📘 帝王切開時の覚醒遅延や意識障害【読んで学ぶシリーズ】

Contents

はじめに

😊さらりーまん麻酔科医とまっすーのいつものやりとり
さらりーまん

あれ?胎児機能不全で全麻カイザーになった患者さん,まだ覚めてないの?

まっすー

そうなんです〜(´・_・`)

さらりーまん

赤ちゃんも大丈夫だったし,元々合併症もない患者さんだったよね.じゃぁいつも通り原因検索.言ってみて

まっすー

麻酔薬残存,筋弛緩残存,血糖値異常,電解質異常(Na,Mg,Ca),中枢性疾患,低酸素血症,高二酸化炭素血症・・・

さらりーまん

麻酔薬は何使った?

まっすー

初めフェンタとセボ,ロクロ,途中からプロポ持続です.

さらりーまん

筋弛緩拮抗は?

まっすー

しました

さらりーまん

結構太ってたよね.

まっすー

着やせするタイプなんで

さらりーまん

おまえのことなぞ聞いてない

まっすー

150cm80kgでした

さらりーまん

プロポフォールはTCIポンプだよね?理想体重で投与した?

まっすー

あ・・

さらりーまん

たぶん過量投与だね.まぁ待つしかないね.一応瞳孔見てガスとって明らかな異常がないの確認といてね.

まっすー

はい(´・_・`)

周術期の一般的な覚醒遅延

 二人の会話でもあったように,患者特有の特殊な疾患がある場合を除き,一般的な覚醒遅延の原因は下記のものがほとんどです.

一般的な覚醒遅延の原因
  • 麻酔薬の残存:主にプロポフォール,ベンゾジアゼピン,レミフェンタニル,フェンタニルなど
  • 筋弛緩薬の残存:特に持続静注していた場合.厳密には”覚醒”遅延ではないが.
  • 長時間手術:特に脳外科手術
  • 大量出血,大量輸液・輸血など循環に大きな変動があった場合
  • 局所麻酔薬中毒:硬膜外チューブが血管内に入っている状態で注入した場合や,末梢神経ブロック時の血管内注入,単純な過量投与
  • 全脊髄くも膜下麻酔:硬膜外チューブがくも膜下腔に迷入した状態で注入.
  • 電解質異常:低ナトリウム血症や高マグネシウム血症,高カルシウム血症など
  • 低酸素血症,高二酸化炭素血症
  • 血糖異常:低血糖,DKAやHHSなど
  • 中枢性疾患:脳出血,くも膜下出血,脳梗塞
  • 低体温:低体温自体に麻酔効果がある

 最も多いのは,特に高齢者や肥満患者において,麻酔薬が相対的に過量投与になっている場合です.この場合は特に問題なく,吸入麻酔薬であれば呼吸を通して体外への排出,静脈麻酔薬やオピオイドであれば体内での代謝・排泄を待てばいいですね.昔の吸入麻酔薬は特に”抜け”が遅かったですね.当時比較的早いと言われていたイソフルラン(フォーレン®)でも,長時間肝臓切除術等で使用した際には,2時間以上覚めないこともよくありました😅 
 そんなときはもう外科の先生たちも諦めてましたね笑

 原因検索の方法としては,上記の原因に即して行います.

ここから先は「オンラインメンバーシップ限定」です. ↓の「新規ユーザー登録」から登録申請を行ってください.

既存ユーザのログイン
   
X(旧twitter)でも更新通知してます!
  • URLをコピーしました!
Contents