📘【想定問題】胸腔鏡下肺切除術

📘 専門医試験対策目次blognote

症例設定

【患者】

  • 71歳男性.170cm,60kg(BMI20.8)

【現病歴】

  • 2ヶ月前の健診で左肺異常陰影を指摘.精査の結果,左上葉に2.8cm大の肺腺癌(cT1cN0M0, Stage IA3)と診断された.

【既往歴】

  • 喫煙歴:40本/日を40年間(80 pack-years).
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)(5年前に診断).
  • 高血圧症(降圧薬内服中,血圧は130/80mmHg程度でコントロール良好) 2型糖尿病(経口血糖降下薬内服中,HbA1c 7.0%)
【検査所見・バイタルサインなど】

バイタルサイン

  • 意識レベル: 清明 (JCS 0)
  • 血圧: 138/85 mmHg
  • 脈拍数: 82 回/分,整
  • 呼吸数: 18 回/分
  • SpO₂: 94 %
  • 体温: 36.6 ℃

検査所見

  • WBC 7,800 /μL, RBC 510 x10⁴ /μL, Hb 15.5 g/dL, Ht 46.0 %, Plt 22.5 x10⁴ /μL
  • AST 25 U/L, ALT 22 U/L, LDH 190 U/L
  • BUN 18 mg/dL, Cre 1.0 mg/dL, eGFR 65 mL/min/1.73m²
  • Na 140 mEq/L, K 4.2 mEq/L, Cl 105 mEq/L
  • TP 7.0 g/dL, Alb 4.0 g/dL
  • 空腹時血糖 135 mg/dL, HbA1c 7.0 %
  • PT (%) 95 %, APTT 30.0 秒, Fib 350 mg/dL

画像所見など

  • 呼吸機能検査: FEV1 1.08L(予測値の45%),FEV1/FVC 0.42,DLCO 58%(予測値)
  • 動脈血液ガス分析(室内気): pH 7.42, PaO₂ 75 mmHg, PaCO₂ 48 mmHg, HCO₃⁻ 28 mEq/L
  • 胸部CT:左上葉に2.8cm大の充実性結節.両肺に高度な気腫性変化(多数のブラを伴う),気管支壁肥厚あり.気管径は約20mm,左主気管支径は約12mm.
  • 心エコー:左室駆出率(EF)60%,壁運動は正常,弁膜症なし,右心負荷所見なし.
  • 6分間歩行テスト: 390m(SpO₂低下なし)
Q1. この患者の術後呼吸器合併症を予防するために,周術期に考慮すべき手段を複数挙げてください.
  • 禁煙:理想的には術前4〜8週間以上の禁煙を強く推奨します.
  • COPD治療の最適化:吸入ステロイド+LABA+LAMAによる薬物療法が適切に行われているか確認し,必要であれば呼吸器内科医と連携して調整します.術前からの増悪予防(抗菌薬,去痰薬など)も考慮します.
  • 呼吸リハビリテーション:術前から呼吸筋トレーニング,排痰法指導,運動療法などを積極的に行います.
  • 栄養管理:低栄養は呼吸筋力低下や創傷治癒遅延につながるため,術前の栄養状態を評価し,必要に応じて栄養介入を行います.
  • 術後鎮痛:胸腔鏡手術であっても術後疼痛は術後呼吸器合併症のリスクとなるため,硬膜外麻酔や神経ブロック(傍脊椎ブロック,肋間神経ブロックなど),鎮痛薬の適切な使用により,早期離床と深呼吸・咳嗽を可能にする十分な鎮痛を図ります.
  • 早期離床:術後早期からの座位,立位,歩行を促します.
  • 去痰薬投与・加湿の積極的使用

ここから先は「オンラインメンバーシップ限定」です. ↓の「新規ユーザー登録」から登録申請を行ってください.

既存ユーザのログイン
   
X(旧twitter)でも更新通知してます!
  • URLをコピーしました!

コメント

Contents