解剖学はつまらないのか!?🤔
🔷 解剖と生理は,単語と文法
「生理学」と並んで嫌いな人が多い「解剖学」.でも実はしっかり勉強すると生理学と同様に“最強”の理論武装になります.外国語習得のコアが「単語」と「文法」,そして「実践」なのと同じで,医学のコアは「解剖学」と「生理学」.
というわけで今日は 医学生・研修医・麻酔科医におすすめの解剖学教科書・アトラス を紹介していきます.
でもたくさんあるなかでどれがよいのでしょうか?
解剖も「美しいイラスト系」「シェーマが多いゴリゴリ教科書系」「実物系」とさまざまですね.分野的にも総合的なもの,分野別のものなどとわかれています.
結論としては「分野ごとに一つお気に入りを持っておく」です.まぁどれも基本的には高価なものも多いですし😅.参考書マニアを自称する私でもそんなにもってるわけではないです.
解剖学の教科書は少々教科書が古くても問題なく使えるのがいいですね!(人体の構造は変わらないので)
また,最近は電子書籍化(KindleやM3電子書籍)もされており,重い本を持ち歩かなくてもよくなった素晴らしい時代です.でも目につかないので本棚以上に積ん読になるリスクも・・・😅
🔷 解剖学はなぜ“つまらない”?
私も大嫌いでした😅.私が通った大学は2年生で解剖学の講義と試験があったのですが,解剖学を落とすとそれ1つで「即留年」となる科目で学生から恐れられていました.実際,試験も難しく留年者も他の科目に比べて多かった記憶があります.
もともと人体への強い興味を持っている人が多い(はずの)医学生でも解剖学は嫌いという人が多いです.それはなぜでしょうか.それは・・
- 解剖と機能,疾患の知識がつながっていない
- 単純に名前が難しく,覚える量も多い.
おもにこの2つが理由だと考えられます.大きな臓器や筋肉,メジャーな血管ならまだしも,ものすごくこまかな部分や肉眼ではわからない部位の違いなどは,実臨床で見る疾患とのつながりが知識が乏しい医学生にはイメージしにくく,それが苦手意識を持ち始める大きな原因となっていると思われます.
その証拠に,イメージがしやすい筋肉には,ハイレベルな興味を持ってる人(特にビルダー系の人たち💪)がたくさん世の中にはいますよね😊.
🔷 実際に臨床を始めると実は楽しくなる
そんなつまらなかった解剖学も実際の臨床を始めると,自分の専門分野とつながり,その「目」ができた状態で教科書を俯瞰できるので,理解度が格段に上がり,急に面白く感じられてきます.特に外科系や,全身の解剖にある程度精通する必要のある麻酔科ではそれが顕著だと思います.
麻酔科領域では,神経ブロックなどは解剖わかってないとこわくてできませんしね😊.
📚 どの教科書使おうかな
🔷 解剖学実習には実際の写真が多い教科書がいいが・・
解剖学実習のころはおそらく指定の教科書(解剖学講義)や実際の写真が多く使われたカラーアトラスなどがあったと思います.しかし,改めて勉強する際には,「カラーイラスト系」の教科書と「アトラス」,「臨床につながる系」の本がおすすめです.
カラーイラスト系には理想的な解剖がわかりやすく描かれているので,基本を理解し直すにはちょうどよく,その知識をもとに,実際の患者さんを見るほうが理解が深まるのではないかと感じています.また臨床に即したテーマに沿ってまとめられています.
神経ブロック用や麻酔科医に特化した解剖・生理学の本は,改めて別ページ(←リンク予定)で紹介していきたいと思います!
📚 グレイ解剖学 原著第5版(2024年)
エルゼビア・ジャパン 2024年(アトラスは2021年)

グレイ解剖学 原著第5版

グレイ解剖学アトラス原著第3版 電子書籍付
グレイ解剖学とは?
名前は聞いたことがある人が多いと思います.アメリカのドラマ「グレイズ・アナトミー」の由来になった教科書で,世界的に最も有名な解剖学書のひとつ.
厚みのある本ですが,中身はカラーイラストと解説がバランス良く配置されていて,「読む」というより「調べる」感覚で使えます.
アトラスはこのグレイ解剖学の他にも「プロメテウス解剖学アトラス」や「ネッター解剖学アトラス」がありますが,どれを選んでも良いと思います.どれか1冊持っておきましょう!
原著第5版の特徴
- 価格が比較的手頃:ハードカバー版に比べて持ちやすく,学生でも(ぎり)手が届きやすい価格帯.
- フルカラーの図版:主要な臓器や構造がわかりやすいイラストで掲載されているので,初学者でも理解しやすい.
- 臨床とのつながり:ただ構造を並べるだけでなく,コラムも多く,実臨床的にどう関わるかが書かれている.
- 安心の世界標準の解剖学書
- イラストが見やすい → 机上学習よりも臨床イメージとリンクしやすい
デメリット🤔
- ❌ 分厚くて全部読むのは無理 → 必要な分野だけピックアップする使い方もおすすめ
📚 カラー図解 人体の正常構造と機能 改訂第5版(2025年)
日本医事新報社 2025年

カラー図解 人体の正常構造と機能 【全10巻縮刷版】 改訂第5版
解剖学の本といえば「グレイ解剖学」や「ネッター」などが有名ですが,これもおすすめ.2025年に最新版となる 改訂第5版 が出ましたので,さっそくレビューしていきます.
改訂第5版の特徴
- 美しいイラストで理解しやすい:解剖学の複雑な構造を,シンプルかつわかりやすいカラーイラストで表現. 学生はもちろん,臨床経験を積んだ医師・看護師が「学び直し」にも使えるレベル感です.
- 「正常構造と機能」を一体的に解説:ただ形を説明するだけでなく,その解剖がどんな働きを持ち,どう病態や臨床に関わるか が整理されています.
- 電子書籍対応:電子版もあるので重い本を持ち歩く必要なし.
- シリーズ実績ありで安心度高い
でも読破するのは大変です.自分の専門分野(外科系,神経ブロックなど)と関連分野に絞って読むのがオススメ.
📚 臨床のための解剖学 第3版
メディカルサイエンスインターナショナル(2024年)

臨床のための解剖学 第3版
8年ぶりの改訂で,章構成の再編,新図版・写真の刷新,クリニカルボックスの集約,章立てを実習手順に合わせるなど,大きなアップデートが行われています.
原著は,世界で最も使われている臨床解剖学テキストの1つとされています.こちらもみっちりと書かれており,読破するのは大変だと思います笑.内容も硬派なのですが,各専門分野の診療につながる優れた本で私は大好きです.名前とイラストと特集に惚れました😊
ただし,どちらかというと読みやすいのは見出しがしっかりしている,上記の「人体の正常構造と機能」のほうだと思います.
「体系的な解剖学+実臨床で使える知識」が欲しい人にとっての“生涯使える教科書”。試験や実習、その先の臨床でもずっと手に取り続けたくなる一冊です.また,初学者には情報量大すぎかも・・?😅
改訂第3版の特徴
- 量と情報の豊富さ:フルカラー図・写真数が多く、臨床医にも参考になる情報量
- 実習・手技・臨床シーンで役立つアプローチ
- 臨床関連のコラムや要点整理が学生にも使いやすい
📝 まとめ
- 解剖学は「単語と文法」.生理学と並ぶ医学の基礎武装.
- 学生のころはつまらなくても、臨床に出ると一気に面白くなる.
- 解剖学書は「イラスト系」「アトラス」「臨床寄り」などタイプが異なるので、分野ごとにお気に入りを一冊持つのがおすすめ.
- グレイ解剖学 → 世界標準の定番.
- カラー図解 人体の正常構造と機能 → 美しいイラストと機能解説で学び直しに最適.
- 臨床のための解剖学 → 各専門分野と直結する硬派な一冊.
- 解剖学の教科書は高価なものが多いですが,医療従事者であれば1冊はきちんとしたものを持っておきましょう!
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