- 📘 専門医試験対策目次(blog・note)
- 📝 ゆるく学ぶ周術期管理目次
Contents
📝 問題リスト
- 肺血栓塞栓症:APE
- 麻酔中および周術期の肺血栓塞栓症の症状について説明してください.
- 術中の肺血栓塞栓症の診断・対処法について説明してください.
- 術後の肺血栓塞栓症への対応について説明してください.
- 空気塞栓・ガス塞栓
- 空気塞栓はどのような手術で起こりえますか.
- ガス塞栓症はどのような手術や状況で起こりえますか?
- 空気塞栓の予防法を挙げてください.
- 空気塞栓症の診断・対処法について説明してください.
- 奇異塞栓症について説明してください.
👥 はじめに

どちらも怖いですね



どちらも経験したことあるけど,頭でわかってても冷える.ちいさな塞栓なら許容できる低酸素血症で済むけど,どんづまったら一撃で心停止を起こしかねないからね.病棟でも離床開始時は要注意



事前のリスク評価も大事ですね
Keywords
肺血栓塞栓症 空気塞栓 ガス塞栓症 経食道心エコー:TEE 呼気終末二酸化炭素分圧:ETCO₂ 卵円孔開存:PFO 心房中隔欠損
🤔 肺血栓塞栓症:APE
Q. 麻酔中および周術期の肺血栓塞栓症の症状について説明してください.
- 麻酔中は,ETCO₂の突然の低下が最も鋭敏な指標となります.
- 肺血栓塞栓症を発症すると,血圧低下,低酸素血症,頸静脈怒張,頻脈などの右心不全徴候を伴います.
- また,気道内圧上昇や肺動脈圧上昇もします.
- 術後など意識がある場合は,胸痛,呼吸困難,頻呼吸,咳嗽,冷汗などの自覚症状に加え,頻脈,血圧低下,右心不全徴候が出現します.重症例では,ショックや失神,突然の心停止を生じることもあります.
補足・解説
- 肺血栓塞栓症の診断において,ETCO₂の低下は非常に鋭敏な指標ですが,特異度は必ずしも高くありません.気管支痙攣や循環虚脱などでも低下します.複数の所見を組み合わせて総合的に判断することが重要です.
- 肺動脈圧をモニタリングしている場合,肺動脈圧波形で特徴的な尖鋭化を認めます.
- D-dimerの上昇は参考になりますが,手術後は非特異的に上昇するので,これだけでは判断できません.
Q. 術中の肺血栓塞栓症の診断・対処法について説明してください.
- 肺血栓塞栓症を疑った場合,まずETCO₂とPaCO₂較差の確認,経胸壁または経食道心エコーによる評価を行います.
- 術者に報告し手術は一旦中止とします.同時に心臓外科や循環器科に連絡をいれます.
- FIO₂は100%とし,出血リスクを評価した上でヘパリン投与を検討し,循環動態の維持には輸液とカテコラミン(ドパミン,ノルアドレナリン),肺血管拡張薬(ドブタミン,PGE₁など)を使用します.ただし,急速輸液による右心負荷には注意が必要です.左室を圧排して心拍出量が低下する可能性があります.
- 循環が保てない重症例ではVA-ECMO導入も考慮します.心停止に陥った場合はACLSプロトコルに従います.
- 術後は状態や適応に応じて,造影CTなど画像検査,カテーテル治療,外科的血栓除去術,線溶療法などの追加治療を検討します.
補足・解説
- 肺血栓塞栓症の重症例にはどの病院でも対応可能というわけではないと思います.近隣の心臓外科や循環器科的な治療ができる病院とも連携する必要があります.
- まずはVA-ECMO等含めて自施設でどこまでできるのか,出来ない場合はどういった手段がとれるのかを話しあっておきましょう.
Q. 術後の肺血栓塞栓症への対応について説明してください.
【診断手順】
- 臨床的診断:Wells scoreやGeneva scoreによる臨床的確率評価
- 動脈血ガス分析,心電図(S1Q3T3パターン,右軸偏位,V1-V3のST変化)
- ベッドサイド心エコー(右室拡大・機能低下,三尖弁逆流,心室中隔の偏位)を迅速に実施
- 確定診断としては胸部造影CTが最も感度・特異度が高く,第一選択です.TEEはCTが実施できない場合に有用です
【初期対応】
- 気道・呼吸管理:高流量酸素投与,呼吸状態に応じ非侵襲的陽圧換気または気管挿管
- 循環管理:軽度輸液負荷(過剰輸液は致命的になる可能性あり注意),昇圧薬(ノルアドレナリン)投与.右室不全が明らかな場合はドブタミンなどの強心薬の早期併用を行います
- 術後間もない場合,ヘパリンの即時投与は原則避け,集中治療医,循環器内科,心臓血管外科など関係診療科への緊急コンサルトを行い,カテーテル的または外科的血栓除去術を緊急かつ優先的に検討します
ここから先は「オンラインメンバーシップ限定」です. ↓の「新規ユーザー登録」から登録申請を行ってください.
コメント