🗣️ 代謝・電解質の異常①:悪性高熱症

Contents

📝 問題リスト

  • 悪性高熱症の基礎知識(
    • 悪性高熱症の発症頻度と予後について説明してください
    • 悪性高熱症の危険因子を挙げてください.
    • 悪性高熱症の確定診断に用いる検査について説明してください
    • 悪性高熱症発症の機序について説明してください. 
  • 悪性高熱症患者の麻酔準備(
    • 悪性高熱症を疑うエピソードとしてはどのようなものがありますか?
    • 悪性高熱症の既往や家族歴がある患者の麻酔計画を説明してください  
    • 悪性高熱症患者に禁忌となる薬剤,通常使用できる麻酔薬は何ですか?
  • 悪性高熱症を発症したら・・・(
    • 悪性高熱症ではどのような臨床症状が見られますか?
    • 悪性高熱症を発症した場合の対処,治療について説明してください
    • ダントロレンの必要量の目安・溶解・注意点について説明してください
    • 悪性高熱症の他に,術中にETCO₂が上昇する原因には何がありますか?
  • 悪性高熱症後の管理(
    • 悪性高熱症の発症後,症状の安定化の指標について説明してください 
    • 悪性高熱症の術後管理の注意点について説明してください.

👥 はじめに

まっすー

なかば都市伝説と化してきている悪性高熱症ですが,経験したことありますか?

さらりーまん

いやない.知り合いの先生でも実際に見たことないって.院内ダントロレンを置いていないところや,近隣の病院と共有しているところ,期限が切れてそのたび買い直してるところなど色々みたいだね.

まっすー

起きたときに対応できないと話にならないので,知識だけは持ってないとですね

さらりーまん

まともなこと言うやん?

Keywords

悪性高熱症 TIVA ダントロレン CICR カプノグラフィ 呼気終末二酸化炭素分圧 カプノグラム 高カリウム血症 スキサメトニウム 揮発性麻酔薬

悪性高熱症管理ガイドライン 2025

日本麻酔科学会 悪性高熱症管理ガイドライン改定ワーキンググループ(外部リンク)

🤔 悪性高熱症の基礎知識

Q. 悪性高熱症の発症頻度と予後について説明してください
  • 発生頻度:全身麻酔10万件あたり0.2〜4程度(報告により幅あり)
  • 初回発症が約1/3を占めます(過去の麻酔で問題なくても安全とは限らない)
  • 予後:ダントロレン導入後に死亡率は大きく改善し,近年の国内報告では概ね1桁台〜約10%程度とされています.
補足・解説

死亡原因は時間経過で以下のような特徴があります.

  • 発症早期(数時間以内):高カリウム血症(横紋筋融解)による心室細動
  • 数時間〜1日後:肺水腫やDIC
  • 数日後:中枢神経障害や急性腎不全
Q. 悪性高熱症の危険因子を挙げてください.
  • 常染色体優性遺伝による家族歴があります.麻酔の説明時に確認しましょう.
  • ただし,初回発症が1/3程度とされ,過去の麻酔で問題がなくても安全とは限りません
  • また,セントラルコア病,筋ジストロフィーや周期性四肢麻痺などの神経筋疾患との関連性も指摘されています.
補足・解説
  • セントラルコア病:RYR1変異を共有,悪性高熱症感受性率が高い.
  • King-Denborough症候群:特徴的顔貌+筋障害+悪性高熱症感受性が三徴.
  • Duchenne型・Becker型筋ジストロフィー:古典的な悪性高熱症そのものではありませんが,揮発性麻酔薬や,特にスキサメトニウムで横紋筋融解・高カリウム血症による致死的不整脈を起こす可能性があり,実務上はトリガーフリー麻酔を選択します.
Q. 悪性高熱症の確定診断に用いる検査について説明してください.
  • CHCT/IVCT(筋生検によるカフェイン・ハロタン収縮試験):世界標準(ゴールドスタンダード)ですが,日本で継続的に行っている施設はないようです.
  • 日本ではCICR(カルシウム誘発性カルシウム放出)速度測定(筋採取が必要)が主に行われています.
補足・解説
  • CICR検査は限られた施設でのみ実施可能ですが,陽性であれば素因が確定します.
  • 遺伝子解析(RYR1,CACNA1S変異)も行われますが,変異と発症の関連性が不明確な場合があり,確実性は劣ります(感度は約50%程度).
  • 実際にはMH疑いの時点でトリガーフリー麻酔を選択することが多いですね.
Q. 悪性高熱症発症の機序について説明してください. 
  • 1型リアノジン受容体(RyR1)の異常による骨格筋細胞内のCa²⁺調節障害が本態と考えられています.
  • 誘発物質(全ての揮発性麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬)への曝露により筋小胞体からのCa²⁺放出が増大し,持続的な筋収縮と代謝亢進を引き起こします.
  • 放出されたCa²⁺の再取り込みにもATPを消費するため,さらなる代謝亢進と異常発熱,二酸化炭素の異常な産生増加という悪循環に陥ります.
補足・解説
  • 誘発物質への曝露のほか,まれに過剰な運動および高温環境,ウイルス感染,精神的興奮などが契機になると言われています.

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