド,グリベンクラミド,レパグリニドなどは手術前日または当日朝に中止します.
  • 食事再開後に安全に再開可能です.

💊 DPP-4阻害薬:多くの場合は継続可

  • 低血糖リスクが低い(シタグリプチン,リナグリプチンなど).
  • ただし大手術や長時間絶食を伴う場合は,当日朝の投与を控えることが多いです.
  • 術後,最初の食事から再開してOKです.

🧬 GLP-1受容体作動薬:製剤によって異なる

  • 週1回製剤:手術1週間前に中止(胃排出遅延により誤嚥リスク↑)
  • 毎日製剤手術当日の朝に中止
  • 経口摂取が可能になったら再開します.


📝 まとめ:Take Home Points

  • 糖尿病薬の中でも,SGLT2阻害薬は必ず手術3日前に中止しましょう.これを見逃すと,正血糖性ケトアシドーシスを起こす危険があります.
  • また,腎機能・手術侵襲・栄養状態に応じて柔軟に調整することも大切です.
  • SGLT2阻害薬:手術3日前に中止 → ケトアシドーシス予防.
  • メトホルミン(ビグアナイド系):1〜2日前に中止 → 乳酸アシドーシス防止.
  • SU薬・グリニド系:前日中止 → 低血糖防止.
  • DPP-4阻害薬:多くは継続可,ただし大手術では中止も考慮.
  • GLP-1作動薬:週1→1週間前,毎日→当日朝中止.
  • 再開は食事・腎機能の安定後に行う.
  • ⬇️には海外の文献を載せていますが,ネットで検索するといろいろな施設の周術期薬剤中止プロトコルが出てきます.細かなところが各施設で違ってたりするので,ご自分の病院のものと比べてみるのもいいですね😊

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