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♦️ はじめに
「同じ手術なのに、昔と今では患者さんの回復スピードが全然違う!」
昔から周術期管理に携わっている医師や看護師さんの中には,そう感じている方々も多いのではないでしょうか?
実はその理由,ERAS(術後回復促進プログラム:Enhanced Recovery After Surgery) にあります(といってもそんなに最新の概念ではありませんが・・😅).
これはエビデンスに基づいた多職種チームによるアプローチで、術後の回復を早め、入院期間を最大30%短縮できると報告されています。
🩺 ERASとは🤔?
ERASは,周術期のストレスを最小限にする多面的のケアの体系です.
「昔ながらの慣習」を捨て,科学的根拠に基づく介入を術前・術中・術後に組み合わせて行います.
☝️主な構成要素:
- 術前最適化:栄養指導、炭水化物負荷、長時間絶食の回避
- オピオイド節約的鎮痛:多剤併用(マルチモーダル)鎮痛で麻薬使用を最小限に
- 早期離床・早期経口摂取:術後数時間で歩行・摂食を再開
- 低侵襲手技の活用:可能な限り侵襲の少ない術式を選択
⚙️ なぜERASは効果があるのか🤔
ERASの真の強みは,「チームで取り組む一貫性」にあります.
外科医,麻酔科医,看護師,栄養士さんなど多職種が,同じ方針のもと連携することで,
実践率が70%を超えると――
- 合併症の減少
- 入院期間の短縮(20〜最大30%)
- 患者満足度の向上
が得られると報告されています。
2025年7月に公表された「Enhanced Recovery After Trauma and Intensive Care(ERATIC)」ガイドラインは,ERAS SocietyとIATSIC(国際外傷外科学・集中治療学会)の合同で策定されたもので,外傷・重症患者における早期回復プログラムの国際基準を提示しています.
その後,2025年8月から9月にかけては,「Guidelines for perioperative care in elective colorectal surgery: ERAS Society recommendations 2025」が改訂され,消化器外科領域の最新エビデンスに基づく推奨が更新されました.
これらの新しいガイドラインは,2025年9月にイタリア・トリノで開催された第11回ERAS World Congressにおいても大きく取り上げられ,今後の周術期管理の国際的方向性を示す重要なアップデートとされています.
💡 まとめ:
ERASは一つの介入ではなく、「チームで作り上げるシステム」です.
すべてのスタッフが一貫して取り組むことで,手術の安全性と回復スピードが格段に向上します👍
