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Contents
📝 問題リスト
- 術後末梢神経障害
- 周術期の末梢神経障害の機序を挙げてください.
- 周術期の末梢神経障害の手術・麻酔に関する危険因子を挙げてください.
- 周術期に多い末梢神経障害にはどのようなものがありますか.
- 周術期の末梢神経障害の予防にはどのようなものがありますか.
- 腕神経叢麻痺が生じやすい要因・手術を挙げてください.
- 術後の尺骨神経麻痺の原因とリスク因子を挙げてください.
- 尺骨神経が障害されるとどのような運動障害が生じますか.
- 橈骨神経が障害されるとどのような運動障害が生じますか.
- 総腓骨神経が障害されるとどのような運動障害が生じますか.
- 足関節の背屈障害を生じる神経障害を鑑別してください.
- 術後腎機能障害
- 術後腎機能障害の危険因子にはどのようなものがありますか?
- 術後腎機能障害の予防方法について述べてください.
- 術後の乏尿にはどのように対処しますか?
👥 はじめに

末梢神経障害の経験あります?



最終的に退院前にはよくなったけど,ACL再建の手術のブロックでしびれがなかなか消えなかったのはちょっと怖かったね.



怖いですね.試験的には体位関連が多いみたいですね



そうね,各体位で障害されやすい神経があるから,その種類と予防方法は把握しておこう.
Keywords
末梢神経障害 尺骨神経麻痺 橈骨神経麻痺 腕神経叢麻痺 術後腎機能障害 急性腎傷害:AKI 乏尿
🤔 術後末梢神経障害
Q. 周術期の末梢神経障害の機序を挙げてください.
- 物理的要因として,体位による神経の伸展や圧迫があり,特に上肢外転位での腕神経叢障害や砕石位での総腓骨神経障害が代表的です.
- 循環障害として,局所的な虚血や神経周囲の循環不全があります.
- 代謝性要因として,電解質異常や栄養障害があります.
- 医原性要因として,手術操作による直接的な神経損傷があります.
- これらの要因は単独または複合して発生することがあります.
- 特に不適切な体位取りや,圧迫の放置,誤って外科的に損傷してしまった場合は後遺症の原因にもなり,訴訟に発展することもあります.患者と医療者,両者を守るためにも,日ごろからできることは確実に丁寧に行っていきましょう.備えがあっても憂いがあるのが医療現場なので・・・.
Q. 周術期の末梢神経障害の手術・麻酔に関する危険因子を挙げてください.
- 手術関連因子として,4時間以上の長時間手術,3時間以上の駆血帯使用があります.
- 循環・代謝因子として,低血圧,低酸素状態,低体温があります.
- 体位関連因子として,上肢外転90度以上,頭部の過度の回旋,砕石位での下肢の過度の屈曲などがあります.
- また,糖尿病や血管障害などの基礎疾患も危険因子となります.
- 体位はとても重要です.今一度,良肢位とはどのようなものかを復習しておきましょう.
Q. 周術期に多い末梢神経障害にはどのようなものがありますか.
- 尺骨神経麻痺,腕神経叢麻痺,総腓骨神経麻痺が多く報告されています.
- 尺骨神経麻痺は原因不明なものもありますが,肘部の圧迫,腕神経叢麻痺は90度以上の腕の外転や頸部の進展でリスクが上がります.
- 下肢では,砕石位や側臥位での腓骨頭部の圧迫による総腓骨神経麻痺が多く見られます.
- 体位ごとに発症しやすい末梢神経障害がありますので,「」のページも参照してください.
Q. 周術期の末梢神経障害の予防にはどのようなものがありますか.
- 体位に関しては,上肢外転を90度以内に制限し,頭部の過度な回旋を避け,自然な肢位を保持します(良肢位).
- 圧迫予防としては,肘部管,腓骨頭部,踵部などの圧迫好発部位に適切な保護パッドを使用します.
- 手術時間が4時間を超える場合は定期的な体位や圧迫していなかの確認を行い,ターニケット使用は3時間以内とします.
- 適切な血圧維持と体温管理にも留意します..
- 要は原因ごとにそれを対処しましょうねということですね.
- ターニケットが長時間必要な場合は,駆血圧を低くする(えてして整形外科医は高くしたがる),間に休憩をとるなどの対策をとりましょう.
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