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Contents
📝 問題リスト
- 悪性高熱症の基礎知識
- 悪性高熱症はどれくらいの頻度で発症しますか?
- 悪性高熱症の危険因子を挙げてください.
- 悪性高熱症の検査について説明してください.
- 悪性高熱症発症の機序について説明してください.
- 悪性高熱症患者の麻酔準備
- 悪性高熱症の既往や家族歴がある患者では術前にどのような準備をしますか.
- 悪性高熱症患者に禁忌となる薬剤,通常使用できる麻酔薬は何ですか?また,麻酔法として何を選択しますか?
- 悪性高熱症の早期発見する上で有用なモニタについて説明してください.
- 悪性高熱症を発症したら・・・
- 悪性高熱症ではどのような臨床症状が見られますか?
- 悪性高熱症を発症した場合の対処,治療について説明してください.
- ダントロレンの使用法について説明して下さい.
- 悪性高熱症後の管理
- 悪性高熱症を発症した後,症状が安定化してきたかどうかは何を指標にしますか?
- 悪性高熱症の術後管理の注意点について説明してください.
👥 はじめに

なかば都市伝説と化してきている悪性高熱症ですが,経験したことありますか?



いやない.知り合いの先生でも実際に見たことないって.院内ダントロレンを置いていないところや,近隣の病院と共有しているところ,期限が切れてそのたび買い直してるところなど色々みたいだね.



起きたときに対応できないと話にならないので,知識だけは持ってないとですね



まともなこと言うやん?
Keywords
悪性高熱症 TIVA ダントロレン CICR カプノグラフィ 呼気終末二酸化炭素分圧 カプノグラム 高カリウム血症 スキサメトニウム 揮発性麻酔薬
🤔 悪性高熱症の基礎知識
Q. 悪性高熱症はどれくらいの頻度で発症しますか?
- 日本では5,000〜20,000例に1例程度とされていますが,スキサメトニウムの使用頻度の激減,全静脈麻酔の普及等により,もっと少なくなっている可能性があります.
- 麻酔科医になって20年以上になりますが,まだ見たことないです・・・.
Q. 悪性高熱症の危険因子を挙げてください.
- 常染色体優性遺伝による家族歴があります.麻酔の説明時に確認しましょう.
- ただし,初回発症が1/3程度とされ,過去の麻酔で問題がなくても安全とは限りません.
- また,セントラルコア病,筋ジストロフィーや周期性四肢麻痺などの神経筋疾患との関連性も指摘されています.
Q. 悪性高熱症の検査について説明してください.
- 世界的には筋生検によるハロタン-カフェインテストが標準ですが,日本ではCICR(カルシウム誘発性性カルシウム放出)速度測定(筋採取必要)が主に行われています.
- CICR検査は限られた施設でのみ実施可能ですが,陽性であれば素因が確定します.
- 遺伝子解析も行われますが,変異と発症の関連性が不明確な場合があり,確実性は劣ります.
- CICR速度測定は現在広島大学と埼玉医科大学のみで行われているようです.
Q. 悪性高熱症発症の機序について説明してください.
- 1型リアノジン受容体の異常による骨格筋細胞内のCa²⁺調節障害が本態と考えられています.
- 誘発物質(全ての揮発性麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬)への曝露により筋小胞体からのCa²⁺放出が増大し,持続的な筋収縮と代謝亢進を引き起こします.
- 放出されたCa²⁺の再取り込みにもATPを消費するため,さらなる代謝亢進と異常発熱,二酸化炭素の異常な産生増加という悪循環に陥ります.
- 誘発物質への曝露のほか,まれに過剰な運動および高温環境,ウイルス感染,精神的興奮などが契機になると言われています.
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