症例初期設定
【患者】
- 55歳男性.170cm,80kg.
【現病歴】
- 1か月前から進行性の頭痛と霧視を自覚していた.2週間前から左上肢の脱力感が出現し,診察では左上肢MMT 4/5であった.
- MRIで右前頭葉に最大径5.5 cmの腫瘍性病変を認めた.病変周囲には広範な浮腫があり,正中偏位3 mmと軽度の脳室圧排を伴っていた.デキサメタゾン投与後も頭痛と嘔気が持続しているため,右前頭開頭による脳腫瘍摘出術が予定された.
【既往歴】
- 高血圧症(5年前から内服),
- 2型糖尿病(3年前から内服)
【主な検査所見】
- 血算:Hb 13.8 g/dL,Plt 22.5万/μL,WBC 8200/μL
- 生化学:Na 138 mEq/L,K 4.0 mEq/L,Cl 102 mEq/L,BUN 15 mg/dL,Cr 0.82 mg/dL
- 血糖:148 mg/dL,HbA1c 7.2%
- 凝固系:PT-INR 1.05,APTT 32秒
- 画像所見:MRIで5.5 cm大の腫瘍,周囲に脳浮腫と正中偏位3 mmあり,軽度脳室圧排を伴う.
【服用中薬剤】
- デキサメタゾン 4 mg 分2
- アムロジピン 5 mg 分1
- メトホルミン 500 mg 分2
- アセタゾラミド 250 mg 分2
【搬入時の状態】
- バイタルサイン:BP 162/99 mmHg,HR 90/分,SpO2 97%(室内気)
- 頭痛と嘔気の訴えあり,不安が強い様子
- 外科医から「術中の脳圧管理に注意してほしい」と依頼があった.
Q1. 頭蓋内圧亢進を示唆する臨床徴候を挙げ,本症例に当てはめて説明してください.
- 頭蓋内圧亢進を示唆する所見として,進行性頭痛,悪心・嘔吐,うっ血乳頭や視覚異常,意識障害,瞳孔異常,局所神経脱落症状があります.高度になると,高血圧,徐脈,不規則呼吸からなるCushing反応を認めます.
- 本症例では,進行性頭痛,嘔気,霧視,左上肢筋力低下,画像上の広範な浮腫,正中偏位,脳室圧排が該当します.一方,心拍数は90/分であり,高血圧だけからCushing反応とは判断しません.疼痛,不安,既存の高血圧も含めて評価します.
🔍 追加で聞かれたら
- 霧視については,眼底検査でうっ血乳頭の有無を確認します.
- 瞳孔不同,意識低下,徐脈,不規則呼吸は切迫ヘルニアを疑う所見です.
- 画像では正中偏位だけでなく,脳槽の狭小化,脳室圧排,水頭症の有無を確認します.
- デキサメタゾンは症状に応じた最小有効量を用い,漫然と高用量を継続しません.
ここから先は「オンラインメンバーシップ限定」です. ↓の「新規ユーザー登録」から登録申請を行ってください.
