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Contents
📝 問題リスト
- IABP:大動脈内バルーンパンピングの基礎知識
- IABPの適応,具体的な導入基準を列挙してください.
- IABPの禁忌事項とその理由について説明してください.
- IABPが心臓に対して補助的に働く理由を説明してください.
- IABPの挿入手順について説明してください.
- IABP動作中の抗凝固療法に関してはどのように考えられていますか?
- IABPの合併症にはどのようなものがありますか.
- IABPの動作タイミング
- IABPの作動タイミングと,作動時に動脈圧波形がどう変化するかについて簡単に説明して下さい.
- IABPにおける心電図トリガーのタイミングについて説明してください.
- IABPにおける圧トリガーのタイミングについて説明してください.
- 基本的に心電図トリガーで動作させる理由を説明してください.
- 適切なタイミングで動作している波形を図示してください(2:1アシスト).
- バルーンの収縮が早い場合,遅い場合の波形を図示してください.
- バルーンの収縮が早い場合にはどのような影響がありますか.
- バルーンの収縮が遅い場合にはどのような影響がありますか?
- バルーンの拡張が早い場合,遅い場合の波形を図示してください.
- バルーンの拡張が早い場合,どのような影響がありますか?
- バルーンの拡張が遅い場合,どのような影響がありますか?
👥 はじめに
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なんかIABPって苦手です.MEさんたちもなんか怖いし
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はじめはよくわからないよね.特にタイミングの微調整とかはね.基本的には自動調節でOKなんだけど.意味はわかっていないとだめだね.
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MEさんにも聞きながら勉強しま〜す.循内の先生怖いんで
Keywords
IABP 大動脈内バルーンパンピング 心不全 心電図トリガー 圧トリガー diastolic augmentation systolic unloading
🤔 IABPの基礎知識
Q. IABPの適応,具体的な導入基準を列挙してください.
- 内科的治療抵抗性(薬物抵抗性)の心原性ショックと急性心不全(クラスⅠ適応),
- 薬物治療抵抗性のACS,心筋梗塞後の機械的合併症,難治性心室性不整脈,周術期の心血管系イベント,人工心肺離脱後の低心拍出量症候群(LOS),ハイリスクPCIのバックアップ,重症大動脈弁狭窄症・左冠動脈主幹部病変患者の心臓手術などです.
- 具体的な導入基準は,心係数 2.2 L/分/m2以下,収縮期圧 90 mmHg以下,肺動脈楔入圧 20 mmHg以上,中心静脈圧 22 mmHg以上,尿量 0.5 mL/kg/時以下,混合静脈血酸素飽和度 60%以下などです.
Q. IABPの禁忌事項とその理由について説明してください.
- 重症の大動脈閉鎖不全:バルーン拡張に伴い逆流量が増加することにより,左室の前負荷が増大し心不全が増悪する.(絶対的禁忌)
- 大動脈瘤や大動脈解離:挿入や膨張・脱気により大動脈が損傷するリスクがあるためです.(絶対的禁忌)
- 大動脈の高度な蛇行や石灰化:バルーンの正常な収縮・拡張の阻害,損傷を生じる可能性がある.
- ASO患者:挿入側の下肢の血行障害が起きる可能性がある.
- 重篤な血液凝固障害:止血困難や血栓・塞栓症のリスクがある.(絶対的禁忌)
- ASO患者でやむを得ず使用する際には,径の小さいものを使用することはあります.
Q. IABPが心臓に対して補助的に働く理由を説明してください.
- 左室拡張期にバルーンを拡張させることにより,大動脈拡張期圧が上昇し,冠動脈血流や脳への血流が増加します(diastolic augmentation効果).
- 左室収縮期にはバルーンを急速脱気することで陰圧が生じ,大動脈内に吸引効果が生じて収縮期駆出量が増加します.さらに後負荷が減少することで心仕事量と心筋酸素消費量が減少します(systolic unloading効果).
- この2つの効果で心臓の働きを補助します.
- 心臓の動きに対する同期は,心電図トリガーと圧トリガー,ペーシング波形による同期の方法があります.
- 具体的には以下の通り.
Q. IABPの挿入手順について説明してください.
- 一般的には大腿動脈から挿入します.エコーガイド下で行うのが安全です.
- 動脈穿刺後にガイドワイヤーを挿入し,IABP挿入用シースに入れ替えます.
- 先端の留置位置は大動脈弓の鎖骨下動脈起始部から2〜3cm末梢側です.
- 先端の位置やバルーンの動作は透視で確認しながら行いますが,手術中の緊急挿入の場合などはTEEによる位置確認も可能です.
- なかなか自分で入れることはないですよね.私もないですが,心臓外科や循環器の若手が穿刺でモタモタしてるのを見るとイラッとするという・・笑.
- IABP中はヘパリン投与によりACTを180〜200秒程度に維持することがあります(必要だという明らかなエビデンスなし.下記).
- 位置異常に関しては過去にも出題がありますので,覚えておきましょう.
Q. IABP動作中の抗凝固療法に関してはどのように考えられていますか?
- 最近では,IABPの短期使用において必ずしも必須ではないとされています.
- デバイスの改良により血栓リスクが低下していることや,出血性合併症のリスクを考慮し,症例ごとに必要性を判断する傾向にあります.
- 長期使用例や血栓塞栓症リスクの高い症例では,適切な抗凝固療法の実施が推奨されます.
- アシスト比との必要性が変わるとの意見もあります.
- 1:1では必要ないが,1:2,1:3とアシスト比を下げると必要との意見があります.
- いずれにせよ,留置期間や出血リスクを考慮して施設ごとに判断されているのが現状と言えそうです.
Q. IABPの合併症にはどのようなものがありますか.
- 閉塞性動脈硬化症(ASO)がある場合などの下肢の虚血,
- シース挿入時などに生じる大動脈の解離,出血や感染,
- バルーン動作による血小板減少や大動脈壁からのコレステロール塞栓などが報告されています.
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