症例設定
【患者】
- 70歳男性.165cm,68kg(BMI25)
【現病歴】
- 5年前に狭心症発作が出現.冠動脈造影でLADに90%狭窄を確認.PCIを施行し,DESが留置されていた. 1ヶ月前から労作時胸痛が増悪しているため来院(NYHA III度).CAGで再狭窄がみられ,LCX領域にも進行が見られるため再度PCIが検討されたが,多枝病変が進行しているためoff-pump CABGが適応と判断された.
【既往歴】
- 狭心症(LAD#7 90%狭窄,LCX#11 80%狭窄,RCA#3 75%狭窄の3枝病変)
- 高血圧
- 糖尿病(HbA1c 7.2%)
- 慢性腎臓病(CKD 3b,eGFR 38 mL/min/1.73m²)
- 脂質異常症
- 喫煙歴:20本/日×50年(現在も喫煙継続中)
【服用中薬剤】
- アスピリン100mg/日,クロピドグレル75mg/日
- アムロジピン5mg/日,カンデサルタン8mg/日
- メトホルミン500mg/日,エンパグリフロジン10mg/日
- アトルバスタチン10mg/日
【主な検査データ・バイタルサインなど】
バイタルサイン
- BP 148/85mmHg,HR 76/分,SpO₂ 95%(室内気) 血液検査:
血液検査
- 血算:WBC 7,200/μL,Hb 13.2g/dL,Plt 22.8万/μL
- 生化学:BUN 28mg/dL,Cr 1.6mg/dL,Na 141mEq/L,K 4.3mEq/L,Cl 105mEq/L
- 凝固:PT-INR 1.05,APTT 32秒
- BNP 185pg/mL
- HbA1c 7.2%,血糖値 138mg/dL(空腹時)
- LDL-C 142mg/dL,HDL-C 42mg/dL,TG 168mg/dL
画像検査など
- 心エコー:LVEF 52%,局所壁運動異常あり(前壁〜側壁の軽度低下),大動脈弁・僧帽弁に軽度逆流,左室拡張能軽度低下(E/A=0.8,E/e’=12)
- 胸部レントゲン:肺うっ血なし,CTR 54%
- 心電図:洞調律,V2-4でST低下(-1.0mm),QTc 450ms
- 呼吸機能検査:FEV1.0 2.4L(84%),FVC 3.0L(82%),FEV1.0% 80%
- 頸動脈エコー:両側内頸動脈にプラーク形成あり(右30%,左25%狭窄)
- 最近のCAG所見:LAD#7 90%再狭窄,LCX#11 80%狭窄,RCA#3 75%狭窄
【手術計画】
- Off-pump CABG 3枝(LITA→LAD,SVG→OM,SVG→PD)
Q1. 本患者の冠動脈疾患のリスク因子を挙げてください.
- 高血圧
- 糖尿病
- 高齢
- 男性
- 腎機能障害
- 脂質異常症
- 喫煙
- 肥満傾向(BMI 25.0)
補足・解説
- 冠動脈疾患は動脈硬化によって引き起こされるため,生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙、肥満・運動不足)が主要な改善可能なリスク因子となります。
- また、遺伝的背景や家族歴、心理社会的ストレスも疾患進行に寄与し,男性や高齢という非修正因子も重要です(男はつらいよ😭).
- これらの因子が複合的に作用することで冠動脈硬化が進行し,狭心症や心筋梗塞の発症リスクが高まります.予防が大事ですね.
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