🗣️ 産婦人科④:胎盤の異常・産科危機的出血・産科DIC

Contents

📝 問題リスト

  • 胎盤異常:前置胎盤・癒着胎盤など
    • 常位胎盤早期剥離のリスク因子と典型的な症状について説明してください.
    • 常位胎盤早期剥離患者への対応について説明してください.
    • 前置胎盤とはどのようなもので,麻酔管理上どのような注意が必要ですか?
    • 前置胎盤症例ではなぜ出血リスクが高くなりますか?
    • 癒着胎盤とはどのようなものですか?
    • 癒着胎盤の診断がついている妊婦の帝王切開の申し込みがありました.どのような麻酔管理を計画しますか?
  • 産科危機的出血
    • 分娩後異常出血の原因の4つのTとは何ですか?
    • 産科ショックインデックスについて説明してください.
    • 産科出血の特徴は何ですか?
    • 他院から搬送された産科出血患者の術前確認項目について説明してください.
    • 産科危機的出血の宣言はどのような場合に行いますか?(産科危機的出血と判断される所見)
    • 産科危機的出血が起きた場合の対処法について説明してください.
    • 動脈閉塞用バルーンを挿入する部位とその理由を説明してください.
    • 子宮収縮不良で薬物療法無効時に行うべき外科的処置を挙げてください.
  • 産科DIC
    • 産科DICの算定項目を教えてください.
    • 産科DICの凝固検査の特徴を説明してください.
    • 産科DICをきたす代表的な疾患をあげてください.
    • 産科DICの発生機序を簡単に説明してください.
    • 産科DICへの対応はどのように行いますか.
  • 羊水塞栓症
    • 羊水塞栓症の症状にはどのようなものがありますか? 
    • 羊水塞栓症への診断・対処法について説明してください.

👥 はじめに

まっすー

試験ではほぼほぼ出血しますね

さらりーまん

そう.私が受けたときも出血した

まっすー

産科・HDP or 胎盤異常・出血はセットみたいなもんですね

さらりーまん

そうね.産科危機的出血に関しては経験すると本当に怖いし,全国的にも話題になった事例もあるし,確かコウノドリでも採り上げられてね.

まっすー

一定の頻度で必ず起こるのでしっかりと準備しておきます.

Keywords

前置胎盤 癒着胎盤 常位胎盤早期剥離 産科出血 産科危機的出血 ショックインデックス 産科DIC 羊水塞栓症

産科危機的出血への対応指針2022

日本産科麻酔学会公式ウェブサイトより

🤔 胎盤の異常:前置胎盤・癒着胎盤など

Q. 常位胎盤早期剥離のリスク因子と典型的な症状について説明してください.
  • リスク因子としては以下のものが挙げられます,
    • 妊娠高血圧症候群(HDP)
    • 前期破水(CAM)
    • 外傷(腹部打撲)
    • 喫煙
    • 急激な子宮内圧減少(双胎の第1児娩出後など)
  • 典型的な症状としては,以下のものが挙げられます.
    • 突発する持続的腹痛,
    • 腹部板状硬(子宮),
    • 性器出血(外出血がない場合もあるため注意),
    • 胎児心拍異常(NRFS)
補足・解説
  • 常位胎盤早期剥離ではDICを合併しやすいです.
  • 原因としては,胎盤剥離後に胎盤・脱落膜由来の組織因子(トロンボプラスチン)が母体循環へ大量流入し,外因系凝固カスケードを強力に活性化させるためとされています.
  • その結果,消費性凝固障害と線溶亢進が急速に進みます.
Q. 常位胎盤早期剥離患者への対応について説明してください.
  • 診断確定後,30分以内の児娩出を目標に超緊急帝王切開(グレードA)の準備をします.
  • 太い末梢路の確保や動脈ライン,血液製剤のオーダー,酸素投与を開始します.
  • 麻酔方法としては,DICや大量出血による凝固異常リスクや迅速性を考慮し、迅速導入による全身麻酔が選択されます.
  • 既にDICを合併している場合は,フィブリノゲン濃縮製剤,FFP,クリオプレシピテートなどで凝固因子の補充を行います.
補足・解説
  • 常位胎盤早期剥離は母児ともに生命を脅かす緊急事態です.研修医の時の産婦人科研修で初めて経験しましたが,産婦人科の先生が「早剥〜〜!!!!」と叫びながらストレッチャーを手術室に押していたのを今でも覚えています.
  • 麻酔も産科の先生が自分たちでかけてました.今思えばなかなかリスクが高かったですね・・.
  • ちなみにその時のApgarスコアは4/6,その後も母児ともに問題がありませんでした.
Q. 前置胎盤の麻酔管理上どのような注意が必要ですか?
  • 大量出血のリスクが高いため,16G以上の太い末梢路を2本以上確保し,観血的動脈圧ラインの確保,十分な血液製剤の準備が必要です(特に全前置胎盤).
  • 特に既往帝王切開例では癒着胎盤の可能性も考慮し,必要に応じて術前に動脈閉塞バルーンを留置することがあります.
  • 麻酔はCSEAでも十分可能ですが,出血の程度によっては全身麻酔への移行が必要になる場合もあります.
補足・解説
  • 前置胎盤は胎盤が子宮下部に付着する異常で,全前置胎盤,部分前置胎盤,辺縁前置胎盤,低置胎盤に分類されます.
  • 全体の頻度は比較的稀ですが,リスクとして帝王切開既往や多産婦,高齢妊娠などがあります.
  • 選択的帝王切開で,しっかりと準備していれば,意外と出血が少ないことも多く,「よかったね」となりますが,緊急手術時は血液型によっては輸血準備が遅れがちで,リスクが高くなります.
  • 場合によっては子宮全摘が必要になるため,家族や本人に十分な説明が必要です.
Q. 前置胎盤症例で出血リスクが高くなる理由を説明してください.
  • 子宮下部は血管分布が豊富で,胎盤付着部位の切開操作により出血が増加する可能性があります.
  • また,子宮下部は子宮体部に比べて筋層が薄く,収縮力が弱いため,分娩後の止血が不十分になりやすいことです.
補足・解説
  • 要は,「場所が悪い」「収縮が弱い」「癒着の可能性」というリスクがあるということですね.
  • 前置胎盤症例では癒着胎盤の合併率が5~10%と高く,特に帝王切開既往例では既往回数に応じてそのリスクが上昇します.
Q. 癒着胎盤とはどのようなものですか?
  • 胎盤絨毛が子宮筋層に異常付着あるいは侵入した状態です.
  • 侵入の程度により3つに分類され,絨毛が脱落膜を超えて筋層表面に達する癒着胎盤(最も多い),筋層内に侵入する嵌入胎盤,筋層を貫通して漿膜に達する穿通胎盤があります.
  • 発生頻度は稀ですが,前置胎盤症例ではその頻度が高まります.
補足・解説
  • 癒着胎盤の出血は「シャワーのような」と例えられるくらい激しいものです.幸いなことにガチのものに当たったことはありませんが,産科出血は本当に恐ろしいものです(特に設備が十分とは言えない施設での予期せぬ出血・・).
  • 主なリスク因子は帝王切開の既往で,既往回数が増えるほど上昇します.
  • その他,前置胎盤,子宮内膜炎の既往,子宮筋腫核出術の既往なども危険因子となります.術前の超音波検査やMRIによる正確な診断が重要です.

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