症例設定
【患者】
- 73歳男性.163cm,68kg(BMI25.6)
【現病歴】
- 3ヶ月前からの腰痛と間欠跛行を主訴に整形外科を受診.1週間前から38.5℃の発熱,両下肢のしびれと筋力低下(MMT 3/5)が出現.MRIでL2-3レベルに硬膜外膿瘍と診断され,緊急腰椎椎弓切除術・ドレナージが予定された.
【既往歴】
- 関節リウマチ(20年前から):メトトレキサート 8mg/週,プレドニゾロン 5mg/日
- 高血圧:アムロジピン 5mg/日,オルメサルタン 20mg/日
- 2型糖尿病:メトホルミン 1000mg/日,HbA1c 7.4%
- 深部静脈血栓症(6ヶ月前):エドキサバン 30mg/日
【主な検査データ・バイタルサイン等】
バイタルサイン:BP 148/85mmHg,HR 92/分,SpO₂ 95%(room air),BT 38.8℃,RR 20/分
身体所見:
- 気道評価:開口1横指,頸椎可動域制限あり(前屈20°,後屈10°),Mallampati分類III度
- 両側手指の変形(スワンネック変形,尺側偏位)あり
- 右下肢の腫脹・発赤あり,足背動脈触知可能
- 両下肢筋力低下(MMT 3/5),両下肢遠位の感覚鈍麻
検査所見:
- WBC 14,800/μL,Hb 10.8g/dL,Plt 21.2万/μL
- AST 28U/L,ALT 32U/L
- BUN 22mg/dL,Cr 0.88mg/dL,
- Na 138mEq/L,K 4.1mEq/L,Cl 102mEq/L,Glu 186mg/dL
- PT-INR 1.12,APTT 34秒,D-dimer 1.8μg/mL
- CRP 19.8mg/dL,プロカルシトニン 1.2ng/mL
画像所見:
- 12誘導心電図:洞調律,左室肥大所見
- 胸部X線:CTR 54%,肺野に明らかな浸潤影なし
- 腰椎MRI:L2-3レベルに硬膜外膿瘍を疑う所見,同部位での脊柱管狭窄あり
- 頸椎X線:アトランティアル間隙 4mm,AAS(環軸椎亜脱臼)軽度あり
- 下肢静脈エコー:右膝窩静脈に血栓の残存あり,完全閉塞なし
Q1. 本症例の術前評価で重要な項目を挙げて説明してください.
- 関節リウマチによる頸椎不安定性(特に環軸椎亜脱臼)の評価と開口制限,頸椎可動域制限の存在.
- 全身性のストレスも高いことから,ステロイドカバーの必要性も考慮.
- 感染状態の評価・血液培養の提出:術後の適切な抗菌薬選択や周術期の感染コントロールに必要
- 糖尿病合併症の有無,随時血糖,アシドーシスの有無.
- DVT評価(緊急手術なので他の準備している間にさらっと)
- 神経学的所見の記録
- エドキサバンの休薬
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