📘【想定問題】小児上腕骨骨折

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症例設定

【患者】

  • 7歳男児。118cm,22kg

【現病歴】

  • 夜間、自宅でトイレに移行として階段で転倒。右肘を強打し当院受診。腫脹と偏位が強く、神経障害が見られるため、緊急経皮的鋼線刺入固定術が申し込まれた。

【既往歴】

  • 気管支喘息:最終発作6か月前、現在投薬は行われてない。
  • 父親・母親ともに家庭内で喫煙している。
  • その他家族歴など特記事項なし
【主な検査所見・バイタルサインなど】

バイタルサイン

  • 血圧: 98/55 mmHg
  • 心拍数: 108/分
  • 呼吸数: 22/分
  • SpO₂: 98% (室内気)
  • 体温: 36.8℃

検査所見

  • Hb 12.3 g/dL, Plt 34.5万/μL, WBC 8,200/μL
  • Na 138 mEq/L, K 4.2 mEq/L, Ca 9.4 mg/dL, 血糖 102 mg/dL
  • PT-INR 1.02, APTT 32秒
  • 胸部X線: 心胸郭比0.48, 肺野清明
  • 心電図: 洞調律, PR・QT間隔正常

身体所見

  • 意識清明、見当識良好
  • 扁桃腺軽度肥大、Mallampati分類Ⅱ
  • 右上腕部著明腫脹、末梢循環やや低下(CRT 3秒)
  • 胸部聴診上異常なし

【経過】

  • 手術室入室時、母親同伴。患児は強い不安を示し泣いています。
  • SpO₂: 98%、血圧: 100/60 mmHg、心拍数: 110/分、静脈路: 22G針、右手背に確保済みです。
Q1. この年齢の小児における気道の解剖学的特徴と、それに基づく挿管チューブサイズの選択について説明してください。
  • 小児では頭部が相対的に大きく、特に後頭隆起が発達しているため、仰臥位において頸部が自然に屈曲位となりやすい特徴があります。
  • また、舌が相対的に大きく咽頭腔が狭いため、気道確保時に舌による気道閉塞を起こしやすくなります。
  • 喉頭の位置についても成人とは異なり、小児では第3〜4頸椎レベル(成人では5〜6)と高位にあります。
  • 成人では声門部が最狭窄部であるのに対し、小児では声門下部、すなわち輪状軟骨レベルが最狭窄部となることです(ただし,この点には異論もあるようです)。
  • 小児の喉頭軟骨は柔軟性が高く、外部からの圧迫により容易に変形し気道閉塞を来すリスクがあります。気管についても成人より短く、気管支分岐角度が急峻であるため、片肺挿管を起こしやすい特徴があります。

チューブ選択

  • フルストマック症例のため,カフ有チューブを用います。
  • カフ有りでは5.5mmを第一選択とします(カフなしでは6.0mm)。
  • カフはカフ圧計を用いて調節します。
  • 深さの目安としては、口唇固定位置=年齢/2+12cmや、チューブサイズ×3などがあります。

カフ圧について

  • 小児では気道粘膜が薄く、軟骨が柔軟で外圧による損傷を受けやすいため、カフ圧は成人より低く設定します。
  • 7歳児くらいでは15〜20cmH₂Oが適正範囲とされ、成人の20〜30cmH₂Oより低く管理します(乳児の場合は10〜15cmH₂Oより低くします)。
  • 体位変換や頭部を動かすような場合は,適宜調整が必要です。

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