
心臓外科でもやってない限り,だいたい出血してるときに使いますね



そうだね.出血が十分予想されてる場合は準備してあるからいいけど,予期せぬ場合,在庫がないと発注自体が後手後手になるし,届いてもすぐに溶けないからね.



出血させたのはわたしたちじゃ無いのに,「輸血遅いんじゃないの!?」って言ってくる外科医嫌いです.



こら他科の悪口いうな(👍)
【参考】日本赤十字社 血漿製剤(日本赤十字社公式)
「だいぶ前に頼んだ白(FFP),まだ溶けてないの・・!?」
現場では「白」の愛称で呼ばれることが多い新鮮凍結血漿:FFP.これは Fresh Frozen Plasma の頭文字をとったものです.心臓外科や大きな手術に関わる人なら,毎日のように目にしているのではないでしょうか.
🔷 製剤の特徴
小さな1単位製剤から5単位製剤までありますが,最もよく使われるのは中くらいの 2単位製剤(約240ml,400ml献血由来) です.薬価は2単位でおおよそ17000円(2025年時点).思ったより安い!?
見た目は淡い黄色で,その名の通り,−20℃以下で凍結保存され,有効期限は約1年間と比較的長めです.凍結しているのは,血漿中の酵素が凝固因子を分解してしまうのを防ぐためです.
🔷 溶解方法
使用する際は30〜37℃のぬるま湯でゆっくり溶かします(20〜30分程度).溶解後は原則として,3時間以内に使用 しなければならず,これは凝固因子の活性が時間とともに低下してしまうためです.
何のために使う?どう使う?
一言でいうと 「凝固因子の補充」 が目的です.つまり,出血を止める能力(凝固能)が低下しているときに使われます.
🔷 凝固能が低下する主な原因
- 血液性疾患:先天性や後天性の凝固因子異常など.
- 肝機能障害:凝固因子は肝臓で合成されるため,肝炎や肝不全では低下します.肝機能障害では血小板も減少し,さらに出血傾向が助長されます.
- 抗凝固薬の影響:ワルファリンやヘパリンなどによる作用.
- 大量出血時:手術室で使う場合はこれが一番多いかな・・?
🔷 実際の使い方
凝固能の状態を評価するために,PT(PT-INR),APTT,血清フィブリノゲン値などが測定されます.心臓に人工弁が入っている患者さんや心房細動の患者さんは,これらの値を定期的に確認して血栓形成を予防します.
FFP投与が検討される目安としては,
- 血清フィブリノゲン値が100mg/dL前後以下
- PT-INRが2.0以上(PTが基準値の約1.5倍以上)
- APTT延長が基準値の約2倍以上
といった状況が挙げられます(あくまで一般的な目安です).
周術期では,心臓手術や肝移植などでの持続的な微小出血,DICによる出血傾向,大量出血(循環血液量に匹敵するレベル),またワルファリン服用患者の緊急手術で効果を急速に打ち消したい場合などに使用されます.
🔷 補足ポイント
臨床的な出血傾向が出るのは,凝固因子活性が通常の20〜30%程度にまで低下したときとされています.大量出血があっても30〜40%は残存するといわれており,必ずしも即座にFFPが必要になるわけではありません.しかし,そのような場面では止血の目処が立たないことも多く,オーダーは早めにしないと間に合いません.
なぜなら…… 急ぐときほどなかなか溶けないんです!! 😡💢
ちなみに,体重60kg程度の患者に6〜7単位を投与すると,凝固因子活性が30%程度,血清フィブリノゲンが30mg/dl程度上昇するとされています(目安値).
まとめ
- FFP(新鮮凍結血漿)は凝固因子を補充するために使用される.
- 保存と溶解:−20℃以下で約1年保存可.解凍は30〜37℃で20〜30分,解凍後は3時間以内に使用.
- 使用目的: 凝固能低下時の補正.原因には血液疾患,肝機能障害,抗凝固薬の影響,大量出血などがある.
- 投与が検討される目安:フィブリノゲン≲100mg/dl,PT-INR≳2.0,APTT延長≳2倍(あくまで一般的な目安).
- 周術期では心臓手術・肝移植・DIC・大量出血・ワルファリン内服中の緊急手術(急速拮抗)などが代表的な使用場面.
- ポイント:臨床的な出血傾向は,凝固因子活性が20〜30%程度に低下して出現するとされる.
- 急ぐときほど溶けない! → だからこそ,早めのオーダーが大切.