区域麻酔③:各種末梢神経ブロックとその合併症

さらりーまん

📘:書籍版に記載
🔵 青文字:重要
🔴 赤文字:最重要

Contents

📝 問題リスト

各シェーマは,私自身のエコー画像を元に作成し,不明瞭な部分や不確実な部分を解剖の教科書等を参考に再構成・多少脚色したものです.

🤔 末梢神経ブロックの基礎知識(

  • エコーガイド下末梢神経ブロックの利点を挙げてください
  • 📘 合併症予防のため,局所麻酔薬注入時に留意することを挙げてください
  • 末梢神経ブロックの禁忌を挙げてください
  • 📘 局所麻酔薬中毒を起こしやすい神経ブロック部位を挙げてください

🤔 腕神経叢ブロック(

  • 腕神経叢はどこからどこまでの脊髄神経からなりますか? 
  • 📘 腕神経叢ブロック各アプローチにおいて,局所麻酔薬は何をどの程度使用しますか
  • 腕神経叢ブロックの主なアプローチ法を挙げてください
  • 📘 腕神経叢ブロックの各アプローチが適した手術部位について説明してください
  • 📘 腕神経叢ブロック各アプローチの神経損傷,血管誤穿刺以外の合併症(や欠点)を挙げてください
  • 横隔神経麻痺を避けたい患者(重症COPD,対側横隔神経障害など)に腕神経叢ブロックを行う場合,どのアプローチを選択しますか?
  • 📘 次は腕神経叢ブロック斜角筋間アプローチのシェーマです.各部位の名前を答えてください
  • 📘 次は腕神経叢ブロック鎖骨上アプローチのシェーマです.各部位の名前を答えてください
  • 📘 次は腕神経叢ブロック腋窩アプローチのシェーマです.各部位の名前を答えてください

🤔 大腿神経ブロック(

  • 📘 大腿神経ブロックの効果範囲と適している手術について述べてください. 
  • 📘 大腿神経ブロックを施行します.どの部位に何をどのくらい投与しますか?
  • 📘 次は大腿神経ブロックのシェーマです.各部位の名前を答えてください
  • 📘 内転筋管ブロック(伏在神経ブロック)の利点と適応について述べてください
  • 📘 次は内転筋管ブロックのシェーマです.各部位の名称を答えてください
  • 📘 IPACKブロックとは何ですか.適応と利点を述べてください
  • 📘 腸骨筋膜下ブロック(FIB)の適応とブロックされる神経を述べてください

🤔 坐骨神経ブロック(

  • 📘 坐骨神経ブロックの効果範囲について述べてください
  • 📘 坐骨神経ブロックはどのような手術に適していますか? 
  • 📘 次は坐骨神経ブロック臀部(近位部)アプローチのシェーマです.各部位の名前を答えてください
  • 📘 次は坐骨神経ブロック膝窩アプローチのシェーマです.各部位の名前を答えてください

🤔 閉鎖神経ブロック(

  • 📘 閉鎖神経ブロックの適応と効果範囲について述べてください
  • 📘 次は閉鎖神経ブロックのシェーマです.各部位の名前を答えてください

🤔 肋間神経ブロック(

  • 📘 肋間神経ブロックではどの部位に局所麻酔薬を注入しますか?
  • 📘 次は肋間神経ブロック(背部:肩甲骨と脊椎の間)のシェーマです.各部位の名前を答えてください
  • 📘 肋間神経ブロックの合併症を挙げてください
  • PECSⅠブロックとPECSⅡブロックはそれぞれ,どの層に局所麻酔薬を注入しますか?  
  • 前鋸筋面ブロック(SPB)の注入部位と適応について述べてください
  • 📘 傍脊椎腔はどこにありますか.また,胸部傍脊椎腔ブロックでは何をどのくらい使用しますか 

🤔 腹部のブロック(

  • 📘 腹横筋膜面ブロック(TAPブロック)の効果範囲と適応について述べてください
  • 📘 次は腹横筋膜面ブロック(肋骨弓下)のシェーマです.各部位の名前を答えてください
  • 📘 次は腹横筋膜面ブロック(側方)アプローチシェーマです.各部位の名前を答えてください 
  • 📘 腹直筋鞘ブロック(RSB)の効果範囲と適応について述べてください

👥 はじめに

まっすー

先生の若い頃は末梢神経ブロック盛んでした?

さらりーまん

いや全然.大学でもやってなかったね.15年位前からエコー装置の進化もあって,急速に普及してきた感じ.術後痛管理も含めてすごく便利になったね.合併症には注意しないといけないけど.

まっすー

ブロックの種類とかどんどんマニアックになってきてる気もします.

さらりーまん

あらゆるジャンルの宿命だね😅.とりあえずメジャーなものは確実に押さえてできるようにしておこう.あとは周辺の解剖の知識もね.

Keywords

末梢神経ブロック:PNB 腕神経叢ブロック 斜角筋間アプローチ 鎖骨上アプローチ 鎖骨下アプローチ 腋窩アプローチ 横隔神経麻痺 偶発的気胸 大腿神経ブロック 坐骨神経ブロック 閉鎖神経ブロック 肋間神経ブロック PECS 胸部傍脊椎ブロック 傍脊椎腔 腹直筋鞘ブロック:RSB 腹横筋膜面ブロック:TAPB 局所麻酔薬中毒 伏在神経ブロック 内転筋管ブロック

🤔 末梢神経ブロックの注意点

エコーガイド下末梢神経ブロックの利点を挙げてください
  • リアルタイムで神経,血管,周囲の解剖構造を描出でき,針先の位置と局所麻酔薬の広がりを確認しながら施行できます.
  • これにより,神経損傷や血管穿刺のリスクが低減し,局所麻酔薬の使用量を減らすことができます.また,効果発現が早く,成功率の向上が期待できます.
補足・解説
  • ランドマーク法やパレステジア法(針先を刺入して異常感覚を誘発する方法)と比較して,エコーガイド法は安全性と成功率の両面で優れていることが複数の研究で示されています.
  • ただしエコーだけに頼るのではなく,体表のランドマークや解剖の理解を併せ持つことが大切です.エコーの画質が悪い場合や描出が困難な症例に遭遇することも当然あるので.
  • また,エコーガイド下であっても,吸引テストや分割注入などの安全策は必ず行います.
📘 合併症予防のため,局所麻酔薬注入時に留意することを挙げてください(末梢神経ブロック時
  • 注入する前に一度吸引し,空気や血液,髄液などが引けないことを確認します.問題なければ1mL程度注入し,抵抗がないことを確認します.
  • 注入時に患者に強い痛みやしびれがないことを確認します.
  • エコーガイド下の場合は局所麻酔薬の広がりを確認し,針先が投与部位に位置していることを確認します.
  • 抵抗があった場合は神経内注入の場合があるため,絶対にそのまま注入してはならず,針先の位置を調整します.問題がなければ3〜5cc程度ずつ分割注入します.
  • 局所麻酔薬中毒の徴候(急に多弁になったり口唇の痺れが出たりなど)が出ていないかなどを注視します.
補足・解説
  • 高い注入圧(=強い抵抗)は神経内注入を示唆する重要なサインです.ある研究では,注入圧 > 20 psiで神経損傷リスクが高まると報告されています.
  • もう一つ大切なことは,「吸引で血液が引けなかったからといって血管内注入が否定されるわけではない」ということです.針先が血管壁に接している場合や,細い血管内にある場合は陰性になりえます.だからこそ分割注入が重要です.
  • 手の力があまり強くない看護師さんが一生懸命に注入するのを見ると「そんな力いれないで〜!」とどきっとすることがあります・・😅.患者さんも症状訴えないし,画像的にもスムーズに広がるので大丈夫なのはわかってるのですが・・
末梢神経ブロックの禁忌を挙げてください
  • 絶対的禁忌としては,患者の拒否,穿刺部位の感染,局所麻酔薬アレルギーがあります.
  • 相対的禁忌としては,抗凝固療法中や凝固異常(特に深部ブロックで問題となる),穿刺部位の腫瘍浸潤,当該神経領域の既存の神経障害(ブロック後に新たな症状との区別が困難になる)などがあります.
補足・解説
  • 抗凝固療法とブロックの関係は,脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔ほど厳密な基準はありませんが,圧迫止血が困難な深部ブロック・深部神経叢ブロックでは特に慎重な判断が必要です.表在ブロック(腋窩アプローチや末梢の筋膜面ブロックなど)は抗凝固下でも比較的安全とされています.
  • ASRAガイドラインでは,深部神経叢・深部末梢神経ブロック(腰神経叢ブロック,傍脊椎ブロック,坐骨神経の深部アプローチなど)について,脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔と同程度の慎重な管理が望ましいとされており,休薬期間もneuraxialの推奨を参考にしつつ,患者背景と施設方針で最終判断します.ただし日本の施設では「PNBに対する明文化されたマニュアルがない」ことも多いため,施設ごとの運用整備も重要です.
📘 局所麻酔薬中毒を起こしやすい神経ブロック部位を挙げてください
  • 一般に,血流の豊富な部位ほど局所麻酔薬の血中吸収が速く,中毒リスクが高くなります.
  • 血中吸収速度はおおむね,肋間神経ブロック>硬膜外>腕神経叢ブロック>坐骨神経ブロック>皮下浸潤の順に高いとされています(細かな順位は文献により差があります).
補足・解説
  • 肋間神経ブロックは肋間動静脈が近接走行するため,血中への吸収が非常に速く,局所麻酔薬中毒のリスクが最も高いブロックの一つです.複数肋間にブロックする場合は総投与量に特に注意が必要です.
  • 腋窩アプローチでの腕神経叢ブロックも,血管が豊富な領域で行うため,血管内誤注入や急速吸収による中毒リスクに注意が必要です.
  • LAST予防の基本は,局所麻酔薬の最大投与量を理想体重(IBW)ベースで厳守することです.肥満患者に実体重で計算すると過量投与になりえます.また,高齢者や肝機能・心機能が低下した患者では代謝が遅延するため,さらに減量を考慮します.
  • 血管収縮薬(アドレナリン)の添加は吸収速度を低下させて最高血中濃度を下げる効果があり,特に高リスクブロックでは有用ですが,末梢の動脈近傍で使用する場合は虚血リスクとの兼ね合いを考慮します.

🤔 腕神経叢ブロック

腕神経叢はどこからどこまでの脊髄神経からなりますか? 
  • C5〜T1の脊髄神経前枝により構成されます.
  • 神経は上神経幹(C5,C6),中神経幹(C7),下神経幹(C8,T1)を形成し,最終的に筋皮神経,正中神経,尺骨神経,橈骨神経などに分岐します.
補足・解説
  • ただし,個人差があり,C4からの寄与(プレフィクス型)やT2からの寄与(ポストフィクス型)が認められる場合もあります.
  • 神経ブロックにおいて,解剖学的知識は,安全・確実に施行する上で重要です.解剖の大切さは,難しい患者さんに当たったときによくわかります・・😅
📘 腕神経叢ブロック各アプローチにおいて,局所麻酔薬は何をどの程度使用しますか
  • 局所麻酔薬はロピバカインあるいはポプスカインが広く使用されています.
  • 濃度はブロック単独で行う場合は0.375〜0.5%で,全身麻酔を併用する場合は0.2〜0.375%を使用します(施設による).
  • 局所麻酔薬はエコーガイド下で行う場合は15〜25mL,当施設では20mL程度をよく用います.盲目的に行う場合は(私は行ったことがありませんが)これより多量を必要とするようです.
補足・解説
  • 腋窩アプローチでは,各神経周囲に5〜7mL程度を分割投与します.
  • レボブピバカインやロピバカインの最大投与量は一般的に3mg/kgとされていますので,それを超えないように.
  • エコーガイド下では必要量を減らせることが大きな利点ですが,「少なければ少ないほどよい」わけではなく,効果不十分にならないよう適切な量を確保することも大切です.
腕神経叢ブロックの主なアプローチ法を挙げてください.
  • 斜角筋間アプローチ,鎖骨上アプローチ,鎖骨下アプローチ,腋窩アプローチの4種類があります.
  • 近年では肩関節手術における上神経幹ブロックの有用性も報告されています.
補足・解説
  • 上神経幹ブロックは,斜角筋間アプローチよりも遠位で上神経幹を選択的にブロックする方法で,横隔神経麻痺のリスクを低減できる可能性があるとして注目されています.

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