区域麻酔②:脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔の合併症

Contents

📝 問題リスト

  • 共通の合併症
    • 脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔の合併症を挙げてください.
  • 全脊髄くも膜下麻酔
    • 全脊麻になった場合,どのような症状が生じますか?また対処を述べてください.
    • 全脊麻が生じ得る区域麻酔にはどのようなものがありますか?
  • 術後の神経障害
    • 脊髄くも膜下麻酔において手術後の神経障害の考えられる原因を挙げてください.
    • 脊髄くも膜下麻酔後で手術後の神経障害が見られた場合,どのように対処しますか. 
    • 脊髄くも膜下麻酔あるいは硬膜外穿刺中に放散痛(電撃痛)が生じたときの対処について説明してください. 
  • 硬膜誤穿刺(ADP)・脊髄くも膜下麻酔後頭痛(PDPH)
    • 偶発的硬膜穿破(ADP)を起こした場合(吸引すると透明の液が・・・)の対処について説明してください. 
    • PDPHの発症機序について説明してください.
    • PDPHを発症しやすい因子としてはどのようなものがありますか.
    • PDPHの治療・対処について説明してください.
    • 硬膜外自己血パッチの実際の手技について述べてください.
  • 硬膜外血腫・硬膜外膿瘍
    • 硬膜外血腫の頻度はどのくらいとされていますか. 
    • 硬膜外血腫の症状について説明してください. 
    • 硬膜外血腫を疑った場合の対応について説明してください. 

👥 はじめに

まっすー

PDPHは頻出ですよね?

さらりーまん

だね.ブラッドパッチなどの治療まで含めて何度が出題されてる.コミュニケーション問題としても出てるね.

まっすー

起こしたこと有りますか?

さらりーまん

恥ずかしながら.PDPHに至らなくてもADPを起こしたことが全くない麻酔科医はあまりいないんじゃないかな?

まっすー

硬膜外血腫の経験はありますか?

さらりーまん

幸いながらない.ただ,病棟で主治医がチューブを抜いたときにちぎれてしまって手術で取り出したことはある・・・・

まっすー

こわ・・・

Keywords

全脊髄くも膜下麻酔 硬膜誤穿刺 ADP 硬膜穿破 脊髄くも膜下麻酔後頭痛 硬膜穿破後頭痛 PDPH 硬膜外血腫 硬膜外膿瘍 一過性神経症候群 馬尾症候群 膀胱直腸障害 

🤔 共通の合併症

Q. 脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔の合併症を挙げてください.
  • 共通のもの
    • PDPH(腰麻後やADP)
    • 神経損傷:電撃痛や強いしびれ発生時は注入厳禁
    • 血腫形成
    • 局所麻酔薬中毒:多弁や口周囲のしびれなどの初発症状に注意
  • 脊髄くも膜下麻酔
    • 馬尾症候群・一過性神経症候群
    • 全脊髄くも膜下麻酔:突然の広範囲の無痛域,意識消失・呼吸停止に注意
  • 硬膜外麻酔
    • ADP
    • 硬膜外血腫
    • 硬膜外膿瘍
    • 硬膜外チューブの髄腔内留置・血管内留置

🤔 全脊髄くも膜下麻酔

Q. 全脊麻になった場合,どのような症状が生じますか?また対処を述べてください.
  • 全脊麻は硬膜外腔に投与された局所麻酔薬が大量にくも膜下腔に移行することで生じます.
  • 症状は上行性に進行し,下肢からの運動・感覚麻痺,低血圧,徐脈が出現します.
  • 続いて,呼吸筋麻痺による呼吸困難・呼吸停止,舌下神経麻痺による発語困難,意識レベル低下,瞳孔散大へと進展します.嫌・・・.
  • 対処として,まず気道確保と100%酸素による人工呼吸を開始し,頭低位とし,大量輸液とエフェドリンやフェニレフリンによる昇圧,アトロピンによる徐脈の改善を図ります.重篤な場合はアドレナリン投与も考慮します.
  • 基本的には予後良好で,局所麻酔薬の効果消失(2〜3時間)とともに改善しますが,循環虚脱が遷延する可能性もあるため,それまではICU等で呼吸循環含めた全身管理を行います.
  • 昔一度だけ近い状況を起こしたことがあります.確か子宮筋腫かなにかの手術を硬膜外と脊髄くも膜下麻酔でやったんですが,硬膜外(Th11/12位)からボーラス投与したら上肢はおろか,顔まで感覚がないと言われたことが・・・.
  • ADPを起こした自覚や所見は穿刺時にはなかったのですが,たぶんそうなのかなと.意識消失や呼吸停止まではならず,数時間後には回復しましたが冷えたのを覚えています.
Q. 全脊麻が生じ得る区域麻酔にはどのようなものがありますか?
  • 硬膜外麻酔:硬膜穿破した状態での局所麻酔薬注入(量が多い).硬膜外カテーテルの髄腔内留置.
  • 脊髄くも膜下麻酔:通常は全脊麻が生じるほど麻酔高は上がりませんが,高比重を用いて高度頭低位を長時間とった場合や,1回目の穿刺で効果不十分と判断した2回目の穿刺を行った場合(量が多くなる上に,実はその後じわじわ1回目の効果が出てくるパターン)
  • 胸部傍脊椎ブロックや星状神経節ブロック(誤注入)など.
  • 予防には,適切な局所麻酔薬投与量,テストドーズの実施・分割投与などが重要です.

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