手術別麻酔管理

総論・麻酔法の選択

安全な麻酔のためのモニター指針

安全な麻酔のためのモニター指針(以下略)では現場に麻酔担当医師が常に必要ですか?
  • はい!お願いします!いさせてください!働く場所があるだけ幸せを感じる奴隷です!
  • 最新版は2019年版です。麻酔科学会のHPからダウンロードしてください。

🌟どの麻酔に対してこの指針が適用されますか?
  • 全身麻酔、硬膜外麻酔及び脊髄麻酔を行うとき適用されます。(57A64)(54A98)

🌟酸素化のチェックはどのように行いますか?
  • 皮膚、粘膜、血液の色などを看視すること(血の色悪いなーと思ったことはありますが、血の色でモニタリングしたことはないです・・・¥verb|(^◇^;)|。
  • パルスオキシメーターを装着することです。(57A64)(54A98)

🌟換気のチェックはどのように行いますか?
  • 胸郭や呼吸バッグの動き及び呼吸音を監視すること。
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  • 全身麻酔ではカプノメータを装着すること。
  •  

  • 換気量モニタを適宜使用することが望ましいです(今ついてない麻酔器とかないでしょうけどね)。(57A64)(54A98)

🌟循環のチェックはどのように行いますか?
  • 心音、動脈の触診、動脈波形または脈波の何れか一つを監視すること。
  • 心電図モニタを用いること。血圧測定を行うこと。
  • 原則として5分間隔で測定し、必要ならば頻回に測定すること。観血式血圧測定は必要に応じて行います。(57A64)(54A98)

体温の測定は必須ですか?
  • 体温測定を行います。
  • 私は脊髄くも膜下麻酔の時には貼るタイプの体温計を使用してます(鼻には突っ込めないので・・笑)

筋弛緩のチェックはどのように行いますか?
  • 筋弛緩薬および拮抗薬を使用する際には、筋弛緩状態をモニタリングすること。めんどくさがらずにつけましょう。

🌟脳波のモニタは必須ですか?
  • 脳波モニタは必要に応じて装着することとなっています。(57A64)(54A98)

麻酔法の選択

麻酔法として揮発性吸入麻酔薬を用いることの利点と欠点について簡単に述べてください。
  • 主な利点としては、静脈麻酔薬と比較して、必要な麻酔濃度の個人差が少ないこと、静脈ラインがなくても簡便に麻酔導入が可能なこと(ただし、イソフルランとデスフルランを除きます)、気管支拡張作用を持つため(デスフルランを除く)気管支喘息患者にも安全に使用ができること、プロポフォールに比べて健忘作用が強い(術中覚醒のリスクが低い)ことなどが挙げられます。
  • 主な欠点としては、悪性高熱症のリスクがあること、静脈麻酔薬と比較してPONVの頻度が高いこと、(特に小児で)覚醒時に興奮・不穏を起こす可能性があること、臨床的にあまり有意ではありませんがHPVを抑制するため分離肺換気を必要とする手術では留意する必要があることなどです。

全静脈麻酔の利点と欠点を簡潔に述べてください。
  • 利点としては、PONVの頻度が低いこと、悪性高熱症に対しても安全なこと、眼圧や頭蓋内圧の低下作用を持つことです。
  • 欠点としては、静脈ラインがないと始められないこと、リアルタイムでの血中濃度測定ができないため、麻酔深度は予測血中濃度とBISやSEDLINEなど覚醒度の指標となる別モニタが必要になること、肥満患者では過量投与になる可能性があることなどが挙げられます。

全身麻酔と脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔とを比べてその利点・欠点について簡単に説明してください。
  • 全身麻酔の利点は脊麻・硬麻に比べて循環動態の変動も少なく、コントロールも比較的容易な点です。
  • 欠点としては全身麻酔単独の場合は術後鎮痛が不十分になりやすく、離床の遅れから術後肺合併症や肺塞栓のリスクが上昇する可能性があります。また、麻酔薬自体の心抑制が問題となったり、心筋虚血の発見が遅れてします可能性もあります。

脊髄くも膜下麻酔と硬膜外麻酔とを比べてその利点・欠点について簡単に説明してください。
  • 脊麻・硬麻両者の利点は、意識を残せるため、術中の心筋虚血や低血糖症状、TUR症候群などその他の合併症を生じたときに早期発見が可能である点、また、術後鎮痛も比較的容易であるため、早期離床が可能であるという点です。また全身麻酔とくらべてDVTの発生率が低下するという報告もあります。
  • 脊髄くも膜下麻酔の欠点として、作用発現が早いのはまぁよいのですが、循環動態が硬膜外麻酔に比べて大きいという点があり、術後も低血圧が遷延しやすいです。またPDPHの発症の可能性もあります。もちろん、硬膜外でデュラパンすれば別ですが・・・。
  • 硬膜外麻酔の利点は、循環動態の変動が比較的ゆるやかで、チュービングすれば麻酔時間の延長も可能であるという点です。ただし、脊髄くも膜下麻酔に比べて手技がやや難しく、失敗率も高く、症例によっては時間がかかってしまうということもあります。また、特に高齢者では麻酔域の広がりによっては循環の変動が大きくなってしまいます。

末梢神経ブロックの利点と欠点について説明してください。
  • 利点は、心不全や気管支喘息など、全身麻酔を避けたい場合でも施行可能ということです。ロピバカインやポプスカインでは単回投与でも効果時間が長く、術後の鎮痛に優れています。またNSAIDsやオピオイドなどの鎮痛薬の必要量が減少します。
  • 欠点としては頻度は低いが神経障害のリスクがあること(神経学的な合併症も脊髄くも膜下麻酔・硬膜外麻酔と比べると高いようですが)、解剖学の知識のより詳細な理解やある程度の熟練が必要ということ、局所麻酔薬中毒のリスクや、部位によっては気胸のリスクもあることなどです。
  • 区域麻酔がさかんなヨーロッパなどでは麻酔前室で神経ブロックを行いますが、日本ではちんたらやっていると手術室の回転が悪くなるという欠点(?)も・・・。

ダメージコントロール手術とは何ですか?
  • 重症外傷などで出血のコントロールができていない状態で、低体温や止血困難が生じているような場合はそのまま手術を継続しても予後が悪いです。
  • そのような場合に呼吸・循環の維持を最優先とし、ガーゼパッキングなどで一次閉創で手術を一旦終了し、復温、凝固系が回復した後に二期的に手術を行うことです。

ダメージコントロール手術を考慮する所見にはどのようなものがありますか?
  • 死の三徴と呼ばれる、低体温、代謝性アシドーシス、凝固障害がある場合で、数値的には以下を目安とします。ひどいときにはこれ、本当にすぐ生じて進行していくんですよね・・・。麻酔科医の循環・精神状態も不安定になりがちです。
  • 深部体温<34℃、
  • 代謝性アシドーシス:pH<7.2、BE<-15mM、乳酸>5mM
  • 凝固障害:皮膚切開創の止血困難、PT・APTTが50%以上延長。