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Contents
📝 問題リスト
- 胸部下行大動脈手術
- 胸部下行大動脈置換術において,外科医と術前に協議・確認しておくことを挙げてください.
- 胸部下行大動脈瘤手術やステントグラフト内挿術において,最も注意すべき神経学的合併症を挙げてください.またそのためにどのようなモニタリングを行いますか?
- 脊髄虚血早期発見のためのMEPを,上肢でもモニタリングする理由は何ですか.
- 胸部大動脈遮断時の脊髄保護の方法とモニタリングについて説明してください.
- 大動脈遮断中の循環管理について,近位(上肢)血圧と遠位(下肢)血圧の,具体的な管理方法について説明してください.
- 大動脈解離の手術
- 大動脈解離の分類のStanfordAとBはどのように区別されていますか.
- 大動脈解離の緊急手術での術前評価のポイントを説明して下さい.
- 大動脈解離の急性併存合併症にはどのようなものがありますか.
- 大動脈解離手術のモニタリングは何を行いますか(基本モニタ以外)?
- 大動脈解離手術時のTEEでは何を評価しますか.
- A型大動脈解離の麻酔導入,その後の麻酔方法について説明して下さい.
- 大動脈解離手術のCPB離脱後には持続する出血により循環動態が不安定になりがちですが,このために一般的にどのような準備・対処が行われますか.
- 弓部人工血管置換にあたり脳保護にはどのような体外循環(循環補助) を行ないますか.
- 大動脈解離手術の術後はどのような点に気をつけながら管理を行いますか.
- ステントグラフト内挿術
- 腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)の合併症を挙げてください.
- 胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)の合併症を挙げて下さい.
- ステントグラフト内挿術ではどのような麻酔が選択されますか?
- 人工心肺非使用時の大動脈遮断
- 大動脈遮断時の血行動態に対する影響について説明してください.
- 大動脈遮断を腎動脈上・下で行う場合の違いについて説明してください.
- 大動脈遮断時にどのような薬剤を投与しますか.
- 大動脈遮断解除時に注意することは何ですか?
- 大動脈遮断解除時の低血圧の原因と対処を述べてください.
- 脊髄保護
- 術中の神経モニタリングを安全かつ有効に行うために,術前に確認すべきポイントを具体的に挙げて説明してください.
- 脊髄血流の自動調節能の血圧の範囲はどの程度ですか.
- 脊髄虚血が生じるメカニズムを簡単に説明してください.
- 大前根動脈(アダムキュービッツ動脈)はどのレベルで分枝していますか.
- 胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)でや胸腹部大動脈置換術で,脊髄保護のために執刀前日に行うべき処置について述べて下さい.
- 脳脊髄液ドレナージが脊髄保護のために行われるのは何故ですか.
- 脳脊髄液ドレナージの留置の基準,術中の管理方法について簡単に説明してください.
- 脳脊髄液ドレナージの合併症を列挙してください.
- 血性髄液がドレナージされた場合はどのようなことを考えますか?
- 予防的脳脊髄液ドレナージと神経モニタリングを用いても,術後に対麻痺が発生する可能性があります.術後対麻痺発生時の評価と治療戦略,ICUでの管理方針について説明してください.
👥 はじめに

大血管手術もよく出てますよね



解離も腹部も胸部もステグラも満遍なく出てるね.脊髄保護についても必出なのでドレナージのやり方までしっかりと覚えておくように.



症例当たったときにオーベンにねちねち聞きます!
Keywords
人工血管置換術 腹部大動脈瘤 脊髄保護 MEP 脳脊髄液ドレナージ スパイナルドレナージ 脳保護 大動脈解離 ステントグラフト EVAR TEVAR 大動脈遮断
🤔 胸部下行大動脈手術
Q. 胸部下行大動脈置換術において,外科医と術前に協議・確認しておくことを挙げてください.
- 術前評価(画像所見,既往歴),術後ICU管理計画
- 細かな手術手順(肋間動脈再建の範囲など),体外循環について(送脱血方法,F-Fバイパス,循環停止など)
- 脊髄保護について(MEP,脳脊髄液ドレナージなど),
- 分離肺換気の必要性,輸血準備の確認,緊急時の対応などを確認します.
- 病院によって麻酔科と心臓外科の関わり(仲の良さ)は様々だと思われますが笑,カンファに参加しましょう.
Q. 胸部下行大動脈瘤手術やステントグラフト内挿術において,最も注意すべき神経学的合併症を挙げてください.またそのためにどのようなモニタリングを行いますか?
- 脊髄虚血による対麻痺を生じることがあるため,MEPモニタリングを行います.
補足・解説
- 胸部下行大動脈遮断は前脊髄動脈領域(特にAdamkiewicz動脈支配域 T8〜L1レベル)の血流を途絶させ,対麻痺のリスク(報告により1〜10%程度)があります
- リスク因子:遮断時間の長さ,遮断高位,既存の血管病変,術中低血圧など
Q. 脊髄虚血早期発見のためのMEPを,上肢でもモニタリングする理由は何ですか.
- 上肢MEPをコントロールとして用いることで,麻酔薬蓄積の影響や低体温の影響によるMEP変化を,脊髄虚血によるMEP変化と区別するためです.
- 下肢MEPの低下が上肢MEPに影響なく生じた場合,脊髄虚血を強く疑う必要があります.
Q. 胸部大動脈遮断時の脊髄保護の方法とモニタリングについて説明してください.
- 脊髄虚血の評価にはMEPが最も信頼性の高いモニタリングとされています.
- 脊髄保護の方法としては,脳脊髄液ドレナージによる脊髄灌流圧の維持,32〜34℃の軽度低体温,適切な血糖管理(特に高血糖を避ける),遮断遠位側の灌流維持が基本となります.
- 他に,左心バイパス下の末梢灌流,肋間動脈再建と再建後の選択的灌流,薬物投与などが施設によりさまざまに選択されますが,現時点で確立したエビデンスはありません.
- 薬物投与ではステロイド(脳脊髄液ドレナージと併用),塩酸パパベリン(くも膜下に投与),フリーラジカルスカベンジャー,マグネシウム,ナロキソン,NMDA受容体拮抗薬などが選択肢として挙げられます.
Q. 大動脈遮断中の循環管理について,近位(上肢)血圧と遠位(下肢)血圧の,具体的な管理方法について説明してください.
近位(橈骨動脈)血圧の管理目標:
- 近位の灌流は自己の心拍出によって維持されます.
- 目標は脳・心臓・上肢への十分な灌流を確保しつつ,左室の過負荷を避ける範囲,例えば平均動脈圧(MAP) 60〜80 mmHg程度とします.低すぎると上半身臓器虚血,高すぎると心筋酸素消費増大のリスクがあります.
- 脱血しすぎると血圧が低下するので,人工心肺側での脱血量の調節が必要になることもあります.
- 適切な脱血が行われても血圧が高くなりすぎる場合は,麻酔深度の調節,必要であれば血管拡張薬(ニトログリセリン,ニカルジピンなど)の持続投与でコントロールします.
遠位(大腿動脈)血圧の管理目標:理想的には60〜70mmHg以上)。
- 脊髄や腹部臓器(腎臓、腸管など)への灌流を維持します.特に脊髄灌流圧(≒遠位MAP – 髄液圧 or CVP)を確保することが対麻痺予防に重要になります.
- 遠位循環補助を使用しない場合は達成困難なことも多いですが,遠位循環補助を行う場合は,その流量で目標圧を達成します.
🤔 大動脈解離の手術
Q. 大動脈解離の分類のStanfordAとBはどのように区別されていますか.
- エントリーの部位や遠位への伸展度合いにかかわらず,上行大動脈を含めばA,含まなければBです.
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