これで解決,ガンマ計算!〜仕組みから理解する〜【Quick Tips】

まっすー

慣れると簡単なんですけどね

さらりーまん

そうだね.初めは「なんかややこしい!」ってなるけど.きちんと意味を理解しておこう.海外では使わないように.

なっちゃん

計算苦手なんですー

Contents

はじめに

「ガンマ」って何? 〜持続投与量計算の呼び名〜

 日本の臨床現場では,ドパミンやノルアドレナリンなどの持続投与量(μg/kg/min)を「ガンマ(γ)」と呼ぶことが多いです.これは1970年代に集中治療領域で定着した略語で,日本独自の呼び方です.海外では素直に “μg/kg/min” と表現します.

例:4γ(ガンマ)= 4 μg/kg/min

なっちゃん

体重を用いた便利な計算方法とかありますし,それではダメなんですか?

さらりーまん

ダメというわけではないけど,きちんとわかっておくに越したことはないし,応用が効かないからね.後輩に利かれて「



なぜ仕組みを理解すべき?

 たしかに簡易計算法や,パッケージの換算表,スマホの医療系計算アプリは便利ですよね.でも,なんにおいてもそうですが,優れた道具をよりよく使用できるのは,道具がなくてもできる人です.そういった人が使って初めてさらに便利になるイメージです.
 いいゴルフクラブは素人が振ってもよく飛びますが,プロが使ったらもっとすごくなるようなもんです😊

 いや,いいんです.人間は計算間違いや勘違いする生き物なので.私も’ガイドラインの薬物投与量やチェック項目などの表を貼っておいて,確認の意味で見ますし.しかし,仕組みやなぜそうなっているかを確認せずに用いるのはあまりよくないと思うのです(略語も).別にスマートフォンやパソコンなどの先端技術の仕組みや物質の成り立ちから理解しろといってるわけではないので.誤解や換算ミスを防ぐためにも,一度は計算式を理解しましょう.

イノバン注0.3%シリンジ(テルモ)のシリンジパッケージより

ガンマ計算の2ステップ

 計算は思っているよりも簡単です.ポイントは2つ✌️

  • その人にとっての「1ガンマ」の量を計算する.
  • その流量を薬物の濃度で割って流量を出す
STEP
まずはその人にとっての「1ガンマ」がどれくらいかを計算する.

計算しやすいので,ここでは体重50kgの人に5ガンマ(μg/kg/分)で投与することにしましょう.ガンマの単位は1分あたりの量です.「シリンジポンプの設定はmL/時」なのでとりあえず1時間(60分)の投与量に直しましょう.

1(μg/kg/分)× 50(kg)× 60(分)= 3,000(μg/時)

3,000μg = 3mgなので,この人に対する1ガンマは3mg/時になりました.もちろん1ガンマ = 体重(㎏)× 0.06 ㎎/時 として覚えてもよいですが,もし忘れてもきちんと計算ができる前提です.

この薬を5ガンマ投与したいので,5を掛けて 15mg/時 になります.

STEP
あとは溶液の濃度で割るだけ.

たとえばドパミンは3mg/mLの溶液であることが多いので,

15(mg/時)÷ 3(mg/mL) = 5(mL/時)

これで終わりです.簡単でしょ?
シリンジポンプの設定は時間当たり5mLの速度で投与すればよいことになりました.パッケージの表で見てもそうなってますよね笑?

練習問題!

では,最後に練習しておきましょう

習①: 体重60kgの患者に3mg/mLの薬物を4μg/kg/分で投与するときの流量は?

 まずは先ほどと同様に「この人にとっての1ガンマ」を計算しましょう.

  • 1(μg/kg/分)× 60(kg)× 60(分)= 3,600(μg/時)= 3.6(mg/時)
  • 溶液の濃度は3mg/mLなので,これで割ると 1.2(mL/時)
  • 4ガンマでの投与なので,これに4を掛けると 4.8(mL/時)

 できました!

練習②:体重70kgの患者に0.1mg/mLの薬物を0.25μg/kg/分で投与するときの量は?

 同様に計算していきます.

  • 1(μg/kg/分)× 70(kg)× 60(分)= 4,200(μg/時)= 4.2(mg/時)
  • 溶液の濃度は0.1mg/mLなので,これで割ると 42(mL/時)
  • 0.25ガンマでの投与なので,42 × 0.25 = 10.5(mL/時)

 気付いた人も多いと思いますが,これはレミフェンタニルでよく投与する量ですよね😉.

補足:溶解しなければいけない粉末薬の場合は・・・

 練習問題②のように粉末の場合は溶液の濃度は決まっていませんので,濃度は自分で決める必要がありますレミフェンタニルは原則として0.1mg/mLとなるように溶解するように推奨されていますが,ノルアドレナリンやアドレナリン,PGE1阻害薬,ランジオロールなどは色々な人が色々な溶解をすることがあるので,きちんと計算できないと間違うおそれがあります.そのため,病院や部署で統一されているところも多いと思います.

1mL/時が1ガンマになる溶解・希釈方法もあるけれど・・・

 流量が即ガンマになるようにする溶解・希釈方法もあり,簡易計算法もあります.全然こちらでもよいと思います,
 が,一度上記のようにきちんと計算がわかってる人が使用しましょう.

まとめ

  • 1γ(mg/h)= 体重(kg)× 0.06
  • 流量(mL/h)= 必要量(mg/h)÷ 濃度(mg/mL)
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