基本に則って頑張りましょう!
心得などと上から目線ですみません・・(^◇^;)
この数年、多くの受験された先生方の体験談を読ませていただき、色々と共通していることや、こうすればいいなと思ったことがありましたので、ダラダラと語っておきたいと思います!
ホテル・会場編
- ホテルは余裕があれば ポートピア !
- 口頭試問は一応スーツが無難!(必須ではない)
- CBTの会場は事前にチェック!
- 口頭試験待機室はデジタル機器は全て不可🆖
時間には必ず余裕をもって!
ホテル
よほど試験会場に近くない限り前泊しましょう。交通事故や台風などの影響を考慮すれば、その方が無難です。私は西日本だったため筆記試験も神戸会場でした。ポートピアホテルが取れればそれにこしたことはありませんが、ややお高めですよね^^;
また,レイトチェックアウトにしておくと集合時間によっては直前までゆったりと過ごせるようです.
私は二年連続三ノ宮駅近くのビジネスホテルに泊まりました。
口頭試験に失敗した年、ホテルの近くでラーメンを食べた帰りに、右手の路地から自転車に乗った兄ちゃんが近づいてきました。何かブツブツ言ってるなぁ、と思って耳を澄まして聞き取ると「ぱられるぱられるぱられるぱられる・・・」。
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きっと呪いの歌だったのでしょう。落ちたのもきっとそのせいだと信じてます 笑。
試験会場での服装や注意点
筆記試験は各地で CBT の試験になったので服装も気にすることがなくなりました!
持ち込めるものは「ハンカチ,ティッシュ,目薬」のみで,計算用紙とボールペンは用意されています.試験問題の冊子は無くなったため,必然的に持ち帰りが出来なくなりました(計算用紙も持ち帰り不可).荷物等はロッカーに入れることになります.
会場では同時に他の資格試験の受験が行われていることもあります.
また,プロメトリック社の体験版では計算機機能が使用できたようですが,本番では全て紙での手書きの計算しか出来ませんので,要注意です.
口頭試験での待ち時間はデジタル機器は一切禁止です。iPadを取り出して見ていたツワモノもいたらしいですが、外に連れ出されたそうです((((;゚Д゚))))))).毎年いるようですが,そんなことで試験失格になると時間と労力とお金がもったいないので止めましょう!専門医試験の好評でも注意喚起されています!
口頭・実技試験も普段着でOKらしいですが(問い合わせた先生からの情報)、見栄えも考慮すると動きやすいストレッチスーツなどがベストかなと。私の知り合いの先生は半袖半パンで受けましたが、そことんがるところではないので・・(ちなみに一発で合格してました・・).なので本当に関係ないみたいですね.
試験共通事項
- 万全を期すなら,勉強開始は春先から!
- スキマ時間を有効に!
- 画像はこまめに目を通そう!
- ガイドラインは必ずダウンロード!
毎日のコツコツの積み重ねが活きてくる.
勉強を始める時期としては人それぞれですが、半年前~1年前のどこかで筆記試験の過去問から始められる方が多い印象です。これは勤務状況によっても差が出ると思いますので一概には言えないと思います。
ただ、症例数の割に常勤が少ない、当直・オンコールが多い、大学院などでの研究が忙しい、子育ても大変などという方などは、麻酔科として応援体制があるところを除けばかなり時間をとることが難しいので、スキマ時間を有効に使わないといけなくなるでしょう。
おおよその方は7~9年目でしょう。そう、大学でも外病院でも基本的に中間管理職。下からは(たぶん)頼りになる兄貴や姉貴、上からは(たぶん)とりあえず目をあまり光らせなくても大概のことは自己完結できる(たぶん)使える奴ら(笑)。学会発表の後輩の指導もついでに頼まれる。女性だと結婚、出産がからみやすい年齢。そう、忙しすぎ!!
Millerなどの成書を忙しい臨床の合間にただただ読んでいくのは(一部の超優秀なマニアックな人を除いて)無謀であり、試験対策だけを考えれば非効率的です。教科書(特に成書)はあくまで日々の症例ごとに辞書的に使うことで、知識の重ね塗りをしていくにとどめましょう。
普段の臨床においては、その症例の問題点・注意点を練習のために声に出して確認、麻酔器始業点検も毎日とは言いませんがちょこちょこと実際に練習し、バイタル変化やその時に起こってほしくないことが起きた場合にどう鑑別と対処を行っていくかを念頭に置いて行うべきです(まぁ当たり前ではありますが・・笑)。
また、抗がん剤治療や各種診断なども問われていますので、術前の診断の根拠となったCTやMRI、抗がん剤の種類や量まで目を通しておきましょう。まとめてするものではないのでちょこちょこと見ることを繰り返すことで、投薬内容、種類、量、読影の仕方などが染み込んでいけばいいと思います。余裕があれば緩和ケアも。
麻酔科学会のHPで見られる各種ガイドラインは必ずダウンロードして、目をしっかりと通しておきましょう。特に気道管理ガイドライン、危機的出血のガイドラインなどは頻出です。
JB-POTを取得しておくとTEE関連の問題は楽勝だそうです。
口頭試験も実技試験も明らかな勘違いだろうなぁとわかるもんは訂正してくれるそうです(試験官の先生次第な気もしますが(^^;;)
筆記試験対策
- とにかく過去問!5年×3周がスタンダード!
- CBTは一度体験版の利用を!
差がつかないからこそ,過去問を確実に
62回から,各地のCBTを受けられる会場での受験となりました.わざわざ神戸や東京まで出向かなくてもよくなりましたね!
試験の申し込みミスが数件確認されたようなので,申し込み要項を超チェックです!
61回筆記試験より,従来のABC問題から基礎問題80問90分(60回までのA+B問題)と臨床問題55問90分(今までのC問題)に変更になりました.途中退室も可能です.
61回では基礎問題も臨床問題も過去問が6割強出題されていたことですが(ただし多少のアレンジがある場合あり),62回では新問題が多い印象だったようです.
全ての問題が選択パターンなしの「正しいものを選べ」問題となっています.選択肢一文一文の正誤判定をしっかりと行わなければなりませんので,数値や語尾などにまでしっかりと注意を払いましょう.
今まではA問題を落とさないかが合否の分かれ目でしたが,今後は¥textbf{トータルで過去問分をいかに落とさないかが勝負}になります.
センター試験を生き抜いてきた私たちには言わずもがなですが,「正しいもの」か「誤っているもの」,「いくつ選ぶのか」の確認をしっかりと.CBTのため問題一覧を見ることができ,解いた問題の色が変わり,未回答問題や気になる問題などはPC画面で確認できます.ずれも起こりえないですし.選択肢を指定の数より多く選択できないようになっていたり、CBTは総じて好評のようです.ただし,複数回答の問題で1つしか回答指定ない場合も「回答済み」になるようで,その点は注意が必要です.
対策は兎にも角にも過去問です!!少ない人で3年分,多い人で7年分(最大9年分という方もいましたが),多くの先生は5年分×3周を目安に取り組んでいるようです.ただし,62回では6年前の問題の出題もかなりあったようなので,7〜8年分見ておいたほうがより確実かもしれません.
筆記試験対策に時間をかけすぎて,筆記試験終了後に口頭試験を始めて「もっと早く口頭のはじめておけばよかった・・」と後悔する先生がたの報告が毎年あります.早め早めの対策を!
毎年,統計問題,面倒な計算問題,麻酔の歴史は捨てる先生も多いようですが,過去問に出たものはしっかりと押さえておきたいところです.ただし,これらの分野は最近出題が減少している傾向にあります.
筆記試験の知識の補強としては稲田先生の『麻酔への知的アプローチ問題集』もおすすめ}ですね!
プロメトリック社のWEBページ(https://www.prometric-jp.com/)で体験版の利用ができますので,取り消し線の付け方や見直すためのチェックなど,ぜひ練習しておきましょう!(Windowsのみ)
口頭試験対策・口頭試問対策
- 声に出す練習を必ずしよう!
- 口頭試験の練習は必ず対人で!緊張感がある程度ある状況での練習が効果的!
- 大きな声ではっきりと.協議する問題は自身を持って.
本番の雰囲気は独特.必ず人との練習を!
口頭試験概要
受け終わった後に,絶対二度と受けたくねぇ!!と思う試験です.合格後は「全力で更新」していきましょう!!更新時期や単位取得をミスって再受験の憂き目に遭う先生方もちらほらいらしゃいます・・・
口頭試験は60回までの1題から再び昔のスタイルの2題に戻り,時間は15分×2です(入室前のメモ書き時間は5分).基本的に巻き巻きで進むことが多いようです.
通常の手術に関する問題に加え,緩和医療,敗血症管理,神経障害の治療など,複合的な問題も多いです.40回台の問題を見ると最近のものに比べてかなりシンプルなのがよくわかります..術前や術後に抗がん剤治療を受けている患者さんの投薬や副作用への対処,病院にペインクリニック部門があれば患者さんの症状と投薬内容まで実際の診療を見ることができればいいと思いますが・・・
経験する施設によって弱点になりやすいところは,ペイン・緩和領域,心臓血管外科領域,小児(特に新生児)といったところでしょうか.この分野はできるだけ基礎知識と基本的な合併症・対処などを把握しておき,何かは言えるところまでは知識を引き上げておく必要があるでしょう.ほぼゼロ知識で運悪く当たってしまった場合にホセ・メンドーサとの試合後のジョーのように真っ白になって全滅しかねませんので・・orz(古いか).
日頃のトレーニングとしては,同僚や上司の先生などにいろいろ質問してもらったり,模擬試験をやってもらったりで慣れていけばいいと思います.病院や医局などで試験のために勉強会やセミナーなどもされているところもあると聞きます.
とにかくしっかりと声に出す練習をしていないと,「わかっていても」言葉が出てこないことがままあります.私は鏡相手にもブツブツいって練習していました.とある先生からの情報によると,試験官の先生方がレストランでの食事中に「とにかく声がしっかりと出ていないとダメ」とおっしゃっていたようなので,しっかりと声を出しましょう(面接のためというよりは,日頃からしっかりと大きな声で外科医とコミュニケーションが取れていそうかどうかを判断されているようです).
また,受験態度の悪さや接遇・コミュニケーション問題での不適切な対応はそれだけで不合格に値するとの情報もあるようなので(信じられないことですが,試験でも不遜な態度を取る方がいらっしゃるそうです),誠実な態度で臨みましょう(緊張していること自体は全然大丈夫です!)
勉強を始める際には,まずは専門医制度の必修症例がある「心臓外科」「脳神経外科」「胸部外科」「産婦人科」「小児科」領域から潰していくといいと思います.
口頭試験では実技試験ほどではありませんが,「う〜ん」と唸っていると時間がなくなりそうな感じなのでテンポよく,解答に詰まる場合には先に進めてもらうのもアリです.その先の質問がヒントになっている場合もありますので.
多くの受験された先生方が,拙著(メインブログ参照)の口頭試験過去問や想定問題を同僚の先生と問題を出し合いながら実際に声に出して答える,という方法をとっているようです}.こうすることで,問題の内容はともかく「回答することに慣れる,言葉が出やすくなる」という効果がありますので,皆さんもぜひ行ってみてください.
口頭試験会場に向かう通称「ドナドナエレベータ」での出荷時に,勇気のある誰かが「ドナドナ」を歌うと場が和むと思います.まぁ私語厳禁なのですが笑.
他の対策本としては,稲田先生の「麻酔への知的アプローチ口頭試験問題集」や山蔭先生の「麻酔科専門医合格トレーニング」もオススメです!
症例問題点の把握
症例提示があった後に,その症例の麻酔管理上の問題点を指摘します.術前合併症であったり,状況設定(交通外傷など)であったりします.症例の内容自体とこの問題点でこの後何が聞かれるかが予想できることもあります.ここでつまづく人はほとんどいないと思います.
ですが最近これ聞かれてないことも多いです・・笑.大前提なのか,時間がもったいないからなのか(もたもたしているとかなり時間は押しそうなので).
麻酔法の選択とモニタリング
問題点を考慮した上での麻酔導入法,維持の方法が聞かれます.これも臨床麻酔に携わっていればいつも行なっていることですが,状況設定によっては少し悩むことがあるかもしれません.特に普段その麻酔をそんなにかけていない場合(新生児や心臓外科の症例など)は焦ってしまうことがあります(私がそうでした).
よくある例としては,交通外傷でフルストマック,消化管穿孔敗血症でショック状態の導入・維持や,MEPをモニタリングする脳外科手術の麻酔法,気道確保困難が予測される患者の導入法などです.
みなさん慣れている麻酔法や挿管デバイスがあると思いますので(といっても今の時代そんなにバリエーションがあるわけではないですが),それをベースに提示症例ごとにアレンジすればいいと思います.普段かけてないけれども問題ではよく出るものは典型的な麻酔法を覚えておけば良いと思います.それやっちゃダメだろー,というものを言わなければ大丈夫だと思います.
モニタリングは重症患者症例でよく聞かれます.必要と思われるものを答えましょう.例としては動脈ライン,中心静脈カテーテル,肺動脈カテーテル,BISモニター,NIRS,MEP,TEEなどでしょうか.一般的なモニタリング(非観血的血圧測定,経皮的酸素飽和度モニター,心電図,体温計)は除いて,と言われることがあります.聞くまでもなく全症例で用いられるものなので.
術後鎮痛
症例に応じた術後鎮痛も毎年聞かれます.これもよほど変なこと言わなければ間違いがあるわけではないので普段行なっているものを言えばいいと思いますが,小児の鎮痛やIV-PCAや関節内カクテルなどに関してあまり行なっていない施設では典型的な量を自分で答えられるように用意しておく必要があります.
最近では硬膜外鎮痛,IV-PCA,アセトアミノフェン注射液,フルルビプロフェンに加えて持続(あるいは術中の単回投与)末梢神経ブロック,膝関節などでは関節内カクテル注射がよく用いられてますね.
基本的にマルチモーダル鎮痛を心がけましょう!
コミュニケーション問題
昔の試験では患者や家族への急変の説明や歯牙損傷の説明などが主でしたが,最近では主治医への説明や,相談・協議などが増えてきています.
昔はコミュニケーション問題として別物が多かったですが,最近は口頭試験の普通の流れで出題されることが多くなっています.試験官の先生方は頑張って演技してださいます(笑)ので,こちらもいつも話しているような感じで臨みましょう!!
ポイントは前述の通り「大きな声で,はっきりと,自分の意見をしっかりと言う」ことです.麻酔方針,手術延期や中止もろもろの決断に関しては特に正解があるわけではなく,自分なりの根拠をしっかりと述べることが大事だそうです.つまりもじもじもごもごしては落とされる可能性があるということです!
最近〜今後の傾向?
特に61回以降は「やたらとディスプレイに表示される情報が多い!」との声がよく聞かれます.そして文字が小さい!!読み終わったら合図をするように言われますが,読んでいる時間ももちろん試験時間に含まれるためなかなか大変です.
単純な知識問題から,思考力や対応力が問われる問題まで幅広く聞かれます.しんどい.
各種ガイドラインからも結構問われていますので,ガイドラインは必ず目を通すこと!
最近使われるようになった麻酔薬や麻酔に関わる薬剤(抗凝固薬など)もさりげなく聞かれたり,内服歴で入っていたりするので日頃から内服薬のチェックや新薬についてはアンテナを張っておきましょう.
実技試験対策
コロナウイルスの影響で58回以降の試験では本会場での実技試験は行われず,各研修病院での評価書類の提出のみになり,必要に応じて実地試験が行われるという形になりました.今後もその傾向は続いていくのかは神(専門医試験委員会)のみぞ知るというところでしょうか・・・.
今年の麻酔科学会のニュースレターで,実技試験をどうするかを検討中とありました.復活かな・・?
ガイドラインを絶対読もう
全部読むのは大変だけど,筆記試験対策にもなります.
麻酔科学会のHPでは各種ガイドラインがダウンロードできるようになっています.特に以下のものは確実に手に入れて目を通しておきましょう}!!(さりげなく改訂されているものもあります).
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き第10.0版
- COVID-19感染既往患者の待機手術再開時期に関する提言
- mRNA COVID-19ワクチン接種と手術時期について
- COVID-19の診断日から予定手術までの推奨待機期間
- 手術室での新型コロナウイルス感染症対策ガイド(日本手術看護学会HPより)
- 危機的出血への対応ガイドライン
- 産科危機的出血ガイドライン2017
- 術中心停止に対するプラクティカルガイド
- MEPモニタリング時の麻酔管理のためのプラクティカルガイド
- 安全な中心静脈カテーテル挿入・管理2017
- 局所麻酔薬中毒への対応プラクティカルガイド
- 気道管理ガイドライン2014
- 悪性高熱症患者の管理に関するガイドライン2016
- 麻酔器始業点検2019
- 抗血栓療法ガイドライン(全部読むのは大変ですが・・・笑)
- NICU新生児の痛みのケア
- 脳死体からの臓器移植
- 術前絶飲食ガイドライン
- 周術期禁煙ガイドライン
- WHO安全な手術のためのガイドライン
- 周術期禁煙プラクティカルガイド
- 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)
- 日本版敗血症診療ガイドライン2020ダイジェスト版(日本集中治療医学会・日本救急医学会)※これはダウンロードではないですが.
がんばってくださいᕦ(ò_óˇ)ᕤ!!