症例設定
【患者】
- 72歳男性.165cm,62kg(BMI22.8)
【現病歴】
- 10年前より狭心症と診断されている.最近、労作時胸痛が増悪し当院循環器内科を受診.冠動脈造影で三枝病変(LAD、LCx、RCA各90%以上狭窄)を認め、OPCABの方針となった.糖尿病で加療中.腎機能の悪化傾向があり、今後血液透析導入が検討されている,
【既往歴】
- 糖尿病(30年前から):糖尿病性腎症による慢性腎機能障害
- 高血圧症,脂質異常症
- 狭心症(10年前から)
- 喫煙歴:40本/日×40年(現在禁煙中)
【服用中薬剤】
- アスピリン 100mg/日
- カルベジロール 10mg/日
- アムロジピン 5mg/日
- インスリン グラルギン 12単位/日
- アトルバスタチン 10mg/日
- 炭酸ランタン 750mg/日
- カルシトリオール 0.25μg/日
【主な検査所見・バイタルサインなど】
- WBC:6,800/μL,RBC:345万/μL,Hb:10.5 g/dL,Plt:18.5万/μL
- PT-INR:1.05,APTT:32秒
- BUN:85 mg/dL,Cr:4.8 mg/dL,eGFR:14 mL/min/1.73m²,蛋白尿(3+)
- Na:138 mEq/L,K:5.2 mEq/L,Cl:102 mEq/L,Ca:8.4 mg/dL,P:5.8 mg/dL
- 血糖:156 mg/dL,HbA1c:7.8%
- 心エコー:EF 45%,LVH+,前壁の局所壁運動異常+
- 心電図:洞調律,LVH+,V2-4のST低下
- 胸部X線:CTR 64%,軽度肺うっ血あり
🖥️【手術室入室時所見】
- 意識:清明
- 血圧:135/85 mmHg,心拍数:78/分
- SpO₂:95%(鼻カニュラ2L/分)
- 体温:36.5℃
- 呼吸数:18回/分
Q1. この患者において周術期に問題となりうる点を列挙してください.
- 心筋虚血リスク:広範囲の冠動脈病変があり,周術期の心筋虚血のリスクが高い.
- 心機能低下:EF 45%,前壁の局所壁運動異常,CTR 64%,軽度肺うっ血から心不全傾向あり.
- 末期腎不全(G5)
- 電解質異常:K 5.2 mEq/L(高カリウム血症),Ca 8.4 mg/dL(低Ca血症),P 5.8 mg/dL(高P血症).腎不全に伴う電解質異常がある.
- 代謝性アシドーシス
- 糖尿病:HbA1c 7.8%と比較的コントロール不良である.
- 高血圧症:長期間の罹患により臓器障害のリスクがある.
- 長期喫煙歴:肺機能低下や周術期呼吸器合併症のリスクが高い.
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