📘【想定問題】冠動脈バイパス術(off-pump)

📘 専門医試験対策目次

症例設定

【患者】

  • 72歳男性.165cm,62kg(BMI22.8)

【現病歴】

  • 10年前より狭心症と診断されている.
  • 最近,労作時胸痛が増悪し,当院循環器内科を受診した.冠動脈造影でLAD,LCx,RCAに高度狭窄を伴う三枝病変を認め,OPCABの方針となった.
  • 糖尿病性腎症による慢性腎臓病があり,腎機能は悪化傾向である.維持透析はまだ開始されていないが,将来的な腎代替療法導入が検討されている.

【既往歴】

  • 糖尿病
  • 糖尿病性腎症による慢性腎臓病
  • 高血圧症
  • 脂質異常症
  • 狭心症
  • 喫煙歴:40本/日×40年,現在は禁煙中

【服用中薬剤】

  • アスピリン 100 mg/日
  • カルベジロール 10 mg/日
  • アムロジピン 5 mg/日
  • インスリン グラルギン 12単位/日
  • アトルバスタチン 10 mg/日
  • 炭酸ランタン 750 mg/日
  • カルシトリオール 0.25 μg/日
【主な検査所見・バイタルサインなど】
  • WBC 6,800/μL,Hb 10.5 g/dL,Plt 18.5万/μL
  • PT-INR 1.05,APTT 32秒
  • BUN 85 mg/dL,Cr 4.8 mg/dL,eGFR 14 mL/min/1.73 m²
  • 尿蛋白3+
  • Na 138 mEq/L,K 5.2 mEq/L,Cl 102 mEq/L
  • 血糖156 mg/dL,HbA1c 7.8%
  • 心エコー:LVEF 45%,左室肥大,前壁の局所壁運動異常
  • 心電図:洞調律,左室肥大,V2–4でST低下
  • 胸部X線:CTR 64%,軽度肺うっ血
🖥️【手術室入室時所見】
  • 意識清明
  • 血圧135/85 mmHg
  • 心拍数78/分
  • SpO₂ 95%(鼻カニュラ2 L/分)
  • 体温36.5℃
  • 呼吸数18回/分
Q1. 本症例の主な術前問題点を4つ挙げ,それぞれへの対応を述べてください.

🔵 問題点

  • ①高度三枝病変による心筋虚血リスク
  • ②LVEF低下と肺うっ血を伴う心機能低下
  • ③透析未導入CKD G5と軽度高カリウム血症
  • 糖尿病です.

🔵 対応

  • 心筋虚血に対しては,頻脈,著しい血圧変動,低酸素血症,貧血の進行を避けます.
  • 心機能低下に対しては,循環血液量不足と過剰輸液の両方を避け,心エコーを用いて管理します.虚血の評価と合わせて,術中はTEEをモニタリングします.
  • CKDについては,カリウム,酸塩基平衡,体液量,尿量,尿毒症症状を再評価し,腎臓内科と腎代替療法の必要性を協議します.
  • 糖尿病については,低血糖と著明な高血糖を避けて管理します.目標血糖は140〜180 mg/dL程度で.
🔍 追加で聞かれたら
  • 術前心電図と心エコー所見をベースラインとして確認する
  • アスピリンの最終内服日と周術期の継続方針を外科・循環器内科と確認する
  • 安静時呼吸困難,起座呼吸,末梢浮腫などの心不全症状を確認する
  • カリウム値を再検し,心電図変化の有無を確認する
  • 腎機能に応じて薬剤の投与量・投与間隔を調整する
  • Hb 10.5 g/dLの貧血について,出血量,心筋虚血,酸素需給を踏まえて輸血を準備する
  • 長期喫煙歴に伴う呼吸器合併症にも注意する

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