📘 傾向と対策2026:呼吸生理・人工呼吸器グラフィックスなど

はじめに
さらりーまん呼吸生理自体は口頭試問では問われることはないと思うけど,カプノグラムはフローボリューム曲線,人工呼吸器のグラフィックスとかのモニタリングは超重要で要チェック.
波形を見て,
「何が起きているか」
だけではなく,
「じゃあ,次に何を確認してどう対応するか」
まで言えるようにしておきたいところだね



あぁ確かに.カプノはともかく流量曲線なんかは普段から見ておいたほうがいいですね.あと研修医に説明したり



そうそう.研修医に説明してみるのもおすすめ.
説明している途中で,
「あれ……これ何でこうなるんだっけ?」
と,自分が意外と分かっていなかったことに気づいたりする.
♦️ 概略
生理学,極めれば最強理論武装完成.病態生理を深く理解するにはまずは生理学.でも極められない.せめて呼吸生理・循環生理はがんばって本を読もうと思い,そして読み切らず散っていく.奥深き学問.
でも大丈夫.みんな一緒😊.
世の中にお掃除・整理整頓,ダイエットの書籍が尽きないのは,需要はあるけど誰も極められないから.医学書でもやさしい生理学系の本や心電図,血液ガスの本が出続けるのはおそらく同じ理由.苦手だけど頑張ってこれからもつまみながら読んでいきましょう笑.
呼吸生理自体のこまかなところが口頭試問で問われることはないでしょうが,麻酔器のグラフィックスは重要ポイントです
口頭試問では,細かな生理学の知識を単独で暗記しているかというよりも,
- なぜ気道内圧が上がったのか
- なぜ呼気が終わらないのか
- なぜカプノグラムが消えたのか
- なぜ同じ圧なのに換気量が減ったのか
- この波形を見て次に何をするのか
といった,生理学を患者管理へつなげる力が重要です.
人工呼吸器グラフィックスは,波形の形だけを丸暗記するのではなく,
波形 → 病態 → 確認 → 対応
の順に考えましょう.
典型的な波形やトラブル時の変化はおさえておかなければ会場でのフリーズ待ったなし!ここでは最重要のものを取り上げて簡単に解説していきます.
古い麻酔器は回路内圧くらいしか表示されませんが,最近のはF-V,P-Vループ,流量モニターなどしっかり表示されて面白くなりましたね!(え?興味ない?笑)
🔑 Keywords
呼吸生理/カプノグラム/V1・V2・V3/人工呼吸器グラフィックス/VCV/PCV/Ppeak/Pplat/気道抵抗/肺コンプライアンス/フローボリューム曲線/圧容量曲線/リーク/auto-PEEP/内因性PEEP/DOPE
♦️ カプノグラム
カプノグラムの一問一答については こちら
見ない日はないカプノグラム.導入後に換気してカプノが表示されるときの幸福感❤️. そんなカプノが口頭試験で出るのは波形の変化か消失時の鑑別が多いと思います.
- 第I相:死腔ガス.CO₂はほぼ0
- 第II相:死腔ガスから肺胞ガスへ移行し,CO₂が急速に上昇
- 第III相:肺胞プラトー
- 第III相の終末がEtCO₂
🔵 V1・V2・V3
日本麻酔科学会の気道管理ガイドラインでは,カプノグラムを利用して換気状態をV1〜V3の3段階で評価します.
V1:換気良好
- 第I〜III相が確認でき,第III相のプラトーまで形成されている波形です.
- 換気回数などにも問題がなければ,有効な換気が行われていると判断できます.
V2:換気不十分
- 第III相のプラトーが形成されず,第II相の立ち上がりのみ認める波形です.
- ある程度のガス交換は行われていますが,十分な換気とはいえません.
V3:換気不能または極端な低換気(やばい)
- 明らかなCO₂波形を認めず,ほぼ基線だけの状態です.
- 無呼吸や,死腔換気量以下の極端に少ない換気などを考えます.
- V1〜V3はマスク換気だけの分類ではなく,声門上器具や気管チューブを介した換気,自発呼吸中にも利用できます.
🔵 波形が「サメのヒレ」みたいになった
気管支痙攣やCOPDなどで呼気流出が障害されると,第II相の立ち上がりが緩徐になり,第III相の傾斜も増加します.いわゆるshark-fin patternと呼ばれるやつですね☝️
→ ではどうする?
- 聴診
- 気道内圧・換気量確認
- 気管チューブの屈曲・閉塞確認
- 気管支痙攣なら原因除去と気管支拡張薬
- 呼気時間の確保
🔵 基線が0に戻らない
吸気相でもCO₂が残っている,つまり再呼吸を疑う所見です.
まず確認するのは以下のポイント.「基線が上がった=必ず吸収剤」と一つに決めつけないようにしましょう(まぁだいたい再呼吸).
- 二酸化炭素吸収剤の消耗
- 一方向弁の異常
- 呼吸回路の異常 などです.
🔵 突然カプノグラムが消えた!
ここは優先順位が重要です.いきなり「肺血栓塞栓症や空気塞栓だ!TEE!」ではありません.
まず,よく起こること・すぐ直せることから確認します.
- サンプリングラインが外れていないか,閉塞していないか
- 呼吸回路が外れていないか
- 人工呼吸器が作動しているか
- 気管チューブが抜けていないか
- 気管チューブが閉塞していないか
- 実際に換気できているか
回路・気道に問題がなく換気しているにもかかわらず,EtCO₂が急激に低下・消失している場合は,肺血流の著明な低下・途絶を考えます.
- 心停止
- 著明な低心拍出量
- 大量出血
- 肺血栓塞栓症
- 空気・CO₂塞栓
日本麻酔科学会の気道管理ガイドラインでも,心停止や大量の回路リークなどでは,カプノグラムが換気状態を正確に反映しない場合があるとされています.
つまり,カプノが消えた=換気だけの問題とは限らないということです☝️(試験的には肺塞栓や空気塞栓が最重要になりますが…😅).
♦️ 気道内圧が上がった!
人工呼吸器グラフィックスを見る前に,この考え方を整理しておきましょう.
術中に突然Ppeak(最高気道内圧)が上昇した場合,原因を頭の中でバラバラに列挙するより,系統立てて考える方が安全です.
覚え方の一つがDOPEです.
- D:Displacement
気管チューブ位置異常,片肺挿管,抜去など - O:Obstruction
分泌物,痰,チューブ屈曲,気管支痙攣など - P:Pneumothorax
気胸,特に緊張性気胸 - E:Equipment
呼吸回路・人工呼吸器・弁などの異常 - auto-PEEPによるair stackingを加えて,DOPESと覚える方法もあります.
急激な気道内圧上昇で換気できない場合は,人工呼吸器から外して用手換気を行うと,患者・気道側の問題なのか,人工呼吸器・回路側の問題なのかを切り分けやすくなります.
もちろん,同時にSpO₂,ETCO₂,胸郭運動,聴診,循環動態を確認します.
♦️ F-V曲線・P-V曲線
🔵 フローボリューム曲線(F-V曲線)
呼吸機能検査のF-V曲線と同じ?
似ていますが,同じものではありません.呼吸機能検査では,最大吸気位から努力性呼出を行い,肺活量全体にわたる最大努力時の流量を評価します.
一方,麻酔器・人工呼吸器に表示されるF-Vループは,通常の一回換気の範囲で,流量と換気量の関係を表示したものです.
そのため,
- 努力性呼出ではない
- 肺活量全体ではなく一回換気量の範囲
- 軸の上下方向は機種によって異なる
という違いがあります.
COPDなどの閉塞性病態では,人工呼吸器のF-Vループでも呼気脚の形状に変化がみられることがありますが,呼吸機能検査の努力性F-V曲線と同じものとして評価するわけではありません(ま,普段はそこまでそんなに意識することはないですけど…😅)
人工呼吸器のグラフィックでは,曲線の上半分が吸気ループ,下半分が呼気ループ.呼吸機能検査のフローボリューム曲線はこれが上下逆転されて表示されています.
ループが閉じない!
F-Vループで重要なのがリークです.吸気量と呼気量が一致しなければ,ループが元の位置へ戻らず,閉じません.
リークが生じている際の変化は覚えておきましょう(P-Vループもそうですが,時間軸のない曲線って見慣れないと感覚つかみにくいですよね〜😅)
回路リークを診断させるためや,呼吸回路・気道にはリークがないことの確認するためにも波形の読取りは重要です.
ループが閉じない場合の原因
- 気管チューブのカフリーク
- 回路リーク
- 接続部の外れ
- 胸腔内と気道が交通する状況 など
確認ポイント
- 設定換気量と呼気一回換気量の差
- 低圧アラーム
- ベローズやバッグの動き
- カフ圧
- 回路接続
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