📘【想定問題】腹腔鏡下胆嚢摘出術

症例設定
【患者】
- 45歳女性.152cm,85kg(BMI36.8:重症加算)
【現病歴】
- 右上腹部痛を主訴に受診し,胆石性胆嚢炎と診断された.腹腔鏡下胆嚢摘出術が予定されている.家族から夜間に大きないびきを指摘されており,日中の仕事中にしばしば眠気を感じている.睡眠ポリグラフ検査は施行されていない.
【既往歴】
- 2型糖尿病(罹患10年,HbA1c 7.5%)
- 高血圧(罹患5年)
- 睡眠時無呼吸症候群疑い(夜間のいびき,日中の眠気あり,PSG未施行)
- 脂質異常症
【服用中薬剤】
- エンパグリフロジン 10 mg/日(SGLT2阻害薬)
- テルミサルタン 40 mg/日(ARB)
- ロスバスタチン 2.5 mg/日
【主な検査データ・バイタルサインなど】
バイタルサイン
- 血圧 140/90 mmHg
- 心拍数 85/分,整
- SpO₂ 96%(室内気)
- 呼吸数 16/分
- 体温 36.5℃
血液学的検査
- WBC 9,800 /μL, Hb 13.5 g/dL,Ht 40.1%, Plt 28.5×10⁴/μL
- AST 56 IU/L,ALT 70 IU/L, γ-GTP 85 IU/L,ALP 300 IU/L, T-Bil 0.8 mg/dL
- BUN 15 mg/dL,Cr 0.82 mg/dL, eGFR 71 mL/min/1.73m²
- Na 139 mEq/L,K 4.1 mEq/L,Cl 102 mEq/L
- 血糖 168 mg/dL,HbA1c 7.5%
- PT-INR 1.02, APTT 32秒
- 動脈血液ガス分析(未実施)
画像所見
- 腹部超音波検査:胆嚢壁肥厚(5mm),胆嚢内結石多数
- 腹部CT:胆嚢炎所見,明らかな総胆管結石なし,肝内脂肪沈着あり
特記すべき身体所見
- 気道評価:開口3横指,頸部可動域制限なし.Mallampati分類:Class III.首は短く太い.下顎に脂肪沈着, 頸部周囲径 42 cm
- 心音・呼吸音:異常なし
- 右上腹部に圧痛あり
- 呼吸機能検査:%VC 85%,FEV1.0% 79%(特に異常所見なし)
Q1. この患者の術前評価における問題点を挙げてください.
- 最も重要なのは,高度肥満への対処と閉塞性睡眠時無呼吸症候群の疑いです.STOP-Bangは,いびき,日中の眠気,高血圧,BMI 35超,頸囲40 cm超の5点で,OSA高リスクです.
- 気道確保困難リスク,糖尿病性胃不全麻痺による誤嚥リスク,導入後の急速な低酸素化,術後上気道閉塞やオピオイドによる呼吸抑制に備えます.
- 2型糖尿病とSGLT2阻害薬内服中であり,周術期高血糖,低血糖,脱水,正常血糖ケトアシドーシスに注意します.
- 高血圧とARB内服については,周術期の継続・休薬方針を確認し,導入後低血圧に備えます.また,肥満に伴う静脈路確保困難,体位固定時の圧迫・末梢神経障害,静脈血栓塞栓症にも注意します.
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