内容
- はじめに
- 胎児心拍モニタリングの異常所見と対応
- 胎児心拍数基線の異常(頻脈・徐脈)
- 基線細変動(variability)の異常
- 一過性の心拍変動
- 緊急・準緊急帝王切開の適応基準と具体例
- カテゴリー1
- カテゴリー2
- カテゴリー3
- カテゴリー4
- 参考文献
はじめに
胎児心拍数陣痛図(CTG)
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胎児徐脈頻発だからカイザーって感じでよく呼ばれるんですけど,あんまりCTGって見たことないんですよね.ちら見くらいで



まぁ直接判断するのは産科の先生だから,困ることはないけど,基礎知識として恥ずかしくないくらいは知っておいたほうがいいよ.共通言語だから・・!



ですよね〜.とりあえず知っておかなきゃいけない徐脈って何ですか?



そこから!?しょうがないな.とりあえず,元気な証拠の一過性頻脈,あとは早発一過性徐脈,遅発一過性徐脈,遷延一過性徐脈,変動一過性徐脈(可変性とも言う)を覚えといて.



あ,聞いたことあります.



そりゃそうだろ.あとは基線心拍数と基線細変動についてだね.とりあえず基線細変動消失を伴った遅発一過性徐脈や遷延一過性徐脈があると,緊急帝王切開や鉗子分娩になることが多いね.じゃぁ一個ずつ見ていこうか.
胎児心拍モニタリングの異常所見と対応
分娩中の胎児心拍数モニタリング(CTG:cardiotocography)では,胎児の健康状態を評価するために基線心拍数(ベースライン)、一過性の心拍変動,および基線細変動(ベースラインの揺らぎ)を観察します.
正常な胎児心拍数の基線はおよそ110~160 bpmであり,この範囲を外れる所見や変動パターンの異常は胎児仮死(胎児機能不全)のサインとなり得ます.以下に主な異常所見(頻脈,徐脈,基線細変動の減少,一過性の頻脈・徐脈)について,その読み方と対応策を解説します.
🔷 胎児心拍数基線の異常(頻脈・徐脈)
胎児の頻脈とは,基線心拍数が160 bpmを超える状態です.原因としては,母体の発熱(感染による絨毛膜羊膜炎など)や胎児感染,母体の脱水・疼痛,不穏,胎児の貧血や頻拍性不整脈など様々です.
胎児頻脈が認められた場合は母体のバイタルサインを確認し,発熱や感染徴候があれば解熱や抗菌薬投与を検討します.頻脈単独では直ちに深刻とは限りませんが,180 bpm以上の高度頻脈や基線細変動の消失を伴う場合は胎児低酸素状態の可能性が高く注意が必要です.
また胎児頻脈に子宮収縮過多や遅発性一過性徐脈が併発している場合,胎盤機能不全による胎児ストレスが示唆されます.その際は速やかに母体体位を左側臥位に変更し(大静脈圧迫の軽減),子宮収縮促進薬を使用中であれば投与を停止します.必要に応じて母体に酸素投与や輸液負荷を行い改善を図ります.
胎児の徐脈(bradycardia)とは基線心拍数が110 bpm未満の状態を指します.特に100 bpm未満の持続的徐脈は重篤な兆候です.
胎児徐脈の原因としては,臍帯圧迫や臍帯脱出,常位胎盤早期剥離による急激な胎盤循環不全,子宮破裂,あるいは母体低血圧や低酸素(例えば硬膜外麻酔による血圧低下や母体の心停止など)が考えられます.全てろくなもんじゃありません.胎児徐脈が出現したら直ちに以下の対応を並行して行います.多くの場合,すでに「回復困難」な状態と考え,速やかに帝王切開の適応判断を下すことが一般的です.
- 母体の状態確認と体位変換
- 母体の脈拍と血圧を確認し,低血圧があれば輸液や昇圧薬で是正します.子宮大静脈圧迫を避けるため母体体位を左側臥位にします.
- 子宮収縮の調整
- 陣痛誘発剤・促進剤(オキシトシンなど)の投与下であればすぐ停止します.過強陣痛がある場合は子宮収縮抑制剤の投与も検討します.
- 酸素投与
- 母体にマスクで高濃度酸素を投与し胎児への酸素供給改善を図ります(近年のエビデンスでは有効性に議論がありますが,臨床的にはしばしば行われます).
- 腟検査
- 臍帯脱出(臍帯が腟内に脱出して圧迫されていないか)の有無を確認します.臍帯脱出があれば直ちに手で胎児先進部を押し上げ臍帯の圧迫を軽減しながら,緊急帝王切開の準備をします.
- 早期娩出の判断
- 上記処置を施しても胎児心拍の回復が2~3分以内に見られない場合,胎児は重度の低酸素状態に陥るリスクが高いため,直ちに分娩を完遂する(産児を出す)方針をとります.
- 具体的には鉗子・吸引分娩が可能な状況であれば産科医により速やかに経腟分娩を完了し,そうでなければ緊急帝王切開の準備を開始します.
胎児徐脈が5分以上持続する場合,胎児は重篤な低酸素血症に陥りうるため、「5分ルール」とも呼ばれる指標が知られています.特に母体心停止の場合,AHA(米国心臓協会)のガイドラインでは心肺蘇生開始から4分経過しても自己心拍再開(ROSC)が得られない場合にただちに胎児を娩出すべき(いわゆる5分以内の“peri-mortem C-section”)と勧告しています(死戦期帝王切開).
これに準じ,分娩中の徐脈でも遷延一過性徐脈(2~10分持続)が発生した場合は速やかな分娩介助の準備を行い,心拍数の回復がないまま5分を超えるようなら躊躇なく緊急帝王切開を決断する必要があります.
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