内容
- はじめに
- 麻酔法の選択基準と症例ごとの考慮点
- 選択的帝王切開(予定症例)
- 緊急帝王切開
- 妊娠高血圧腎症や重症子癇前症(HDP症例)
- 前置胎盤・癒着胎盤
- まとめ
- 各麻酔法の利点と欠点
- 脊髄くも膜下麻酔
- 硬膜外麻酔(単独)
- 硬膜外麻酔併用脊髄くも膜下麻酔(CSEA)
- 全身麻酔
- 全身麻酔の安全性についてもう少し
- 帝王切開後の術後鎮痛について
はじめに

帝王切開の麻酔はやっぱり脊髄くも膜下麻酔が王道ですよね?全身麻酔は気道リスクもありますし



まあ確かに・・昔は『妊婦に全身麻酔=危険』って印象が強かったね.妊婦さんはフルストマック(扱い)で誤嚥しやすいし,気道確保困難リスクも非妊娠時よりも高い.でも近年は全身麻酔もビデオ喉頭鏡など,安全性が向上しているしね.まぁNICEガイドラインでは『禁忌がなければ区域麻酔(脊椎または硬膜外)を優先せよ』とあるけど.全身麻酔が常に危険というわけではなくなってるね.



大量出血リスクが明らかな場合は全身麻酔にしたいとは思いますけどね



出血が読めない癒着胎盤とかだと確かにね.でも意識ある方がコミュニケーション取れるし,区域麻酔なら誤嚥リスクもない.実際、区域麻酔は全身麻酔より周術期合併症が少なく,母体死亡も低減するって報告もある.とはいえ出血時に気道確保が必要になったら速やかに全身麻酔に移行できる準備はしておくのが重要.たとえばCSEA(脊硬麻酔併用)にしておいて,出血がやばそうなら,赤ちゃん娩出後に必要ならすぐ麻酔を深めて挿管するとか.まぁコンバートはないにこしたことはないけど・・.この辺は症例ごとや施設の体制やスタッフの考え方にも影響されるね.



ところで,脊髄くも膜下麻酔が効かなかった場合,全身麻酔に切り替えたほうがていんでしょうか?



CSEAでやってることが多いだろうから,時間的に余裕があるなら,まずは硬膜外カテーテルから投与だよね.それでもだめならスイッチするしかないけど,もし患者さんの気道確保困難リスクが高い場合や,小規模施設だったりと総合的にリスクが高い場合は高次施設への搬送も選択肢に入る.まぁ専門医試験にといてはそれはあまり意識しなくてもいいかもだけどね.冒頭の発言と矛盾するわけではないけど,やはり全身麻酔を避けるに越したことはない.



じゃあ妊娠高血圧症候群(HDP)とかHELLPで血小板が低い場合は?



そりゃしょうがないね.血小板減少もあれば穿刺するのは硬膜外血腫のリスクもあるし.重症妊高血圧だと挿管の刺激で血圧急上昇して脳出血の危険もあるから,十分な麻酔・鎮痛と降圧薬の準備が必要だね.HDPでも凝固が保たれているなら脊麻や硬麻の方がいいとされてるね.



無痛分娩の患者が帝王切開にコンバートになった場合はそのまま硬膜外麻酔継続でいいですよね?



そうね.しっかりと効いていればね.専門医試験過去問ではそれで局麻中毒を起こした(血管内留置)から,その辺は要注意.
麻酔法の選択基準と症例ごとの考慮点
帝王切開の麻酔法は全身麻酔か区域麻酔(主に脊髄くも膜下麻酔,硬膜外麻酔,または両者併用のCSEA)のいずれかです.選択にあたっては,母体の状態,手術の緊急度,胎児の状態,併存合併症の有無なを考慮します.基本的には「禁忌がなければ区域麻酔を優先」するのが国内外のコンセンサスです.
以下、代表的な場面ごとの選択基準とポイントを解説します。
🔷 選択的帝王切開(予定症例)
母体状態が安定していれば脊髄くも膜下麻酔やCSEAが第一選択です.妊婦が意識清明で児の誕生に立ち会えること、気道管理のリスクがないことなど利点が多いためです.
硬膜外麻酔単独は導入に時間がかかるため,脊髄くも膜下麻酔単独またはCSEAが主流です.硬膜外カテーテルは術後鎮痛目的に留置しますが,脊髄くも膜下麻酔の効果が不十分な場合に麻酔域を広げられるため有用です(ただし,ちゃんと入っていたらね!)
🔷 緊急帝王切開
緊急度に応じて方法を選択します.
カテゴリーI(超緊急、母体または胎児の生命危機)では迅速な児の娩出が最優先となるため,全身麻酔で速やかに手術を開始する場合が多いです.
一方、カテゴリーII~III(やや緊急だが直ちに母児生命が危機的ではない場合)では、可能であれば脊麻や既存硬膜外麻酔の追加投与で対応します.実際、緊急帝王切開でも全身麻酔の割合は約5~10%程度に留まり,既存の硬膜外麻酔から追加して手術に移行できたケースが30%以上との報告もあります.
既に無痛分娩で硬膜外カテーテル留置中であれば、それを追加して手術麻酔とするのが安全で合理的です.全身麻酔は最も迅速な麻酔導入が可能ですが,気道確保や麻酔薬の胎児移行といったリスクもあるため,”時間的余裕が少しでもあるなら区域麻酔を試み,全麻は最終手段”です.
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