📘 甲状腺手術の気道確保と術後合併症【読んで学ぶシリーズ】

📘 専門医試験対策目次blognote

内容

はじめに

まっすー

明日の巨大甲状腺腫瘍はんぱないんですけど

さらりーまん

あぁ,確かに大きいね.気道の評価が超大事だけど,ちゃんとチェックした?

まっすー

もちです.診察では努力様呼吸は見られなかったですけど,仰臥位になると少し呼吸困難ありました.喘鳴はなし.Mallampatiは3度.肥満はなし.顔面の浮腫はなし.

さらりーまん

画像的には?

まっすー

CTでは気道狭窄ありますね.左右の偏位はなし.最狭部は8mmくらいですね.大血管系への影響はなさそうです.

さらりーまん

ほんで?挿管はどうする?

まっすー

普通に導入するのはこわいので,フェンタニルちょこっとと口腔〜咽頭部の表面麻酔して意識下ファイバー挿管ですかね.あと体位は頭高位をとります.患者さんもその姿勢のほうが楽みたいなんで.

さらりーまん

それが一番無難だね.明日の人はそれで大丈夫そうだけど,もっと酷い症例の場合はどうする?

まっすー

ECMOスタンバイします.といってもそこまでする症例はまだ見たことないですけど.

さらりーまん

まぁそう多くないけど,酷い甲状腺腫瘍の人とか,上大静脈症候群を起こしてる縦隔腫瘍でほんとに重症な場合はECMO回すこともある.
まぁ気道確保はそれでいいとして,甲状腺術後の合併症で大事なのは?

まっすー

術後出血,反回神経麻痺,あとは低カルシウム血症とかですかね.

さらりーまん

そう.術後出血は口頭試問でもよく問われるし,低カルシウム血症に伴う症状(Trousseau徴候)も最近出題された.反回神経麻痺は片側だと嗄声で済むけど,両側起こすと声門が閉じて危険なので,術中モニタリングと合わせて抜管前後でも観察が重要.

まっすー

あしたは無事に終わることをいのります.あ,意識下挿管の時はちゃんと手伝ってくださいね.

巨大甲状腺腫瘍の術前評価:身体所見と画像検査

🔷 身体所見・診察

 巨大甲状腺腫瘍患者では,術前に気道狭窄の症状・徴候を詳しく評価する必要があります.安静時や横になるときの呼吸困難の有無、努力呼吸の兆候喘鳴の有無を確認します.一般に、気道径が高度に狭窄すると安静時にも吸気性喘鳴が生じ、これは高度な気道圧迫を示唆します.
 嗄声や声質の変化もチェックします.嗄声は反回神経麻痺や腫瘍による声帯運動障害を示唆しうるため,術前から声帯麻痺がないか,耳鼻科での声帯評価(喉頭ファイバー検査)も考慮されます.
 甲状腺腫瘍が上縦隔へ及ぶ場合は,縦隔腫瘍でも問題となり得る上大静脈症候群(顔面・頸部の静脈鬱滞、Pemberton徴候など)が生じることがあります.

ここから先は「オンラインメンバーシップ限定」です. ↓の「新規ユーザー登録」から登録申請を行ってください.

既存ユーザのログイン
   
X(旧twitter)でも更新通知してます!
  • URLをコピーしました!

コメント