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麻酔科専門医試験体験談

52回麻酔科専門医試験体験談

体験談①〜⑩

体験談①

(原文まま)
さて体験記ですが、正直緊張のあまり&できなさすぎたのがショックでほとんど覚えていないのが本音です(笑)
結果が出た今となっては笑えますが、ここ数日は生きた心地がしませんでした。。
まず筆記ですが、先生はすでにいろいろな方からの情報でご存知だとは思いますが、2択問題がとても多かったです。B問題は新出が多数でした。

実技試験

①脊麻(消毒の仕方、消毒液の名前、清潔手袋の付け方、髄液が出てきたあとに90度ずつ回転させたか、その理由)、TAPブロック(本物の人がいました、各筋肉の名前とどこに局麻をいれるかを口頭で説明しながらと指さしで終了)
②麻酔機仕業点検(補助ボンベのチェックはなく、項目でいうと3から行うという感じでした。私は最初の麻酔機の電源をいれることを忘れましたが、笑って終わりました。よかったです。)
③DAM(肥満のラパコレ症例、マスク換気は可能だがマッキントッシュ喉頭鏡では挿管できなかったというケース。いろんな器具が置いてあり、どれでもいいからやってみて、という感じでした。)
④ACLS(麻酔導入後にHR40台のPEA→CPR開始、Epi投与、2分後のパルスチェックでVf→DCという流れ)
口頭試験
1)肥満、OSASのある患者、アデノイド摘出術、喫煙
質問:
①喫煙をつづけてオペにのぞむリスクについて3つ
②AHIの定義(私はこれが答えられませんでした。。お恥ずかしい。)
③この患者におけるAHIでの重症度分類、またその理由
④ope後出血があり緊急となった。そのときの注意点は?
⑤緊急止血後、尺骨神経麻痺がおこった。(環指と小指が屈曲している絵を見せられました。→これは何麻痺?との質問あり)尺骨神経麻痺となったその理由を2つ
2)小児の緊急オペ(確か上肢の骨折)、4時間前にパンと牛乳を飲んだ、上気道症状が続いている
①この患者の問題点2つ
②導入の方法(ルートとってクラッシュ。薬の量も聞かれました)
③腹臥位にすると外科医にいわれた。そのときの注意点を3つ
④開眼はなかったが自発呼吸がしっかりでてきたので抜管した。抜管後呼吸がなくなった。何を考えるか?2つ
→ここでは喉頭けいれんと答えてほしいようでした。私はすぐにはでてこなかったですが、試験管が「リスクに関連して何かありませんか?」と誘導してくれて、はっと気づきました(笑)
⑤喉頭けいれんでした。その際の対処法は?
3)接遇問題
肥満、精神遅滞のある患者で抜管後、陰圧性肺水腫になった。
外科医役を試験管:
①いったい何が起こったのですか?このまますぐ抜管して病棟に帰れますか?
②どういう管理をしたらいいですか?
③家族にはどのような説明をしたらいいですか?(回復時期の見通しなど含めて)
試験は移動含めて30分(ですので実質試験時間は27分)で、私は3分ほどあまったので雑談をしました。
振り返ると過去問通りって感じではなかったので、終わった直後は絶対落ちたと落ち込みました。
ただ、試験管のお2人はとても優しく、分からない点は誘導してくださいましたし、正解なら小さく頷いたりしてくれたので、噂で聞いていたような怖い氷のような冷たい雰囲気ではなかったです。
最後の談笑もとても盛り上がり、時間だと言われても試験管が話し続けていました。
一応体験記としては以上です。
こんな感じでよろしいでしょうか?問題も全てを覚えているわけではないです。大変申し訳ありません。
でも本当に先生のまとめノートが、特に口頭試問対策として役立ちました。
ありがとうございました!!

体験談②

4日の8時集合の一番最初の組です。

口頭試問

緊急のくも膜下出血でPCI後。 リスクと追加の検査・情報、PCI後の抗凝固療法について
、ワーファリンのリバース方法と所要時間、脳血管攣縮の予防法
帯状疱疹、十二指腸潰瘍の既往あり。薬物治療、アセトアミノフェンの最大一日投与量と
一回投与量。アセトアミノフェンの次のステップの薬物療法。トラマドールの最大投与量
、一回投与量。腹横筋膜面ブロック(超音波画像供覧で局麻の投与場所)、選択する局麻
とその量。
もう一問が思い出せません。

実技試験

ACLS、微妙な上室性頻拍の波形を呈したPEA(脈や血圧がないことを口頭で言われたため
、頭に入らず、いきなり徐細動して一発アウトになりかかりました。)。CPR開始して、V
F波形。そこでタイムアップ。

CVCと鎖骨下アプローチの腕神経叢ブロック。生身の人間相手に超音波で鎖骨下の解剖の
オリエンテーションを説明。鎖骨下動脈&静脈&胸膜。シュミレーターで右内頚静脈穿刺
。ガイドラインについての質問。「高度無菌バリアプレコーション」「帽子、マスク、滅
菌手袋、滅菌ガウン、大きい滅菌穴あきドレープ」を答えさせられました。

麻酔器始業点検。アコマの右上にダイアルで設定する人工呼吸器がついた麻酔器。(小項
目を追求すると時間がなくなりました。)あと、カプノモニターの波形の質問「再呼吸」
とその原因。

DAM。マスク換気可能。気道確保デバイスがたくさんあります。AWSを使いましたが、視野
はとれますがすべりが悪くて挿管できず、「無理したら落とされるかも。」と思い、AWS
ごしにGEBを使い挿管しました。たぶん、何でも理屈があってれば大丈夫です。最後、マ
スク換気できなくなったらどうするか聞かれました。

全体として、一発アウトをくらいかかった者が言うのもなんですが、あまり落とす意思は
感じませんでした。どちらかというと、学科に重点としているように思います。
実技に関してはガイドライン重視の姿勢がうかがえます。

ながくなりまして申し訳ないです

体験談③

口頭試問:
①やや太ったおばあさん、PCI歴あって2剤内服中(BMSかDESかは書かれていない)。大腿骨骨折。
質問:麻酔上の問題点。本症例で抗血小板薬どうする?PCIで用いるステントの種類。一般的な抗血小板薬と抗凝固薬の休薬期間は?人口骨頭(骨接合術だったかも)するとしてどんな麻酔する?全麻だったら術後鎮痛は?iv-PCAのメニューは?ブロック使うとしたら何ブロック?
②すこし太ったおばあちゃん(だったかな?)。呼吸苦と動悸を自覚。MR指摘され僧坊弁形成術しました。
質問:患者プロフィールでどんなところが問題ですか?一般検査以外でやっておきたい特殊検査は?
写真:弁置換後でCPB離脱前のエコー(静止画、ドプラ入り)。
質問:この画像見て気になることを言って。じゃあどうする?薬は?このまま離脱して大丈夫?
じゃあ無事形成が成功したとして、大動脈遮断解除したら突然血圧が下がりました。何が起きたと思います?離脱後に食道温と膀胱温に差がありました(膀胱温がかなり低い)。何を考えてどう対応します?MVPでCPB離脱後に特に気をつけたほうがいい管理って何かある?
③接遇。若い女性。ラパロ付属器切除。5時間位かかって出血も500mlくらい。手術終了して覚醒後抜管したら震えています。最終体温は35℃台。
主治医の先生からの何が起きたんですか、という質問に対応してください。
実技:
①ACLS。全麻で挿管したらこの波形(心静止)。はいスタート。
②一横歯しか開口できない胃切予定患者。ファイバー使って経鼻挿管して。この人(試験官の一人)を研修医だと思って一緒にやって。経鼻だとチューブの深さはどれくらい?そのままスコープ進めていってファイバーで左右の気管支は何見たらわかる?右に進めてB1-3を教えて。
③エコーガイドで右内頚静脈穿刺と斜角筋ブロック。
ボランティアのモデルの男性にエコーあてて、どっちが動脈でどっちが静脈?静脈張らせる方法は?
穿刺するときの感染予防法は何ていいますか?じゃあ穿刺してガイドワイヤ入れるところまでやって。何cmくらいで固定する?どうやって固定する。
④始業点検。GEのEXCELが置いてありました(私の病院では現役で使ってます)。トラップはセボが空になっている。

体験談④

時間になり上の階へ案内され口頭試問を受ける部屋の前に椅子が置いてあり、そこにタイムキーパー(係)のお姉さんと二人で座りました。

5分間で読んでください。メモ等はしていただいても構いませんと言われ紙を渡されました。

症例1 高齢女性 頸部骨折で6日前より牽引。冠動脈ステントを半年前に留置。

パナルジン、アスピリン内服。手術を2日後に予定している。

症例2 高齢女性 MRに対してMVP。ラシックスとARB内服。

接遇問題 婦人科のオペ オペ時間 4時間程度 出血量 500g程度 体温35.0℃

抜管してシバリング 担当医に説明。

症例2を見て呆然・・・  心外を引いてしまった・・ ついてね~・・

とりあえず症例1で稼ぐしかないと思い、必死に症例1で聞かれそうなことをメモる。

あっという間に5分がすぎ問題用紙が回収された。そして部屋へ・・

中に入ると中年の男の試験官が2人いて、挨拶をして座る。

試験官 『まず1例目です。この症例のリスクについて順に説明してください。』

私 『高齢女性 冠動脈ステントあり 抗血小板薬内服です。』

試験官 『ステントと書いてありますがステントの種類を教えてください。』

私 『ステントはDESとBMSがあります。』

試験官 『うん。じゃあそれぞれの抗血小板薬の種類や服用について教えてください。』

私 『DESはステント留置後 抗血小板薬2剤併用 12か月まで服用、BMSはステント留置後、抗血小板薬2剤併用4週間です。』

試験官 『ではこの症例では麻酔方法はどうされますか?』

私 『手術が2日後で抗血小板薬を服用中なので全身麻酔単独で行います。』

試験官 『内服継続している場合ヘパリン化はどんな量でいつ止めて再開しますか?』

私 『ヘパリン 10000単位/日で手術開始前4~6時間前にOFFにします。再開は止血が確認できて翌日ぐらいからにします。』

試験官 『では術後鎮痛はどうしますか?またブロックはどうですか?ブロックも答えて下さい。』

私 『iv-PCAでフェンタニル25μg/hで行きます。ブロックは・・・大腿神経ブロックですかね・・? 大腿神経ブロックはチュービングして0.2%ロピバカイン 4ml/hぐらいです。』

試験官 『大腿神経ブロックの他にはどんなブロックを併用しますか?』

私 『わかりません・・』

試験官 『以上でこの症例は終わります・・。』

私 『はい・・・』

次の症例がやべ~・・ この症例である程度点数稼げたかな・・と不安がピークに・・。

試験官 『では次の症例です。術前評価はどうですか?一般採血、心電図、胸部X線以外の検査の他にどんな検査などが必要ですか?』

私 『心エコーなどです・・ 』

試験官 『う~ん・・ 他には?』

私 『』

試験官 『では内服薬はどうしますか?』

私 『ARBは術当日は中止します。ラシックスは継続します・・。』

試験官 『では違う種類の降圧薬だとどうですか?』

私 『Ca拮抗薬やβブロッカーは術当日まで継続します。』

試験官 『その他当日はやめたほうが良いという薬はありますか?』

私 『糖尿病薬ですかね・・ 他はわかりません・・』

試験官 『では導入すると血圧が下がりました。原因は何でどうしますか?』

私 『』

試験官 『僧房弁形成術後のエコーがこんな感じでした。どうしますか?』

エコー画像が画面に出る。

私 『ん・・・ まだ逆流が残ってるような気が・・ 術者に伝え再形成してもらいます・・』

試験官 『わかりました。ではMRが治りました。人工心肺の離脱前に血圧が急に低下し、STも上昇しました。何を考えますか?』

私 『血圧が低下したことにより冠動脈が詰まったんだと思います・・。』

試験官 『・・・・・ 何が詰まったんですか・・?』

私 『あっ・・ 空気です』 あぶね~・・ 誘導してくれてありがとう~

試験官 『ですね。では人工心肺の離脱した後、何に気をつけますか?MRの病態から考えてください。』

私 『血圧低下ですかね・・』

試験官 『具体的にどうするの?』

私 『離脱時にDOA、ノルアド、PDEⅢ阻害薬などを使います・・』

試験官 『それらの薬は何のために使うの?』

私 『前負荷や後負荷をあげるためですかね・・・・』

試験官 『ふ~ん・・・以上です・・』

試験官 『次は接遇問題です。担当医にシバリングの説明をしてください。』

試験官 『先生、かなり患者がシバリングしてるんですけど何でですか?』

私 『抜管前の体温が35.0℃と低体温のためシバリングが起きてます。抜管はしてしまいましたが今ベアハッガーを使用したり、室温を上昇させて復温してるところです。』

試験官 『これ本当にシバリングなんですか? 僕良くわかんないんだけどこれ痙攣じゃないんですか?シバリングと痙攣はどう違うんですか?』

私 『・・・・ 経験上これは痙攣ではなくシバリングだと思うのですが・・。バイタルも安定しているので・・』と訳のわからないことを言っちゃいました(笑)

試験官 『・・・・ そうですか。まぁ いいや。先生、いつまでこのオペ室にいるの?俺次のオペもあるんだけど・・ あと家族も手術が終わったのにまだ帰ってこないって心配してるんだけどなんて言っとけばいい?』

私 『えっ~っと・・ 体温が35.5℃ぐらいになるまではここで復温させていただきます。おそらくあと30分はかかると思います。ご家族には術後の低体温のため、体温が上昇するまで温めてるのでもう少ししたらお部屋に帰ります。と伝えてもらっていいですか。』

試験官 『わかりました。家族にはそう言っとくよ。 以上です。では外出て待ってて。』

と笑顔などもなく淡々と口頭試問が終わりました・・・。

次は実技・・

実技1 ACLS

モニター上 心静止・・ CPRしエピネフリン 1Aぶち込んでDC 150Jで1回除細動して終了・・。

あっけなかったです。

実技2 経鼻挿管

開口1横指の人 経鼻挿管してと。

普通にキシロカインを鼻に入れチューブを通し、ファイバーを入れ気管分岐部の手前まで進めチューブを誘導。

ではつぎに右上葉の123を同定して。ファイバーで見せて終了。

実技 3 CV(右内頸静脈)、斜角筋間ブロック

バイト君がベッドに寝てて、エコーでと斜角筋間から腕神経叢を同定。

その後、人形に右内頸からCVをエコーガイド下でぶち込む。ガイドワイヤー入れて終了。

実技4 麻酔器始業点検

例年通り、ボンベはなく省略。なんと今回はリークがなし・・。3分ぐらいリーク探しちゃいました(笑)

 

以上で試験終了でした。

 

体験談⑤

試験までの勉強した様子などをつらつら体験談として書かせていただきます。

本格的に試験勉強を開始したのは、2か月前から。それまでは、この青本が届いた5月からは日中の空いている時間に口頭試験の過去問および解答を眺めていただけで、なんとなく口頭試験の傾向をつかんでいた感じです。2か月前からは筆記試験の過去問を平日仕事が終わってから1時間ほど解いていたのですが、昨年の過去問を1年分解くのに2週間ほどかかってしまいました。それ以降は、いっそ開き直って過去問を何も考えずひたすら解いて解いて反射神経を養うことに専念しました。こなした過去問は5年分。5年分の根拠は、出題委員である上司がとりあえず5年分やれば大丈夫とアドバイスをくれたからです(あとから聞いたら根拠はないとのこと)。5年分を一通りやり終わったのが試験本番2週間前。それからは仕事が終わってから3時間ほど勉強し2日で1年分を解くことをノルマにして、試験2日前までに5年分を1通り、さらに前日は1日で5年分を解いて、合計3回5年分の過去問を解きました。他の先生よりも僕がアドバンテージがあるとしたら普段から小児(含心臓症例)および帝王切開症例に当たることが多く、今回改めて勉強することがなかったこと、あとは統計に関してもこれまでに勉強せざるをえない状況があり、またICU・救急もローテでそれぞれ2年以上いたので過去問をやっていても特に困らなかったことが挙げられます。

昨年からの傾向のようですが、「2つ選べ」問題が増えてきたことから、単なる反射神経問題から少しづつ難しくなってきており、テスト終了後はもっとしっかりとやっておけばよかったと思ったのですが、実際に試験会場にいた人たちの手ごたえもあまりなかったようなので、もう一回受ければまあ受かるだろうくらいの気持ちでいられました。B問題、C問題は相変わらず難しいビミョーな問題なので、日常行っていることの根拠を普段から確認しておき、また手術室内に存在しているものを確認しておくといいかもしれません。
口頭試験に関しては口頭試験の過去問の傾向(大量出血対応、肺塞栓対応、空気塞栓対応、神経麻痺対応などといったトラブル編、麻酔管理:脳外、呼吸器、心外、ウロなどといったちょっといつもと違う編など)を確認し、ほとんど経験のないペインに関しては、筆記試験での知識の確認とオピオイドの復習をし、ブロックについては腕神経叢・TAP・星状神経節・坐骨神経のみにヤマをはり、それ以外が来たらごめんなさいという状況で当日を望みました。実際には、1、陳旧姓心筋梗塞後の脳出血患者の緊急麻酔で、①追加の術前検査と問題点②ステントについて(それぞれの特徴といつから手術をしてよいか③術後合併症について④術後の脳血管攣縮の予防について。2、高齢者の帯状疱疹(写真にて診断させる問題)①初期治療、②TAPブロックについて、③オピオイドを使用するなら何を使うか2種類答える問題、③トラマドールについて、④セロトニン症候群について。3、17歳女子の側弯症手術当日に咽頭痛と発熱あり、どうするか、整形外科主治医とディスカッションしろ、との問題。結局、セロトニン症候群が分からなかったのですが、あとは何とか解答でき終了。セロトニン症候群が近年の大きなヤマであったことはのちのち知りました・・・。
実技は、4種目。①鎖骨下静脈穿刺に先がけエコーで鎖骨下動脈・静脈・胸膜を同定させ、結局はエコーガイド下で内頚静脈ラインを確保、②ACLS(PEA対応)、③DAM(換気は可能、AWSやBFなど好きなもので気道確保しろという問題。口頭の質問は挿管がAWS、BFなどでも不可の場合はどうするか?(手術中止と解答しましたが、たぶんよかったようです)、④麻酔器始業点検(これは全員やることになっているようでした)。
多くの方が、サイト等で書かれているように基本的には面接・実技は答えさせる方向に持っていっていただける先生がほとんどのようですが、そうでない試験管もちらほらで、その点では運のよいめぐり合わせだったと思います。ちなみにACLSは筆記試験の1週間後(つまり実技の1週間前)に受講しました。。
まわりに専門医試験を受ける者がいない環境で日常業務に引き回されながらも最低限の勉強で今回無事に合格できたのは、青本のおかけ以外なにものでもないです。意外に試験会場でもっている人がほとんどいなくてそれにびっくりでしたが、青本がなかったら間違いなく合格できませんでした。本当にありがとうございました。感謝感謝感謝です。

 

体験談⑥

筆記試験

今年も前年と同じく、東京会場と神戸会場から受験地を選択することができたので、口頭・実技試験の下見を兼ねて神戸会場を選びました。前日に神戸入りし、パラパラと過去問の復習。過去4年分をやりこんできましたが、何気なく開いた5年前(47回)の問題に見慣れないものが多かったため、焦って目を通しました。就寝は午前1時になってしまいましたが、結果的にこの付け焼き刃が奏功することに。

いよいよ試験当日。会場のポートピアホテルには1時間半ほど前に到着。まずはクロークに荷物を預けます。(今年も東京会場はクロークがなく、東京で受験した知り合いは荷物のやり場に困ったそうです)

 

受験場所になる大宴会場(大輪田)は集合時刻の10分前に開場らしいのですが、廊下にいくつかの机といすが有り、開場前でもそこで待つことができました。ただ、何人かの受験生が会話もなく一心不乱に参考書をめくっているのと、BGMが全くなく紙の音だけが響く異様な雰囲気に耐えられなくなり、ホテルのロビーに避難(?)し、そこで時間をつぶすことに。学会の時は人であふれかえっているロビーですが、このときは空き席がちらほらあり、席に着くことができました。開場後に受験会場の中へ入ってみると、セミナーのような感じで椅子と机がセッティングされ静かなBGMもかかっており、比較的落ち着きやすい雰囲気になっていました。会場の前の方には時計が4台掲げられていて、後ろの席からでも時刻の確認は容易でした。

集合時刻を過ぎるとBGMが止まり、試験監督の先生から注意事項の説明がありました。携帯などは着信が認められた時点で不正行為となるので、電源を切って鞄の中にしまうことが強調されました。また、机の上には筆箱を置くことができず、中身(ペン、消しゴム)のみを使用するようにと指示がありました。一方、ペットボトルに入った飲料水は使用可、ということでした。

説明の後は写真票による受験者確認、マークシート配布、問題用紙配布と続き(この一連の流れに十数分かかります。国試の時みたいです)、定刻になると試験開始。A問題は過去問メインという話でしたが、過去問で「何度やっても間違えた問題」や初めて見る問題も多く出ており、かなり冷や汗もの。自信を持って解答できたのは6割くらいでしょうか…。47回の問題からも数題が出ており、命拾いをした気分に。

A問題終了後の昼休みには、あちこちから「過去問通りだったね」「95%くらいはいけたっしょ」などの声が聞こえてきてしまい、4年分では足りないんだなぁ…というのを痛感しました。本来はAで貯金を作っておくべきなのですが、ややビハインドになっているようです。

午後のB問題。案の定、新作がずらずら出てきます。C問題は新作ではあるものの、問題の素材となる症例は51回(妊婦ばっかり!)より素直なものになっており、なんとか挑戦する気分にはなりました。B・Cとも確実に取れたのは5割程度で、あとはどれくら上積みできるかの勝負に…。普段の試験だったら終了後に自己採点に走りますが、まだ2週間後の面接・実技の準備が整っていないので、そそくさと帰宅。ポートピアホテルからのシャトルバス(無料)の停留所には長蛇の列ができていたので、おとなしくポートライナーで帰りました。

・口頭&実技試験

前日の仕事終了後に神戸に乗り込んだだめ、ホテル到着が22時過ぎに。早めに寝ようと心がけつつも、中々寝られない&知り合いからの情報メールが来るため、結局就寝は午前1時半頃でした。翌朝は6時半頃に起き、ホテルの朝食会場へ。会場から少し離れたホテルにしたため観光客っぽい人たちが多く、受験生とおぼしき人は見当たりませんでした。

諸先輩方の受験体験記では、「会場のホテルに泊まった方が楽!」という方と「ちょっと離れたホテルの方が落ち着けるし便利」という方がいらっしゃるようです。

集合時刻15分前に待機室へ行くと、すでに7割ほどの受験生が座っていました。「待機室内では私語禁止、電子機器使用禁止」という張り紙がある上に部屋も公民館のような内装なので、雰囲気はあまり良くありません。基本的に待機室に入ると退室不可となりますので、用事がある場合(電話など)は事前に済ませておく必要があります。トイレは事務の方に申し出れば可(ただし付き添い有り)とのことでした。机の上には番号入りのストラップと受験番号が書かれたA4サイズのカードがバインダーに挟まれた状態で置いてあり、このバインダーに受験票を挟んで各ブースを回ることになるようです。部屋の前方に長机が有り、そこに時計が置いてあるのですが、高さが低いため後ろの方からは全然見えませんでした。集合時刻に試験委員の先生が現れ、試験の進行方法と注意事項(私語禁止、電子機器使用禁止&鞄に入れること、待機室から出たら鞄の中のものは一切出せない、体調不良などで援助が必要な場合は各ブースでその都度申し出る、ブースでは自己紹介は不要、トイレ等は事務員に申し出ること、勝手に部屋を出ると失格)について説明がありました。「それでは、10分後から試験を始めます」ということで、最初の出荷(?)組が出発するまでにも、多少の時間があり、トイレに行くことができました。

・口頭試験

出荷時刻になると事務の方が「受験番号○番から○番までの方は移動します」といって誘導してくれます。噂通り、バックヤードのエレベーターで客室階へ。客室階のバックヤードで点呼(全員そろっているかのチェック)を受けた後、ホテル廊下へ進みます。ホテルの廊下はそんなに幅が広くないにもかかわらず、両側に椅子が置いてあるわ、事務の方がたくさんいらっしゃるわで、想像と違ってザワザワした感じでした。誘導されたいすに座り、隣の事務の方から注意事項(これから症例の紙を渡すこと、ボールペンは紙についているもののみを使い、私物のボールペンは使えないこと、紙の右下に名前を記入すること、5分経ったら紙は回収されること、試験会場の入室時に、回収した紙は返却される)の説明を受け、ストップウォッチのスタートとともに紙が渡されました。

【症例1】40代男性、BMI40超、収縮期の血圧180、家族より睡眠時のいびきを指摘され、口蓋扁桃摘出術を受けることになった。SpO2:95% 喫煙者

【症例2】4歳男児 上腕骨顆上骨折に対して緊急手術。1時間前にバナナを食べている。1週間前から上気道炎症状が有り、薬を内服している

【ロールプレイ】16歳男性 精神発達遅滞が有り、手術終了後に抜管したところ上気道閉塞となり、陰圧性肺水腫を発症。再挿管となった。

……え、症例1と症例2はいいとしても、ロールプレイって何ですか?? 接遇問題のこと??

とこのときは思い、症例1と2についてのみ、書き込みをしました。とりあえず以下のような書き込みをしたように思います。(他にも書いたような気がしますが、思い出せる範囲で。なお症例の紙は試験終了後に再回収されてしまいます。)

症例1 肥満、SAS、既往チェック、抜管注意、タバコ

症例2 クラッシュ、風邪、上気道閉塞、誤嚥性肺炎

あとは、文章中の重要そうなところに丸をつけました。

5分経つと一旦紙が回収され、事務の方が試験官に「入室していいですか」と確認。OKが出たらいよいよ入室です。入室時に紙を受け取りますが、そのときに事務の方がストップウォッチを起動していたので、入室からの時間を測っていると思われます。

部屋の中はこれも噂通り、客室の全ての備品が搬出されたガランとした空間で、大きな窓を背に男女二人の試験官が座っています。とりあえず、そんなに雰囲気は悪くなさそう。

「宜しくお願いします。受験番号○番、○○です」

試験官A「よろしく。荷物はそこ(左手前の台)に置いてね」

A「では、症例1。まずこの人の問題点を挙げて下さい」

「肥満と、睡眠時無呼吸があるため、導入時のマスク換気が難しくなります。」

A「導入時に何か気をつけることはありますか」

「先ほど述べてしまいましたが…マスク換気が難しくなるので、経口エアウェイなどを準備します」

質問はあらかじめ決められているようで、受験生が既に答えてしまったときも、決められた「質問文」を使わなければいけない感じです。

A「この人は睡眠時無呼吸がありますが、ポリソムノグラフィを行ったところ、AHIが46でした。AHIとはなんですか」

「??…ポリソムノグラフィを見たことがないのですが…推測するに、無呼吸と呼吸の時間の比、でしょうか?」(知ったかぶりモード全開!)

A「AHI 46は軽症、中等症、重症のどれにあてはまりますか?」

知るかー!と思いつつも、これは試験だし、軽症な症例が出るわけない、と考えました

「重症…でしょうか??(汗)」

A「この人は喫煙をしていますが、喫煙による周術期の副作用を3つ挙げて下さい」

「喫煙によりCOヘモグロビンが産生され、組織の酸素化が悪くなります。上気道に炎症症状が起こり、換気困難の原因になり得ます。また喀痰の排出が増えるので、術後無気肺を来すことが考えられます。」

A「えー、他にありませんか?」

「3つ、以外にでしょうか…?」

A「先生が答えたのは、COヘモグロビンと気道症状。あと1つです」

……たしかに、3つというには無理があったかも。

「えー……、あっ、周術期に心筋梗塞…などの急性冠症候群を起こすリスクがあります」

A「そうですね。導入後、SpO2が低下しました。普通の人より低下速度が速いようですが、なぜですか?」

「肥満で、無気肺ができやすいことと、酸素消費量が増えているためです」

A「無気肺ねぇ…無気肺ができてどうなりますか?」

「あっ…横隔膜が上昇して、FRCが低下しているからです!」

A「そうですね。(メモメモ)」

どうやら、FRC低下というのが採点対象となるキーワードだったようです。

A「では、術中に注意することはありますか?」

「開口器にチューブを挟まれないようにすること、チューブが手元を離れるので、ズレないようにしっかり固定すること、肥満なのでPEEPをかけ、無気肺を予防することです」

A「術後に注意することはありますか?」

「術後に出血をきたし、再手術となる可能性があります。また、肥満から術後低酸素になる可能性が高いです。」

A「術後に再出血を来しました、緊急手術となりますが、何に注意しますか」

「フルストマックということと、循環血液量が減少していることに注意します」

A「この人は術前から血圧が高いですが、なぜ高血圧なんでしょう?」

えー、高血圧の原因?? 急には出てこず…

「…睡眠時無呼吸と、肥満があるので…うんちゃらかんちゃら(しどろもどろ)」

A「…まぁいいでしょう」

この時点でややテンパイモードに入ってしまい、それが症例2まで尾を引くことに。

試験官B「それでは症例2に移ります。この患者さんの問題点を挙げて下さい」

「緊急手術と言うことと、直前に食事をしていてフルストマックであること、また風邪のため、上気道症状を伴っていることです。」

B「どのように導入しますか?」

「…えーと、えーと、(迅速導入、の言葉が出てこない)あっ、昔で言うクラッシュ挿管でやります!」

B「(やや苦笑)では、具体的に薬剤の量も含めて、手順を教えて下さい」

「まず、5分以上かけて十分に酸素化します。緩徐導入ではないので、ルートがなければその間に取ります。ルートからプロポフォール2mg/kgをivし、就眠後にロクロニウム1.2mg/kgをiv、40秒後に挿管します。」

B「それだけですか?」

「……あれ?? これでいいと思いますが…」

B「本当に?」

「……あ、輪状甲状靱帯…じゃなくて、圧迫をしてもらい、ヘッドアップ位にします」

B「(納得した表情) では、術後鎮痛にはなにを用いますか? 2つ挙げて下さい」

「アセトアミノフェン座薬と、あとは……商品名で言う、ペンタジンを用います」

一般名が出てこなかったので、点が全く取れないよりは…と考え、仕方なく商品名で答えましたが、先に進むことができました。

B「量はどれくらいですか?」

「アセトアミノフェンは200mg、ペンタジンは7mgです」

B「手術終了後に自発呼吸を確認した上で抜管しましたが、呼吸音が聴取できません。考えられるものを2つ挙げて下さい。」

「まず、上気道の閉塞が考えられます。それと……麻薬の残存による呼吸抑制とか」

B「抜管前に、自発呼吸を確認していますよ」

「あ、そ、そうですよね…。うーん、そうすると……やはり上気道系のトラブルとしか考えられません。」

B「出てきませんか。では、喉 頭 痙 攣、が起きました。どう対処しますか」

しまった、喉頭痙攣がキーワードだったか…とおもいつつも、後の祭りです。

「まずマスク換気を試みます。不可能であれば純酸素のままマスクをフィットさせ、PEEPをかけます。」

B「PEEPはどれくらいでかけますか?」

「4~8くらいです」

B「他にはないですか」

「そうですね……PEEPをかけて待っていると開きますので、といっても、低酸素になりそうなときは筋弛緩を入れて再挿管できるように準備しておきます」

B「他には?」

「うーん……思いつくのはこれくらいです。」

B「そうですか。では終了です」

A「それでは、ロールプレイに入ります。症例は読みましたか?」

「はい。」

A「私を主治医だと思って、説明して下さい。どうぞ」

「はい。麻酔科の○○です。宜しくお願いします。まず、今回このような状況になってしまったことに対し、誠に申し訳なく思っております。抜管については十分注意して行ったのですが、抜管後の上気道閉塞を予測できず、陰圧性肺水腫という状態で酸素化が悪化したため、再挿管という形になりました。今後は呼吸管理をしながら、経過を見ていきたいと思います」

症例の紙に書いてあることを並べただけですが、主治医相手だとこういう感じになってしまいすよね…。

A「では、私は家族にどう説明すれば良いでしょうか」

「はい。今回、全身麻酔で手術を行いました。手術中は自分で息をするのが難しいくらい深い眠りになるので、人工呼吸器で呼吸を助けます。麻酔から覚めたところで人工呼吸の管を抜くのですが、精神発達の件もあり、抜いた後呼吸ができない状態になってしまいました。このような状態が続くと肺から水が漏れだし、自分で呼吸をするのはかなり難しい状態になるので、もう一度人工呼吸器をつける形になりました。今回このような状況になってしまったことに対し、誠に申し訳なく思っております。今後は人工呼吸器で呼吸の様子を見ながら、主治医の先生と経過を見ていきたいと思います」

A「私は人工呼吸器にあまり詳しくないのですが、どういう設定にしたら良いですか?」

「SIMVなど、自発呼吸を生かせるモードで、一回換気量は6~7ml/kg、PEEP 4くらいが良いと思います」

A「どれくらい人工呼吸器につける必要がありますか?」

「えーと…私もこういう症例は初めてなので…1週間くらいでしょうか」(再び知ったかぶりモード)

A「そんなに!」

「あ、いや、えー……」

A「まぁいいでしょう。終了です。」

※陰圧性肺水腫は12~48時間で軽快するそうです。

B「あと10分ありますので、そのままでお待ち下さい」

10分もさらし者かぁ…と思っていたら、その後は「どこからきたの?」などの雑談をしてくださり、やや雰囲気は良い感じで退室できました。

・実技試験

口頭が終わると、再び廊下のいすに座り、実技試験の部屋が開くのを待ちます。事務の方が誘導して下さるので、それに従って入室し、試験を受け、終わったらまた廊下のいすで待機…の繰り返しです。基本的に荷物は全て持って入り、入室後に指定された荷物置き場に置いた上で、試験を受けます。

・DAM

ラパ胆の患者。導入したら経口挿管不可能だったが、マスク換気は可能。机にあるデバイスを使っていいので、この人形に経口挿管して下さい。試験委員を研修医とみたてて、説明するようにやってください。なお、研修医に手技をさせることはできません、とのことでした。手袋(S、M、Lの各種サイズ)が用意してあり、自由に使って良いそうです。

(AWS、ガムエラ、i-Gel、ファイバーなどがある。MacGrathは無かったような…)

AWSで挿管を試みるが、頸部後屈不能、開口2.5横指、舌大きめで難しい。確か舌を巨舌に交換出来る挿管人形が学会場に展示されていた記憶があるので、それかもしれない。やや力業でAWSを進めて挿管。

「今回は挿管できましたが、もしどうやってもできなかったらどうしますか?」

の質問に答えて終了。

・ブロック

子宮筋腫でVTH(だったかな?)を受ける患者にルンバールという設定で、シミュレータにルンバールをする。清潔手袋(パウダーフリー)をはめるところからスタート。消毒やドレーピングも採点対象らしい。

適宜「消毒薬は何を使いますか?」「刺す場所はどこですか」などの質問に答える。穿刺して髄液の逆流を確認、薬液注入。これで終了かとおもいきや、

「術後鎮痛のため、TAPブロックをすることになりました。被験者でブロックする部位を描出して下さい」

とのことで、ソノサイトのエコーを持ち、ボランティア(筋肉ムキムキ若者)のお腹で腹横筋膜面を描出。エコー上で外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋と腹横筋膜面を説明して、今度こそ終了。時間がかなり余ってしまい、「見やすい被験者ですねー」などの雑談。

おしぼりが用意してあったので、手を拭いて退室しました。

・ACLS

モニター代わりの除細動器と、ストレッチャーに乗ったACLS人形、足台代わりの木箱(?)が置いてある。この部屋でだけ、「荷物と、あと必要なら上着を脱いでそこにおいて下さい」と言われます。

「麻酔導入・挿管して換気可能なことを確認後、心電図がこういう波形になり(HR40のSR)、頸動脈触知不可。この状態は何ですか、また、どうしますか」という質問でACLSスタート。とりあえず心マをする。心マしながら「どれくらいのペースで」「何分くらい」「注意点は?」「押す場所は」などの質問に答える。ここでも研修医(試験官)は何もできない、という設定らしく、本当に2分間心マをすることになります。

心マ中にVfになるので、波形チェック&除細動。ジュール数は150のところが大きく描いてあったため

「この機械では150Jが推奨されているので、150でお願いします」

というと、試験官が「150ね~」と言いつつ3Jくらいに合わせてくれるので、実際に人形に放電すると終了。

「なにか追加したいことはありますか」と聞かれたのに「ありません」と答えてしまいました。

あ、アドレナリン入れるの忘れた…ということに、部屋を出てから気づきました。

・麻酔器点検

当たった機種はOhmedaのexcel210。かなり古い麻酔器ですが、使い方はAestivaと一緒です。幸い研修医の時に使ったことがあったので、ちょっと懐かしい気分。酸素・空気・笑気が中央配管(に見立てたコンプレッサー)につながっているので点検開始。補助ボンベはないので省略。

今回は去年あったらしい「トラップ」は無く、かわりに点検終了後「人工鼻はなぜ使うのか」「人工鼻がびしょびしょになったが、どうすれば良いか」という質問がありました。

ただ、試験終了後も試験官の先生がそわそわしており、なにかなーと思っていたら

試験官「よく出来ているんだけど…何か忘れていませんか?」

おおっ、さっきの部屋でも聞いたような台詞。念のため、もう一度点検をし直します。

「ボンベ(無いけど)、配管、圧、気化器、ソーダライム、回路、リークテスト、人工呼吸器、電源…」

試験官「電源…?」

「電源、入ってますよねぇ。呼吸器も動きますし」

試験官「電源…電源…」

「あーっ、コンセント!!」

試験官「そうですね。バッテリーで動いちゃうときもありますから、必ず確認しましょうね」

ということでめでたく終了。

全て終了後はバインダーが事務の方に回収され、廊下の、来たときとは反対側にある回収箱へ名札を投入。宿泊客用のエレベーターで帰ります。

【感想】

・筆記試験

過去問はしっかりやっておく。最低5年分。

勉強を始めたばかりの時は見たことない問題が多いので時間がかかるが、1ヶ月前の追い込みに入るとすごいスピードで過去問に目を通せる。最初は過去2年分くらいを勉強しながら解いて、残りは追い込み時にやるのもいいかもしれない。

成書を読む時間が無かったので、最後の方はまとめファイルだけで乗り切りました…。

・口頭試験

得点対象となるキーワードを言えるかどうかが勝負らしいので、一つのことについて詳しく話すのではなく、簡潔に、多くの項目を解答する。筆記のC問題を口で答えている感じ。

あからさまな誘導は禁止されているようだが、「聞き返し」などでキーワードが足りないのを教えてくれることもある。

接遇問題が「ロールプレイ」となり、独立した症例に。今年初めてなので、採点のポイントなどがよく分からず、あくせくしました。(質問は? を言い忘れたり…)

雰囲気は噂で聞いていたほどは悪くない(当たり、の試験官だったのかもしれません)

過去問を見ながら、脳内口頭試験をやると良い練習になります。

問題は、集合時間別で異なる問題が出題されるようです。

・実技試験

和気あいあいと進む感じ。

普段やったことないことは出来ないので、それを避けるために、過去に出た項目は一度でいいので経験しておくと全然違います。

ACLS、麻酔器仕業点検(学会ガイドラインに準じたもの)は毎年出ているので、取りこぼさないように。

それ以外の問題は集合時間別で異なるようです。

・ホテルの選択

学会で斡旋(受験日程確定後に申し込み開始)してくれますが、ポートピアは早く埋まるらしい…。どうしてもポートピアに泊まりたい人は、個人で早めに押さえておくといいかも。

自分はやや離れたホテルに宿泊して、当日は早めに会場入りしましたが、ポートピアのラウンジで時間をつぶせたので、特に困りませんでした。むしろラウンジで情報収集ができたりします(笑)

自分の場合、勉強自体は2月から始めたのですが、勉強をやったりやらなかったりだったため9月上旬の時点では勉強量が足りておらず、同期と話をしていても置いて行かれることが多かったのですが、それからの追い込みでどうにか合格できたようです。口頭試験対策は筆記の日までほとんどやっておらず、筆記終了後の2週間で口頭の過去問6年分に目を通しました。ただ、体験記にも書いたようにそれだけでは対応できませんし、また過去問に出ていた事柄も「ど忘れ」してしまうと点はもらえません。同期や後輩相手に模擬面接などをやり、もっと口頭での受け答えに慣れておけば良かったのかなぁ…と思っています。

 

体験談⑦

お陰様で無事合格できました。
ペインや移植、小児など自信のない分野が多数あり、勉強にあたってとてもたすかりました。
ありがとうございました。

まず、口頭試問の記憶から。
優しい先生方が2人。

155センチ、非妊娠時55キロくらい。AB 、高血圧155mmHgくらいと蛋白尿が出現。子かん前症疑いで緊急帝王切開となった。
問)術前検査は?
答え)肝機能、血算、普段の血圧の管理状況、胎児の状態、、、思いつくままに言うと、
問)検査でしりたいのは?
答え)凝固能、それからー…
試験官)そうですねー。
問)検査結果はこうでした。画面に肝機能↑↑、血小板6万くらい?…凝固も亢進していた…何を考えますか?
答え)hellp症候群。
問)そうですねー。何の略ですか?英語で。
答え)low plate   elevented liver function (エンザイムですか?)     hemo…溶血です…
問)えっ?!
答え)hemohharge?!  ??溶血です。
問)…麻酔はどうしますか?
答え)凝固能異常もあるので、全身麻酔にします。マランパチーとか数字増えて、挿管困難に気をつけます。フルスタマックとして扱います。血圧管理に気をつけます。
問)具体的には?
答え)ラピッドシークエンスで、6L酸素を3から5分は吸ってもらって、慣れてるものでフェンタニル100μg、プロポフォール100mg、ロクロニウム0.6mg/kgくらいをほぼ同時にいれて、細めの6.5のチューブでマスク喚起せずに寝たら、喉をおさえてもらって、1分立つ頃に挿管して少量セボフルランで持続します。胎児が出た後は子宮弛緩作用がいけないのでプロポフォール持続にきりかえ、術後鎮痛をどうするか、術者と相談してきめます。iv PCAか、閉腹時に局所麻酔してもらうか、終わってから腹直筋鞘ブロックをするかとか…
問)子かんに対しては?
答え)マグネシウム製剤を使います。
問)そうですねー。術中出血が多量になりました。ABプラスがなかったら次は何をいきますか?
答え)Oプラス
問)えっ?ABプラスですよー
答え)ABの次はAかB、です。
問)そうですねー。術後チューブからピンクの泡がでてきました。何を考えますか?
答え)肺水腫です。これだけでは何性の肺水腫かよくわかりません…心原性、陰圧性、輸血関連、…
問)治療は?
答え)挿管したままPEEPをかけます。
問)家族が治療期間の説明を求めています。
答え)1週間以内にはよくなることが多いです。(後ほど反省会で2から3日でほとんどよくなると訂正される。知ってたけど、よくならない場合を考えると2、3日と言えなかった…)

イレウス&腸管壊死していそうなレントゲン&CT画像あり。65歳くらいAfあり。上腸間膜動脈塞栓で緊急手術となった。
問)ワーファリンを内服しており、ビタミンKをいくことになりました。一日最大投与量は?
答え)4mg。FFPをいくことの方が多くてちょっとわかりません。
問)ビタミンKだとどれくらいかかりますか?
答え)4時間だと思います。数時間。塞栓なら壊死するし、早く手術した方がいいと思います。
問)採血結果の表示があり、現在のCVPやHtの提示あり。貧血はまだなかった。脱水&低血圧。最初の治療の目標は?
答え)(EGDTのとおりに、)CVP8~12、map 65~90、Ht30、scvo2 70。
問)今の状態での目標を4つ。
答え)Htがあてはまらないので、もう一つは、尿量0.5ml/kg以上。体温保持、アシドーシス補正…
問)そうですねー。完璧ですねー。
どのように導入しますか?
答え)フルスタマックなので、アウェイクかセミアウェイクで、誤嚥性肺炎は避けたいです。血圧も低く、麻酔薬でさらに血圧が下がってしまう可能性もあるので、フェンタニルも多くてトータル100μg、分割投与、キシロカインスプレーをしておいて、ケタミンの使用もいいですね…
問)ケタミン、いいですねー。アウェイクもしんどいけど正解だと思いますねー。じゃあ、次、術後急に胸痛を訴えSPO2もさがりました。画像です。なにですか?
答え)右の気管分岐にlowの塊が…肺塞栓です。
問)気管支ですか?
答え)すみません右の肺動脈ですね。
問)そうですね。対応は?
答え)人を呼ぶ。酸素投与。挿管。バイタルの安定化、循環器か心外Dr.もコールしてPCPSの用意、抗凝固や血栓溶解療法も考えてヘパリンやウロキナーゼも用意します。(詳しい何単位とか不要でした。)
問)そうですね。では、接遇問題です。OPCAB後に手のしびれが続いています。本人に説明することになりました。どうぞ。
答え)こんにちは。麻酔科の◯◯ と言います。今はどのような症状ですか?
試験官) いやぁ、手がどーもいけませんねー。人工心配は使わないって言ってたのに。なんでですか?
私)手術中の体位によるものが考えられます。心臓の手術がしやすいように、肩のしたに枕のようなものをいれて少し沿ったような天井向けで寝ていて、腕神経叢という腕への神経のところが痛んだ可能性が最も考えられます。手術中は安全に手術をするために動かないような薬も使うので、しびれはじめても、寝返りが打てなかったんですね…手術が長い方が起こりやすいです。あと、糖尿病とかあると起こりやすくなってしまいますが、何か治療中のご病気などはありますか?
試験官)私、タバコは吸いますけど。
私)(後ほど反省会で動脈硬化とのからみで多いに関係があると訂正されましたが、)タバコはあまり関係ないと思いますねー。
試験官)それで、なおりますかね?
私)神経を直接切断してしまったりしたわけではないですので、お薬とリハビリとで様子をみて6ヶ月以内には治ることが多いです。2ヶ月程度でよくなることも多いです。
試験官)治らないことも?
私)少ないですけど、症例報告では稀にずっと残ることもあります。
試験官)そうですかぁ。
私)また、何か質問などあれば聞いてください。神経内科の先生と心臓外科の先生と、治療をしていきましょう。
試験官)はい、以上ですね。よくできました。せっかくだから反省会をしましょうね。
輸血の謝り、ビタミンKは20mg?、タバコは動脈硬化で神経障害の原因となる、など知識の訂正を受け、面接は目をみて話していてとてもよかった、ICU管理されてるんですかー?ほぼ完璧でしたねーなどありがたいお褒めの言葉をいただきました。めっそうもない、ICU管理しておりません…と申し訳なく返事をしました。

実技はエピでドゥラパンしてしまい、液がだだもれに…ダブルルーメンで久しぶりにみて、組み立てに、めちゃくちゃ時間かかり、キャーキャーいいながら、左の6だせず、ACLSはpeaからVFでそれはあっさりできました。始業点検は最後まで異常ないですねーと終わったら、試験官にベローズに穴が空いてたらどうなりますか?ときかれ、人工呼吸器にのせて換気してたら、リークがあってベローズがあがらなくなり、換気ができなくなります。手動換気はできます。と答えました。えっ異常なしって言ったのに、ベローズに穴あいてたの?と動揺しながら終わりました。4つ中3つもできが悪く、もうだめかと結果発表まで落ち込んでいましたが、セーフでした。ありがたいです。実力不足ですが、合格をいただけて、本当に感謝しています。曖昧な知識の投稿ですみませんが、少しでもお役にたてるといいです。

 

体験談⑧

第52回麻酔科専門医試験に無事合格しました。主に口頭試問・実技試験の体験記です。筆記は口頭・実技の2週間前に行われ、採点によれば162/200点(120点以上で合格)でした。まぁこれは勉強さえすれば絶対に通るので、特に書くことなし。

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実技もある(しかも高い確率で心マさせられる)ので服装はかなり迷ったが、一番無難なスーツを選択。しかしさすがに靴だけは革ではなく、スウェードの布靴にさせてもらった。結局ほとんどの人がスーツだったようです。

試験は日曜日8時50分に神戸ポートピアホテル2階に集合(つまり一番最後の組)だったのですが、車で出かけたら阪神高速神戸線の工事渋滞につかまり、ちょっと冷や汗・・・なんとか8時20分に抜けられた。控え室で長く待たされるという話だったので、ホテル内の売店で水だけ買ってトイレもすませてたら結局集合10分前くらいでした。あぶね~。

控え室内で本や参考書は見て良いが、私語厳禁(もちろん電子機器は全てOFF)なのでその緊張感というか静寂さが確かにつらい(汗)。僕もほぼ全てを網羅して瞬時に答えられるところまで力をもっていったつもりだが、こんな空間で過ごすうちに逆に全てを忘れてしまったような気分になってきた。「全身麻酔ってなんでしたっけ?(・∀・;)」みたいな。気のせいだと言い聞かせて、落ち着くことだけ考える。「水は買って正解、さすがに1時間も緊張しっぱなしで水がないのはつらいしな・・・」と思っていたら、係員が後ろの女性にコップの冷水を持ってきてた。なんだ、タダでくれるのかよw。

時間がきたら(この時点で集合時間から1時間もたっていたが)、2列になって従業員専用のエレベーターに導かれて、すし詰めにされて9Fまで。すし詰めすぎて係員の人が最後に乗ろうとして重量オーバーで乗れなかったのには少しウケたw。降りるとホテルによくある狭く長い廊下の突き当たりまで全ての部屋の前に2つずつ椅子が置かれ、係員がたくさんいて立ったり座ったりあちこちでタイマーが鳴ったりと、かなり異様な光景。まさか普通の客室フロアを全て使ってやっていたとは・・・想像してたのと違って面食らう。(勝手に)もっと広い空間を予想していた。

部屋の外の椅子に座ったら、すぐに係員が症例の紙とボールペンを渡してくれる。5分間で好きなようにメモして良い。A4の紙に3題の症例が書いてある。余白は結構あるので、メモする場所には困らない。1・2問目はメインの症例で、3問目がいわゆる接遇問題だった。5分しかないのでメモする時間配分が難しい。しかも自分は時計を持ってきてないので、とにかく急ぐ。すぐ横にはストップウォッチを持った係員がいるので正直落ち着かないが、逆にアドレナリンは出まくり頭脳はフル回転していた。

1例目:妊娠高血圧症候群妊婦が緊急帝王切開予定。血液型はAB(+)。180/120mmHgの高血圧と下腿浮腫、尿蛋白(+)、子癇前症。

この症例はおそらく簡単だ。聞かれることがほぼ予想できる。血液型まで丁寧に書いてあるので、落ちついて異型輸血の優先順位をメモる。これだけは今のうちに書いておかないとその場ではテンパって出てこない可能性があるから。症例提示に血液型が書かれていて本当に感謝w。あとは多分メモする必要はなかった気がするが、一応2分ほど使って高血圧の対処や子癇の治療、DICと肺血栓塞栓症のあたりで思いついたことを書いておく。

2例目:高齢肥満でAf左房内血栓がある患者が急性腸間膜動脈閉塞症によるイレウスで緊急手術。ワーファリン内服中。SIRSを完全に満たす検査所見が提示されている。乳酸アシドーシスと高K血症もあり。

これもある意味簡単。絶対に意識下挿管の話になると踏んだので、そこをもう一度確認。落ち着いてリスク因子に丸をつけて整理。高K血症の治療法を一応羅列でメモしておく。

3例目:OPCAB後の腕神経叢麻痺に対して患者と家族に説明。

これも内容的には難しいことは全くないので、あくまで説明の仕方のみに集中できる。他科の医師に説明せよというパターン(こういうのは話し方に困る)よりよっぽど良心的。しかし接遇問題は前もって提示がないと思っていただけに、これは助かった。しかも「患者と家族に説明して下さい」とまで書いてある。去年もこんなんだったのかな?

全てをメモる時間は当然ないが、5分あれば重要なところは確実にもう一度整理して確認することは可能。準備に与えられた時間としては妥当なところだと思う。

・・・・・・・・・・

部屋に入るとツインのベッドが取り除かれた部屋の窓際に長い机が置いてあり、そこに2人の試験官が窓を背に座っている。丁寧に挨拶して2人の目を見た瞬間に、雰囲気的にいけると確信。

1例目は予想通りの展開でサクサクと進む。結局HELLP症候群の疑いということで、麻酔方法は全麻を選択したが、ここで意識下挿管と超急速導入のどちらにするかでちょっと迷う。妊婦の緊急帝切で意識下挿管なんかしたことないし・・・と思いつつ、試験官がどっちを期待しているのかが読みづらかったため。試しにどちらの方法も口にして、試験官の反応を見るという作戦に出たw。結局「超急速でいいでしょうね~」という話になったので、その方法を述べた。薬はチオペンタールとロクロニウムの投与量(何mg/kgか)まで細かく聞いてくる。多分そういう決まりになっているんだろう。予想通り異型輸血についても聞かれたのでこれは即答。

意外だったのは自分の横の壁に設置されたモニターを何回か使用したこと。画像や心電図などの所見を見せられることがあるとは聞いていたが、まさかモニターとは思わなかった。まぁこっちの方が見やすくて良いんだけど。モロにHELLP症候群を示す検査データだけがモニターに出て、「はい、これなんですか」と。HELLPですと答えたら、では「HELLPの元になっている症状を英語で3つお願いします」ときた。これはおそらく過去にないパターンでは?もちろん即答しましたが、気がはやって「Elevated Enzyme」と答えてしまったら、「ん?(何か抜けてませんか)」と優しいフォローがきたので、「Liver Enzymeですね、すみません」とすぐに言い直しました。こういう抜けはありがちだが、もちろんノーダメージ。

最後に帰室後3時間で急性肺血栓塞栓症(PTE)になったというところで、心エコー2枚(両心室の短軸像)と胸部造影CT1枚を見せられる。なぜ心エコーが2枚あったのか、いまだによくわからない。どっちもRV拡大LV狭小化で右室後負荷増大を示す似たような画像だったと思うのですが・・・。胸部造影CTはPTEの確定診断なので、それを述べる。あとはPTEの治療法を聞かれるのでガイドラインにある治療法を全て(NO吸入、PCPSなども)答えた。とにかく正解である答えには「うんうん」という大きなリアクションがあるので、相当しゃべりやすい(本当は相槌はうってはいけない決まりらしいが)。

最後に「帰室後に呼吸苦とピンクの泡沫状痰を認めた。コレ何ですか」と国試みたいな質問が・・・まさかひっかけはないだろうと思い、「肺水腫ですかね」と答えると、「それはどれくらいで良くなりますか?」と予想してなかった質問がきてちょっと焦る。「人工呼吸管理にしてPEEPをかければそんなに長い時間はかからないはずですが・・・2、3日くらいですかね(あまり自信はない)」とちょっと曖昧に答えたら、それでOKだったみたいです。これで1例目はおしまい。

ここまでかなり良い雰囲気で来たので、2例目はもう緊張しない。イレウスで麻酔管理的に困ることは何かと聞かれたが、フルストマック以外に思いつかなかった。「まぁ他でたくさん答えてもらったので良いんですけどね」と笑いながら言われたが、結局答えは教えてくれなかった。なんだったんだろうか・・・今考えてもよくわからん。最後に高K血症にいくのかと思いきや、またモニターで腐りかけた腸管の写真と、検査所見が出てくる。典型的な敗血症性ショックのデータ(血圧60/40 mmHg、CVP 5mmHg、ScvO2 60%)。

当然Septic shockと答えた後で、「この初期治療でのEarly Goalは何ですか、4つお願いします」ときた。僕は調べていたので知っていたが、これは確か過去に一度も出たことがないはず。答えられなかった人もそこそこいただろう。それもあって、わざわざ検査所見が提示してあるに違いない。この3つの目標数値と、とどめに尿量(意外にも0.5ml/kg/hで良いという特徴的な数字)を答えて完答。尿量のみ提示データに記載がなく、ここまで知っているかどうかを試してくるあたりが「勉強してないと受からないぞ」というメッセージじゃないかと思った。まぁ「4つ」と最初に言われるので、苦しみながらも答えまでいける人は多いのかな?しかし「0.5」という数字はさすがに出まいw。

3例目の接遇問題。もう言葉を丁寧にわかりやすく、あらゆる可能性を示しつつ患者家族に親身になって説明するのみ。「これは治りますかね~、いつくらいに治るんですかね~」と聞いてこられるので、とにかく神経因性疼痛にまでいく可能性も説明しつつ、誠意ある対応を。これで口頭試問は終了。この説明では「全部こっちが悪いです」と謝りすぎてもダメだし(周術期に起こりうる合併症であり、医療過誤ではないから)、極端な結末(絶対治らないです)を説明するもダメ、まぁバランス良く答えられればOKなんですと言われました。

試験時間は25分なのですが、僕は10分も余りました。「先生の答えがあまりにも早いのでこんなに時間が余ってしましたね(笑)」と言われる。それから推測するに、おそらく期待する答えが出るまでは試験官も粘って何度も促すのだろう。それがなかったということはほぼ全て正解を答えたということだ。良し。あとは雑談しながら時間つぶし。試験官の先生2人とも、どう考えても「君はOK」という感じでした。これは100%受かった。

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実技試験も同じフロアの個室でやっているようだ。というか口頭試問の隣の部屋が実技の部屋だったりするw。実技は4つあって、番号順ではないのだが多分あらかじめ順番は決まっているのだろう。ただし4番だけは最後と決まっており、4番の部屋は1つしかないので20分くらい待たされることもあると言われた。試験会場で1つしか用意できない(正確には2フロア使っているので2つ)ものといえば、麻酔器に違いない。始業点検は完璧に覚えた。あとは残り3つで何が出てくるか・・・。

1つ目の部屋は側臥位の人形(体幹部のみ)が置いてあり、どうやら硬膜外の試験。試験官の先生2人は優しそう(よしよしw)。「どちらの側臥位でいきますか?」と聞かれ、よく見たら人形が向かい合わせで2つ並べてある。後で聞いたが、昔に「僕はどうしても右側臥位じゃないとダメなんです」と強硬に主張した奴がいたらしい。そんなのうちにいたら即お仕置きですがw。実技そのものはハッキリ言って簡単すぎ。「やったふりで良いです」というところがやたら多く(消毒・チュービングなど)、あっという間に終わる。ただし清潔手袋はちゃんとはかされました。どうでもいい情報だが、ノンパウダーしかなかったですw。

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2つ目はACLS。メインの試験官の先生がちょっと面白いノリの人で、これまた問題なく終了。心マは確かにちょっと疲れる・・・。エピソードはPEAで心マさせてからVfに移行し、そこでショックという非常にオーソドックスかつ予想通りの内容。心マしながらでも5H5Tを答えられるように訓練していったが(笑)、これは聞かれず。アドレナリン1mgを静注して、上肢挙上とフラッシュというのは答えさせられたが、心マしながらって結構つらい。

最初の心電図をDCの画面で見せるのに、「DCを持って来て」と言わなければならない。VfになったらすぐにDCしたいのに、「まだ来てないんです。DCが来るまでに何しましょう?」ときた。仕方がないので心マ継続。「(もう2分やったし)交代お願いします・・・ハァハァ」と言いかけたら、「あ、DC来ました」だって。心マしたくないだけじゃんw。ここも間違いなくクリアできたはず。

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この部屋を出たところで残り2つ(あと半分)。最後は始業点検でこれはいけるだろうから、すでに3/4ゲットと一瞬気が緩んだ。こういう所に落とし穴があるわけで・・・(汗)。部屋に入るとまた人形・・・「なんだ、DAMか?DAMならAWSで一発クリアしちゃいますよw」と思ってたらどうも様子が違う。これは・・・DLTでの気管支ファイバーか!ここの試験官がほとんど愛想がないのがちょっと嫌な予感。

「DLTの組み立てでテンパった」という感想を読んだことがあったが、まさか自分も手間取るとは・・・。「落ち着いてやってくださいね」と言われながらやるが、本当に手間取る。なんだかキシロカインスプレーで濡れているのか、ツルツル滑ってこれも焦る原因。1分くらい悪戦苦闘してようやく組み立て、「これで良いですか」と聞かれて「はい」と答えるが、なんと組み立てるのに必死でスタイレットを入れてなかった(つまり完全に組み立ててしまっていた)。いざ挿管するという直前で気づいて、冷や汗をかきながらスタイレットを入れ直し。でもよく考えたらスタイレットは必須ではなかったかも(クーデックは最初から入っているので忘れてた・・・)。

挿管は普通に・・・といいつつ(人形なので)若干苦労してDLT挿管。いつも僕がやってるとおり浅めに挿管してそこからファイバーで左手気管支に行く方法で(設定は右肺全摘・・・これは優しいw)。しかしどうも膜様部が見にくくて焦る。今から思えばファイバーの天地を合っていなかったのか・・・最初に確認しなかった僕が悪いんですが。「本当にそっちでいいんですか」「それは第2分岐ですか、第3分岐ですか」と愛想のない質問が次々と・・・気分的に相当追い込まれました。良いと思われる位置に入れましたが、これが第2分岐だったら落ちるのかな?でもチラッと見えた試験官の採点表にはここまで満点になっているような記載が・・・見間違えではないことを祈るのみ。相当手間取ったので、最後に「片肺換気にして下さい」で鉗子で白をかんで、キャップを解放したところでタイムアップ。本当にギリギリまで時間を使ったな・・・。手応えはあまり良くない。

・・・・・・・・・・

3つ終わって、今度は部屋の外ではなく実技4の部屋の向かいの部屋の中で待たされる。向かいの部屋の中から呼吸器アラームのような音が聞こえるので、もう始業点検で間違いなかろう。入ったら優しそうな先生2人。あとは落ち着いてやるのみ。補助ボンベがないのは過去の噂通りだったので驚かない。コンプレッサーのみ横にあって、パイピングは酸素・笑気・空気の3つとも再現されている。この呼吸器は大学病院で研修医の時に一番よく使っていたタイプなので、懐かしさを感じながらの実技。

もう完璧に答えたつもりだったが、「最後に研修医(試験官の先生)から質問があります」という形で質問がくるが、結局点検で抜けているところを質問形式で指摘したいらしい。「呼吸器周りで何か(抜けが)ないですか?」と何度も聞かれるが、どうしてもわからない。「先生はほぼ完璧なんですが、惜しいのでもう一息点をあげたくて聞いてるんです」と言われるが、わからないものはわからない。「始業点検のガイドラインに書いてるんですけどね~」とも言われた。残念ながらここでタイムアップ。終わってからガイドラインを読み直したが、それでもやっぱりわからない・・・が、後から思えば吸気弁と呼気弁の動きのチェックだったのかな?それは確かに言わなかった・・・。

・・・・・・・・・・

今回の試験でもし仮に落ちるとしたら実技で、しかも第2分岐に挿管した可能性でしかありえない。それも4つのうちの1つが0点でも落ちない(はず)なので大丈夫だと思うが・・・どうも気管支ファイバーは悔いが残る。口角31cmだったので第2分岐ということはないと思うが、自信はない。口頭試問は「普段の麻酔をちゃんとやっていたらできるはず」という話をちらほら聞くが、それはありえないだろう。ちゃんと勉強して細かく覚えておかないと絶対に困る。まぁギリで通るだけならいけるかもしれんが・・・サクサク答えようと思ったら、勉強必須。基本はとにかくリスクとその診断、治療を全て整理できていることだと思う。

試験勉強するまでは結構あいまいにしてたことが多々あって(特に診断と治療)、それをクリアにしていく作業が口頭試問対策のメイン。例えば喘息発作、アナフィラキシー、子癇発作、DIC、敗血症、PTE・・・それぞれ治療方針を全て答えよときたら、ガイドラインを読んで正確に覚えておかないとどうしようもない。さらに即答しようと思ったらシミュレーションを繰り返しておくことも必要。こういう対策なしで受ける奴がいるとしたら、相当良い度胸をしている。知り合いの同期でも全く勉強せずに口頭試問を受けたという人がいたが、これは落ちてた。まぁそういうレベルの試験だとは思う。運はない、とにかく横着せずに死角をなくせばすむ話で、頻出の(つまり麻酔科的リスク管理上重要な)項目は決まっている。

ということで僕の体験記を終わります。あ~疲れた。

 

体験談⑨

筆記はAがまずまず、但し2つ選択というのが多く過去問をやっても中途半端な理解だと得点がむずかしいと感じました。Bは難しく、半分しか得点できなかったと思います。Cはまずまず。麻酔科学会のガイドラインからくまなく出題されていたと気付いたのは試験が終わった後でした・・・『過去問5年間分やって、A問題で9割とって逃げ切り』『口頭試問は練習するに尽きる』という先輩のアドバイスが正攻法であったと思います。なかなかやる気が起きず、実際には7月から1回目を始め、3回目5年分が終わったのは、ぎりぎり筆記の前日でした。

『対策資料集』は口頭試問対策として重宝しました。筆記が終わってから、過去問の問答をすらすら口頭で言えるように練習しました。本番では胸腔鏡下肺上切除と未熟児で出生した乳児のヘルニア、HbA1C 10の接遇問題でした。箇条書きですらすら話すことができ、速いスピードで試験が終わってしまい、時間が余りました。

実技はACLSと麻酔器の始業点検は必須と見て、臨床の時にしつこく繰り返しましたが、本番で始業点検の11番(麻酔ガス排除装置)を言うのが抜けていたことに部屋から出た後に気が付きへこみました。ACLSはACLSの講習会の時よりレベル低めのことしか要求されないと感じました。胸骨圧迫の方法、電気ショック対応の心電図(pulseless VT, VF)とPEAの区別ができればよさそうです。あとは過去問の出題を手技本で復習、実際に研修医の先生とやる時に丁寧に要点を教えながらやるということに尽きると思いました。TAP blockをエコーで出せというのも、出ました。普段面倒でTAPやらずにIV-PCAだけで済ませていたので少しドキッとしました。でも、これも筆記の過去問では出題されていますから、その時に本で見返しておいて良かったと思いました。

それにしても、実技・口頭試問の雰囲気は刑務所のようで嫌でした。私語厳禁で1:1で監視の係員がいるような状況で、それだけでプレッシャーをかけられて緊張させられまくり、とても平常状態ではありませんでした。こんな試験は2度と受けたくないですね。

対策資料集に筆記・口頭試験の実際の時間割り・詳しい状況も書いて頂けると助かると思います。(今年は口頭(30分で3問、控室で5分間問題用紙を見せられ書き込んだりすることができる。)1室、実技10分×4室、各室とも試験官は2人づつで、威圧的な先生方はいらっしゃいませんでした。

以上おおざっぱですが、体験記です。どうもおせわになりました!今後とも受験生のために頑張って下さい。

 

体験談⑪〜⑳

体験談⑩

筆記試験
全体的に、難化したとの声が多かったが、初受験なので分からない。僕は過去問を10年分やり、購入した対策本を丸暗記したが、役立ったと思う。また、ガイドラインを含め、最近改訂された点は要注意。
A問題
過去問から多く出題されていたが、選択肢にXタイプが多く、僕も数問やられた。選択肢を暗記だけでなく理解することが望まれるようだ。
B問題
新作問題がオンパレードだったが、やはり出題要項からしっかり出ていた。
C問題
ACLS問題が多かったと思う。2010年に準拠して作った架空症例など、しっかりと違いを理解していれば難しくない。他の症例問題は医師国家試験のようだった。
口頭試問
一問は抗血小板薬を飲んでいる老人の股関節手術。周術期の内服薬管理やブロック方法など基本的なことが聞かれた。もう一問は心臓麻酔症例。僧帽弁置換後の合併症を、エコー画面も見せられて答えさせられたが、基本的事項のみ。時間があまりすぎ、「もっとしゃべった方がよかったですか?」と聞いたら、「いや、君はもう結構です」と。込み入ったことは必要ないかもしれない。
実技試験
麻酔機始業点検、ACLS、ファイバー経鼻挿管、ない頸静脈穿刺、腕神経叢エコー描出が問われた。試験官によって助け舟をだしてくれるひとと巌窟王のような人がいて、不公平感はあったが、要求レベルは高くない。一つやられたのは、麻酔機始業点検で、一項目抜けていたらしく、「制限時間内だったらおもいだしてもいい」ことを試験官に確認したのに、実は二問目(人工換気中のトラブルシューティング)があり、時間切れになった。これは不愉快だった。

体験談⑪

経験談を下記に記させていただきます。
①筆記試験について
勉強法は主に過去問5年分(2~3回)+資料 です。
始めたのは4月中旬くらいからで、過去問を、分からなかったり間違えたりする問題を解き調べながら進めていきました。
一回目の、特に一年分には一か月以上かかりました。一個一個教科書を紐解くのは大変で、先生の簡潔にかつ分野別に分けてある解説編の資料には大変助けていただきました。過去問編も最後に確認で見直そうと計画していたのですが、試験までに間に合わず途中までしか活用できませんでした・・・
もったいないことです。すいません。。。
本番の試験の手ごたえですが、周りの方々の意見同様、A問題は比較的易しめ、B問題は激むず、C問題も難しいけどBほどではない、という印象でした。
ですが、A問題は2つ選べ問題が多くなっており、また過去問と類似と言っても微妙に文面を変えてあったりして、「見たことあるけどどっちだ??」と悩むものも多くあり
しかも1つでいいのに2つ選んでしまったり、計算問題やSIRDS、妊婦DICの定義を間違えたりと、周りに比べ色々取りこぼしているのではないかと結果が出るまで
非常に非常に不安でした。B問題は新しい問題がほとんどで難しいので、これといった対策はないと思いました。Cは難しいけど比較的素直な問題で過去問などで
幅広く勉強すればなんとか解けるかも、という印象でした。自己採点は、厳しめにつけてA問題75%、B問題30%?(怖いのと調べてもよくわからないのとで、
答え合わせできませんでした)、C問題60%というところです。
②口答試験について(3日目)
問題は症例2つと接遇問題でした。
1)高血圧、蛋白尿のある産婦
・必要な検査を5つ
  → 一問めでかなり緊張し、しどろもどろでした。血液検査でHELLP的なことを言ったら「それ以上はいいです」と言われ次の質問へ。
・テレビモニターで採血検査(HELLP)を見せられ、「どのような所見があるか、英語で答えてください」という質問。
  → 英語で覚えていなくて、「ヘ、ヘモリッジ・・・」と言うと「ヘモリシスね」と返してもらったり、「liver enzymeが上昇する・・・」と言うと、
    「上昇するは英語でなんて言うの?ここの階までどうやって来ました?」と聞かれ「エレベーター・・・」と答えると「そう、elevated liver enzaymes ね」、
    「低いは英語で?」と言われ「low ・・・、あっ、low platelet です」みたいな感じでかなり答えを誘導していただきました。
・「緊急帝王切開になりました、どのような麻酔をしますか?何を注意しますか?」
  → 緊急性が高そうなのと、凝固異常と血小板低下があるので全身麻酔で行いますと答えると、実際の薬物、投与量について聞かれました。
    他、迅速導入をすること、喉頭の浮腫により気道確保が難しい可能性があることなど答えたように思います。
・大量出血、血液型AB型で異型輸血、優先順位はという問題
  → RCC はO方、FFP、PCはAかBと答えました。が、RCCはAB>A=B>Oの順でした・・・。
2)80歳代男性、心房細動、上腸間膜動脈閉そく症で緊急手術 問題の順番が前後しているかもしれません。
・この患者の問題点5つ 高齢、心房細動、腸の通過障害など答えました。
・血液検査所見をモニターで表示され(DIC、SIRDS的な)、「患者はどのような状態ですか」といった質問。
・「どんな麻酔しますか?要点を3つ(?か幾つか)答えてください(これは一問めの質問だったかも?)」
  → 全身麻酔で、通過障害の可能性があるのでフルストマック、Aラインとる、太い静脈ライン・・・など答えたように思います。
・SpO2低下あり、モニターでエコー所見と造影CTを表示され、「所見を説明してください」
  → 右室負荷所見(右室拡大と、心室中隔の左室側への圧排)と肺動脈の造影欠損があり、「診断はなんですか」 → 「肺血栓塞栓症です」と答えました。
・術中の所見(腸が壊死している)と、CVPやScvO2の所見を見せられ「腸管切除を行うことになりました、どのような値を目標に管理しますか」と質問。
  → 敗血症性ショックのearly-goal directed therapyについて答えました。平均血圧70mmHg以上、と言ったりHb10を目標に、と答えたりなど間違えてましたが
    試験管の先生は最後に答えを教えてくれて、「あとから落ち着いて考えたらわかるような問題だよ、だいたい合ってるしね」と言っていくださいました。
3)接遇問題
CABGで術後に左上肢にしびれあり。試験官を患者、妻とし、説明してくださいという問題。患者に今から説明するというところから始まりで、自己紹介するようなタイミングではありませんでした。
患者:「先生、手術のあとから手がしびれてます、なんでですか」心臓の手術と聞いていたのに手のしびれは手術と関係あるんですか。麻酔のせいですか。」
妻:「心臓がよくなったのに違う問題が出て・・・心配です」「どれくらいで治りますか、診断のための検査とかするんですか」
など質問あり、術中同じような姿勢でいたこと、そのことが原因なら個人差もあるが長くても数カ月単位でよくなることが多いこと、神経内科などにも見てもらうこと、神経伝達速度や念のため画像検査をおこなうこと、など答え、最後はちゃんと「何か他に聞きたいことや言っておきたいことはありますか?」と言いました。
5分ほど時間があまり、あとは試験官と雑談。当直の回数や日々の主な業務などについて質問され、答えました。
最後に「緊張されてましたが、緊張してるほうが態度がいいと評価するくらいですよ。実技も頑張ってください。」と声をかけていただきました。
優しい先生方でありがたかったです。
③実技試験について(3日目)
8分×4部屋でした。基本、試験官を研修医とし説明しながら試行してくださいという設定でした。
1部屋目:ACLS 術中にPEA(PEAを診断させる)、その後の対応 CPR中にVf → DCという流れ。
2部屋目:硬膜外麻酔 前立腺全摘の手術、穿刺部位を答えさせるのと、人形に向かって、患者に接するように施行(手袋をするところから)
3部屋目:分離肺換気 人形に挿管、気管支鏡で確認し、左B6を示させる。聴診での確認の仕方、分離肺換気の仕方についての説明。
4部屋目:麻酔器の始業点検について説明(補助ボンベの確認は省く)
       質問2つ「ベローズが上がりません、何を考えますか」 → 「回路内のリークを考えます」と答えました。
             「では、ベローズに穴が開いていたらどうなりますか」 → 「えっと・・・同じように上がらなくなると思いますが・・・」と答えると試験官がニヤリと。
                                                 手動換気や自発呼吸では分からない、とか答えればよかったんでしょうか??
口答、実技の対策としては過去問の見直しを行いました。主に勉強したのは筆記試験後です。
口答問題の解答は、昨年分については知り合いと分担して回答を作り合い(これは年末の余裕のあった頃に)、
また先生の資料も使わせていただくことで、「こんな考え方、麻酔の仕方もあるんだ」と大変勉強になりました。
実技はACLSと麻酔器の点検をメインに覚えるようにしました。私の日は硬膜外麻酔でラッキーでしたが、
ほかの日は腕神経叢ブロックとTAPブロックのエコー画面をモデルさんで表示させるような問題もあったそうです。

体験談⑫

実質、勉強をはじめたのは5月からです。
先生の青本がなければ、まず合格することは不可能でした。
(筆記試験)
過去問を5年分4回ときました。
5年分を51回からさかのぼってといていきました。
51回、50回は難しかったのですが、49回くらいから似通った問題が出てくるようになってとける問題が増えてきました。
間違えたところは付箋をはり、何度も見直すという感じで勉強しました。
受験後の感想ですが、47回からも数問出題されており、最低5年分といておく必要があると思いました。
余裕があれば6年分といておくと、気持ちの面で安心感があるかもしれません。
試験後、口答・実技の勉強がまったく終わっていませんでしたので、自己採点はできておりません。。すみません。
B.Ⅽはまったくできてないと思います。おそらく半分くらいしかできておりません。
ただ、過去問に似ている問題があって、過去問をといていなければ、もっとできなかったと思います。
(口答試験)
1、陳旧姓心筋梗塞後 (PCI留置後、ワーファリン内服中) の脳出血患者の緊急麻酔
追加の術前必要と思われる検査、術前の問題点
②ステントについて(それぞれの特徴といつから手術をしてよいか
→一応POBAも答えました。試験管からは、特に指摘されませんでした。
術後合併症について
④術後の脳血管攣縮の予防について
⑤ワーファリンの拮抗について
2、高齢者の帯状疱疹(写真にて診断させる問題)
①初期治療
TAPブロックについて(画像をみせられ、それぞれの筋の名前とどの部位に薬液をいれますか?という質問)
オピオイドを使用するなら何を使うか2種類答える問題
トラマドール投与量
④セロトニン症候群の症状を述べよ
3、17歳女子の側弯症手術当日に咽頭痛と発熱あり、どうするか、整形外科主治医とディスカッションしろ、との問題。
(実技試験)
8分×4部屋でした。
試験官を研修医とし、説明しながら試行してくださいという設定でした。
①鎖骨下静脈穿刺に先がけエコーで鎖骨下動脈・静脈・胸膜を同定させる。
次に、エコーガイド下で内頚静脈ラインを確保
②ACLS(PEA→Vf対応)
③DAM(換気は可能、AWSやBFなど好きなもので気道確保し口頭の質問は挿管がAWてください。
AWS、BFなどでも不可の場合はどうするか?
④麻酔器始業点検
でした。
今思うとことは、試験勉強は大変でしたが、いままであいまいにしていた部分の再確認、勉強になりました。
試験勉強で得た知識を、日々の麻酔に少しでも生かしていこうと思います。
先生の資料には本当にお世話になりました。
ありがとうございました。
これからもますますのご活躍をお祈り申し上げます。

体験談⑬

以下に体験記を記させていただきます。
テーマは、PIH→HELLP症候群→全麻CS、上腸間膜動脈塞栓→肺塞栓、OPCAB後の神経障害患者の接遇  でした。
質問内容などについては、体験記⑧⑫の方たちとほぼ同じです。
面接官は2人とも誘導はありで、言葉に詰まると、時々ヒントをくれる感じではありました。
一つ目の症例では、
「全麻のCSの麻酔導入~維持で具体的にどのような麻酔管理をするか?」の問いに対して、導入前の酸素投与を言い忘れていた
同じく導入時のプロポフォールの量を80mgと少なめに答えてしまった
HELLP症候群の英語が言えなかった(日本語では答えられました)
二つ目の症例では、
EGDTの治療目標で、平均血圧ではなく収縮期血圧90くらい、と答えてしまった
同じく、CVPは8~10くらい、SVO2は65くらい、と答えてしまった
以上の点を最後のフィードバックで指摘を受けましたが、それ以外は特に問題なく、全体的にはよかった、と言われました。
問題はおそらく接遇問題だったと思います。
他の体験記の方々とは少し違う感じで、面接官はやや曲者の患者役を演じていました。
「原因はなんなのお?」「麻酔の影響とかじゃないのお」などと、こちらが少し説明すると、すかさず質問してきて、こちらのペースで話をさせてくれませんでした。始まりも、いきなり「せんせーい!左手の先のほうがしびれちゃっててさあー」という感じでなれなれしく始まったので、自己紹介もできず、最後もいきなり終わったので、ご質問とか不安なことあればいつでもどうぞ!っていうのも言えませんでした・・・。
原因については、手術中の体位の影響が最も考えられますが、これから神経内科のほうで経過をみていって、治療をしていくことになると思います。という感じのことを、頼りなさげに答えたんですが、自信なさげで、目を見て話していない、ということを後から強く指摘されました。合格された方の話などを総合すると、やはり、接遇では話した内容ではなく、態度とか話し方をみてるんだろうと思います。
全体トータルの合計点で不合格となったのか、接遇で一発アウトなのかはわかりませんが、不合格でした・・・。以上です。

体験談⑭

筆記試験は過去問を5年分×3回くらいやりました。

本格的にやり始めたのは6月くらいからです。最初はとっつきにくいですが、どんどんやるうちにパターンが見えてきます。あとは長いオペの間に青本眺めていました。

A問題が過去問100問で、B・C問題が新問各50問です。A問題で点を取って逃げ切るのが正攻法かと思います。

私も自己採点では、A問題が約8割、B・C問題が約5割くらいの出来で、合計6割7分くらいでした。

以前から言われているように、6割が合格点なのだと思います。終わった瞬間には落ちたーと思うのですが、案外受かっていますね。

マークシートなので、塗間違いには要注意です。200問もあるので、だんだん何が何だか分からなくなってきます。

私も1つずれてたりしてかなり焦りました。

口頭試問に関しては青本をみました。筆記試験が終わってからなので、2週間くらいしかやってません(爆)

やって思ったのは、去年の口頭試問の問題が、今年の筆記に出てきてたなーということです。

筆記の前に口頭試問の問題にも目を通しておくべきでした(p_-)

筆記試験でガイドラインからの出題が多かったので、改めてガイドラインを見直しました。

試験会場はホテルのフロアを貸し切って、各部屋からベッドなどを取り払った状態でした。

試験官の先生お二人は、一見怖そうに見えましたがどちらも優しく、答えに行き詰ると「たとえば・・」とか「そうですね。」という風に

相槌を打って下さり、噂に聞いていたようなつらい雰囲気ではありませんでした。

2日目午後の試験で、

①中年女性。リウマチでプレドニン10mg/日の内服をしている。最近手のしびれが悪化し、頸椎の後方固定術を行うことになった。

Q:MRIを提示。さし棒を渡され、異常所見を説明してください。

⇒頸部前屈、後屈の写真だったので、「前屈で環軸椎の亜脱臼があります。」と震える声で答える・・。

「いいですよ。」と言ってもらい、途端にリラックス。

Q:周術期で注意する点はなんですか。

⇒ステロイドカバーと挿管の注意について知っていることをつらつらと喋る。

Q:意識下ファイバー挿管をすることになりました。手順や使用する薬剤について答えてください。

Q:3点固定で腹臥位にするときに気を付けることを5つ答えてください。

Q:術中にMEPを記録します。麻酔はどんなふうにしますか。

Q:術中に気を付けることは何かありますか。

Q:術後に起こりうる合併症は何かありますか。

②乳がん患者?でケモ中。足に痛みが出て夜も眠れない。NSAIDsを使用しているが効果がない。

Q:脊椎のMRI写真が出てきて、異常所見を説明してください。

⇒神経根のあたりに何かあるんだけど、なんて説明していいか言葉が出てこず、「このあたりに・・おそらくメタだと思いますが・・」と

しどろもどろに答える。「うん。リンパが腫れてますね。そこは・・・」と説明してくださるが、再び緊張で耳に入らず。

Q:こういう痛みをなんと言いますか。

⇒神経因性疼痛??不安げに答えると「いいですよ。」と言ってくださる(>_<)。あっているかはわからないけど、その心遣いに感謝!!

Q:この痛みの特徴は何ですか?

⇒「電撃痛とかピリピリするとか・・」詰まると「他には?」「・・」「灼熱感とかアロディニアですね。」「あー!!」と思わずうなずく。

Q:薬物治療を行うとしたら、どんなふうに治療しますか。

⇒漠然としていてよくわからなかったが、WHOのラダーや5原則について喋る。

NSAIDsで効果がないので、弱オピオイドを使うか、補助薬を加える。

Q:鎮痛補助薬にはどんな種類がありますか。4つ答えてください。

⇒抗うつ薬、抗痙攣薬、ステロイド、抗不整脈薬

Q:オピオイドで治療をすることになりました。先生だったら何の薬をどれくらい使いますか。

⇒実はペイン・緩和未経験なので具体例は出てこず(爆)。ただ知っている薬のMSコンチンを10mgと答える。

レスキューはどうしますか?と言われ、やはり具体例出てこず。試験官もわかってくれているようで、ではどんなふうに考えますかと言われ、

「1日量の1/6の量。散剤や液体、坐剤などを使います」と答える。

Q:副作用について述べてください。

③接遇問題:腹腔鏡下胆のう摘出術の患者。挿管後の嗄声について聞きたいことがある。

Q:声楽家なので声が出ないと困る。どれくらいの頻度でおきるのか?

⇒具体的な数字は出てこないが、あまり多くはないと説明(爆)

Q:なんとかマスクがあるって聞いたんですが、それだと挿管しなくていいんですよね?

⇒ラリンジアルマスクですね。LASCをするためには挿管が必要であるが、その理由について説明。

もしどうしても挿管したくないということであれば、傷は大きくなるが開腹手術にするという手がありますよ。

ただ確実なのは挿管なので、安全のためには挿管を勧めますが・・という感じで説明。

やはり経験のないことは喋れないもんだなと反省。実際にやっているかどうかを試されているのだと強く感じました。

完璧に答えられなくても、知っていることや、普段の自分のスタイルを出せばきちんと評価してくださるようです。

表面だけでなく、実際の診療のつもりで練習した方がよいですね。

実技試験は4つ。どんどん進む。これまたみなさんお優しい印象。

①鎖骨下動静脈・胸膜をエコーで説明。内頸静脈からのCV留置。バリアプリコーションについて説明(ガイドライン通り)。

②ACLS PEA⇒Vf 除細動まで

③絞扼性イレウスの緊急手術。迅速導入。

④麻酔器の始業点検

以上、拙い文章ではありますが体験記でした。

運が良かっただけかもしれませんが、試験官の方々は噂に聞いていたような冷たい感じではありませんでした。

部屋を出るときには、「頑張ってくださいね。」と励ましていただき、「その言葉だけで、ほんと私がんばれます!」と思わず泣きそうになりました。

忙しい中での勉強はつらかったけど、自分の力の足りなさを痛感し、やってよかったなと思います。せっかく勉強癖がついたので、これからも精進すべく頑張りたいと思います。

最後に、青本ほんとうに役に立ちました。口頭試問に関しては2週間しかやっていないので、青本なかったら、何にも喋れなかったと思います。

ほんとうにありがとうございました。これからも参考にさせていただきます。

 

体験談⑮

筆記試験

東京会場で受験しました。荷物が重いのも嫌だったし、一日がかりの試験の少ない休み時間に資料を見たりするのも疲れるだろうと思って、勉強道具は一切持って行きませんでした。休み時間には確かに勉強する気にはなりませんでしたが、遅刻しないように早め早めに移動したのもあって、待ち時間が結構あり、やっぱり少し資料を持ってくれば良かったかな、とも思いました。まとめファイルを持っている受験生、結構いました。TOC有明の最寄り駅の国際展示場駅を降りたら、麻酔科専門医受験生風な人=1、なんかコスプレみたいな人やどうみても受験生じゃなさそうで東京ビックサイト方向に押し寄せる人=9って感じでした。彼らの行く先の方が専門医試験会場よりずっと楽しそうでした。受験生は150人ぐらいでしょうか。麻酔科学会の教育委員長の先生が、携帯鳴ったら失格だからオフしてねとことあるごとに連呼していました。

女子はオフィス防寒慣れしているのか体温調節の物品を持っている人が多かったように思いますが、近くの男性はあまりそういう準備をしていなかったのか、途中から寒そうにしていて試験官に空調調整をお願いしていました。長い試験ですから体調管理品は大事だなと思いました。

A問題は例年に比べて特別難しいという感覚はありませんでした。B問題からだったでしょうか、別冊で写真だけの冊子が配られるようになりました。近年X2問題(合っているものを2つ選べのような問題)が増えている傾向は明らかなので、昔の「1と2は確実に○だから、あとは3か5だよな」的な思考はできず、それぞれの選択肢に対して明確に○×が付けられるようにしておこうというのは、過去問を勉強する受験生は皆思っていたと思います。しかし私だけでしょうか、B、C問題で特に、従来の3つ選べ①123②234③345④125⑤145の選択肢で、X2問題より答えやすいはずなのに、該当する答えがない。「これって削除問題じゃなかろうか…」と思うことが時々ありました。いや私がイマイチだからでしょう、きっと。

筆記は総じて難化傾向は継続、合否ラインを、合格率が下がりすぎないように調節しているのではないかと思われる試験内容でした。

口頭試問・実技試験

神戸で朝集合だったので、前日入りしました。ポートピアホテルが高いのと受験生が沢山いて朝ご飯の会場から緊張してしまうという過去の受験生体験記を読んで、三宮駅近くの他のホテルに泊まりました。受験生風の人は確かにほとんどいなくて、朝ご飯もゆっくり食べられたので、朝早く起きるのが苦ではない方には正解かと思います。控え室が同室だったのは40人ほど、自分よりずっと年上の先生が多いように見えたのは緊張のせいでしょうか。過去の体験記で口頭実技の服装はスーツばっかり、とありましたが以外とスーツは6割ぐらいでした。控え室から試験会場へドナドナされるまで30分ぐらいでしたが、また携帯、iPad電源オフの話。トイレ行かれる方は挙手をと言われるんですが、皆緊張からかトイレ行きまくり。30分間に3回行っている人もいました。同じ組で試験会場へ連れて行かれるのは3人なので、ほとんど待ち時間はありません。

試験内容は体験記③④⑥の方と同じです。

口頭試問

部屋に入る前にメモを渡され5分読める。メモ可。

症例1)ちょっと肥満の高齢女性、6日前に転倒して大腿骨頸部骨折してから入院中。6ヶ月前に狭心症に対して冠動脈ステント挿入術を受けている。バイアスピリンとチクロピジンを内服している。人工骨頭置換術が予定された。

ホテルの部屋(狭い)に面接官二人が着席している。

私)あっ面接官は二人とも優しそうな人だな、良かった…

官)それではこちらでは口頭試問です。症例の紙は読めましたね。

私)はい

官)この症例の問題点を5つあげてください

私)(5つ?オープン質問で他には?他には?と答えられなくなるまで延々と聞いてくる形式じゃないのか…楽ちんだな)はい、高齢であること、軽度の肥満があること、転倒して臥床期間が6日あり下肢静脈血栓症のリスクがあること、狭心症の既往があること、ステントが入っていて抗血小板薬を飲んでいるので術前にこれらをマネジメントしなければならないこと、です

官)はい、では通常のレントゲン、採血、心電図以外に追加したい検査を5つ述べてください

私)(また5つか、いいな〜)はい、①下肢静脈エコー、②Dダイマー、③運動負荷心電図、あ、骨折で運動負荷はできないでしょうから薬剤負荷シンチか、受賞前の労作時胸部症状の聴取か、冠動脈CTでも良いです。④6ヶ月前のステントの場所や種類とかの詳細の情報が欲しいです⑤SASを疑う所見やエピソードがないか聴取します

官)この患者さんのように、冠動脈ステントの入っている患者さんの抗血小板薬を周術期どうしますか?

私)はい、止めなければ出血のリスクや麻酔法の制限、止めれば周術期にステント内血栓症のリスクがありますので、患者さん毎の血栓症のリスクと、術式毎の出血のリスクを考えて、止めるか止めないかを決めます。

官)止めることにした場合、代替療法としてどんなものがありますか?

私)抗血小板薬の代わりになるというエビデンスはありませんが、へパリンを10,000〜15000単位/日で持続静注、APTTを正常の1.5倍〜2.5倍でコントロールすることが多いです。

症例2 高齢女性、ACEかARBと利尿薬を内服。僧帽弁形成術

① 症例の問題点を5つ述べよ

② 追加したい検査を5つ述べよ

③ 導入時に血圧が下がりましたが原因と対処は

④ 人工心肺後、エコーでこのような画像が見られました(M弁位から極太逆流ジェット)どうしますか

⑤ 人工心肺から離脱する際に気をつけることを述べてください

⑥ 復温中に膀胱温32度、食道温35度です。どうしますか

⑦ 遮断解除後ST上昇し血圧が下がりました。何が考えられますか

心外麻酔をあまりしない病院の人には大変かもしれませんが、いつもかけている人にとっては楽ですね。

症例3 シバリング

若い女性のラパロ婦人科手術。出血少量。術後シバリングを起こしています。35度。手術を担当した婦人科医師の質問に答えて下さい。

① これは痙攣ですか?←こんなこと聞く産婦人科医いますかね?

② 原因は何ですか、治療はどうしたら良いですか

③ 家族が心配しているのですがどう説明したら良いですか

口頭試問の部屋は解答に試験管はうんうんうなづいてくれてあっという間に終了し、残りの雑談時間が沢山余りました。職場のことなど色々話になりましたが、それでも最後[えーと、はい。シーン。]みたいな感じで役員の人の時間コールを待つ感じになりました。

実技試験 

いずれも試験管2人。一人を研修医と思って口に出して説明しながらやるようにと。

① 意識下径鼻挿管。右上葉枝123の同定

② ACLS

③ エコーガイド下内頸静脈カテ挿入。斜角筋間法腕神経叢ブロック画面の出しかた

④ 麻酔機点検 ボンベはないのでチェックしなくて良いと言われる。余剰ガス吸引配管はないのでそれもチェックしなくて良いと言われる。一通りやるが、リークやチェックで引っかかる場所が見つからず焦る。試験管は「大体いいんだけど、1カ所見ていない部分があるんです」と言って考える時間をくれるが焦ってしまいもう思いつかずタイムアップ。後から考えたら呼気吸気弁でした。

まとめファイル購入者の筆記試験合格率99%ってすごいですね!

筆記試験の過去問網羅具合が素晴らしく、使いやすかったです!

 

体験談⑯

体験談

まとめファイルが特に役立った。1度か2度目を通せば、自分が解いていない年の過去問の選択肢にも目を通したことになる。口頭試問の方は、自分なりに、もしくは同僚と協力して解答を作成した方がよい。抜けが無くなる。

準備:

過去問5年分(51回から遡って47回まで)を4回解き、まとめファイルは1回通読した。力試しに6年目(46回)を2回解いた。最終的にすべての選択肢を理解し暗記した(A問題で非常に役立った)。口頭試問は6年分を青本に自分なりに補足を加えた解答を作成し暗記した。実技は過去に出た分野を中心に手技の教科書を読んでまとめた。

本番:

A…過去問を少しいじってあるだけで、容易に解けた。答え合わせしていないが、確実に正解だろうと判る設問だけで8割近かった。是非Aで点数を稼いでおきたい。2つ以上の選択肢を選ぶ設問はほぼすべて組み合わせではなく「2つ選べ」の形式になった。過去問の選択肢はうろ覚えではいけない。

B…難しかった。口頭試問の対策のために目を通しておいたガイドラインなどからいくつか出題された。学会HPにあるものはもちろん、新しいガイドラインはすべて目を通しておいた方がよい。

C…落ち着いて解けばそこまで難しくない。すでに集中力を消耗している時間であるため、見直しは必須。

口頭試問…ほぼ過去問どおりの問題と全くの新問が入り混じり、問題の当たり外れ(不公平)が大きい年だったと思う。誘導してくれる試験官の部屋と、そうでない部屋とがあるのも例年どおりである。相手に安心感を与える話し方なども重要らしいので堂々と話すようにする。自分の部屋は過去問どおりでラッキーだった(クリッピングと帯状疱疹)。時間が余って雑談した。

実技…とにかく時間との勝負である。口頭試問から連続で4室を次々に廻らされる。各部屋10分ずつでとにかく時間がない。加えて、人形に対しての手技は生身の人間に行うよりも変に難しいことが多い。失敗してもすぐ次の部屋で次の実技を行うため、いったん失敗して引きずると負の連鎖が起こりうる。合格率は高く、小さなミスは問題ないから気にしない。よほどの失態が何部屋も続くなどしなければ合格するようだ。少なくとも、過去の受験者に形式と雰囲気くらいは聞いてから臨んだ方が良い。

 

体験談⑰

おもに筆記対策から、6月から勉強を始めました。

【筆記試験】

過去問5年分3回とまとめファイル筆記対策を1回通読。参考書は麻酔科学スタンダードⅠ〜Ⅳ。A問題は2択問題が増えたが、過去問で出ている知識なら自信を持って答えられた。B、Cの新作問題はやはり自信は持てず難しく感じられたが、人並み程度にはできたかな〜という感じ。

【口頭試問・実技試験】

おもにまとめファイルの口頭試問対策を通読した後、「合併症患者の麻酔 スタンダード」を全部読んだ。まとめファイルは答えを隠しながら答えを自分で考えて。あまり口に出しては練習しませんでした。

初日12:00組。集合場所に集められて30分説明を受けた後、2列ずつ会場へと誘導される。次の2列が誘導されるまで30分くらい。結局、13:30過ぎに試験場へと誘導され、まずは業務用エレベーターで8,9Fまで。私は8Fでおろされました。フロアすべて使って(!)試験が行われます。廊下の両脇に椅子があり、各部屋が試問部屋、実技の各部屋になっており、次々に案内されます。エレベーターをおりたら即試験開始で、終わるまでは本当あっというまでした。

まずは口頭試問。試験官は2人、リアクションはあまりなしなので、答えている最中不安になります。

問1:70代女性、普通の体型、past heavy smoker、1秒率65%、脳梗塞後で5日前までバイアスピリン内服。肺癌に対しVATS右上葉切除予定。

①  あなたなら硬膜外麻酔使いますか?その根拠は?

②  麻酔薬とその理由

③  PCVかVCVか?設定細かく。圧、TV、換気回数、IE比など。

④  術中SpO2が90%に低下、まだまだ下がりそうな時、どう対処するか5つ

⑤  術中EtCO2が急激に低下、考えられる原因3つ

⑥  硬膜外以外で使える局所鎮痛法2つ

⑦  iv-PCAの組成、使い方具体的に

今考えると普通の問題な気がしますが、緊張のあまり簡単な用語も結構出てきません。話す練習の大切さを痛感しました。また、得点となる項目は決まっているので、よけいなことをぺらぺらしゃべるより、その症例に限った答えをポイントを絞って言った方がよさそうでした。

問2:在胎26週?800g台で生まれた4ヶ月の男児、生後1ヶ月ほど挿管、さらに1ヶ月ほど酸素投与されていた。両側鼠径へルニア根治術予定。

①  術前に心配されることとそれに対して必要な診察、検査

②  乳児の換気挿管で気をつけるべきことを解剖学的特徴とともに5つ

③  術中管理で注意すべきこと(呼吸以外で)3つ

④  使用可能な局所麻酔法、使う薬と量

⑤  術後とくに気をつけるべきこと

5つ中4つ、3つ中2つしか言えなくてもあまり考える時間はくれませんでした。時間が押していた訳ではないので、そのくらい言えればいいということ?結構上の空になってしまい、質問を聞き返したりもしましたが大丈夫でした。

問3:接遇問題

5日後に椎弓形成予定。術前検査でHbA1C10台。整形外科医に延期を勧める設定。

自己紹介をして、「血糖コントロールをしないとこういう合併症の危険もあるので〜」と説明するが、「じゃあコントロールはどうやってやるか?」とか「追加の検査はしたほうがいいですか?」と結構突っ込まれる。あげくに「結構麻痺進行してて早くやりたいんですけど〜」と言われ、「いや、麻痺進んでるなら5日のうちにできる限りコントロールして、やるしかないですかね〜。リスクについてはこちらからも話しますが・・・」と完全負けモードになりましたが、大丈夫だったみたいです。突っ込みに関しては、今考えるとヒントだったのかな?

終了後は「緊張するよね〜」とか、「筆記むずかしかったんでしょ?」とか雑談ありで、とたんにフレンドリーでした。終わったときの感触は、全然できなかった・・・また来年かな(泣)という感じでしたが、無事合格できました。

実技試験は、4部屋に分かれています。私は

①  迅速導入(研修医に教えるつもりで)

②  脊椎麻酔(手袋はめるところから、覆布のかけかた、消毒薬の名前、穿刺、薬の入れ方)、ボランティアにエコーあててTAPブロック(筋の名前、局麻入れるところ)

③  ACLS(麻酔導入後PEA、心マしてボスミンいれたらVF、ショックで終了)

④  麻酔器の始業点検

でした。ほかに腕神経叢ブロック斜角筋間法、CV(エコーガイド内頚、鎖骨下)、分離肺換気が出たグループもあったそうです。かなりくだけた感じであまり緊張しませんでした。

まとめファイルはとくに口頭試問でかなり役に立ちました。大体1ヶ月前までには一通り目を通しておきました。ただ今回心外、TEEが出題された人もいたようで、過去問以外にも対策した方がよさそうです。

勉強も試験自体もかなり大変でしたが、合格した喜びはいままでの試験の中でも1番でした。

 

体験談⑱

私が専門医試験の勉強を開始したのは卒後6年目の半ばでした。受験の一年ほど前です。私の麻酔科での経験では、頭頸部・一般外科・泌尿器科の手術や、救急集中治療に当時在籍していたことから救急集中治療にも自信を持っていましたが、心臓外科・小児科・産科・神経ブロック・ペイン全般は限られた経験しか無く苦手意識を持っていました(今でも)。卒後7年目に受験した際は、口頭試問で腕神経叢ブロックとペインが出題されてしまい、あえなく撃沈してしまいました。やはりやったことが無い麻酔は相当の知識量が無いと太刀打ちできないと思います。その際、試験官に言われた言葉(「ブロックとペインはやったことないの?」)はトラウマとなって一年間私を悩ましました…。

 

翌年の受験に向けてまず強化したのは神経ブロック全般とペインに関する知識の強化でした。Q&Aシリーズ・LiSAのバックナンバー・Miller麻酔科学・実践24症例などを乱読し自分なりにまとめたりしました。また、心臓外科・小児科・産科に関してもQ&Aシリーズ・小児心臓麻酔マニュアル(by 森田潔先生)などを通読しました。当時在籍していた病院の母体医局にお願いして大学で心臓麻酔・小児麻酔をかけさせてもらったりもしました。卒後六年目から救急集中治療にいたので麻酔の知識のブラッシュアップ目的で「麻酔科学レビュー 2013―最新主要文献集」も通読しまとめました。そういう訳で過去問には試験半年前まであえて手を付けませんでした。ちなみに、口頭試問は第50回くらいから急に傾向が変わってきて難しくなっています。ここ二三年分については過去問だけではなく、関連分野について教科書を読んでおいた方がいいと思います。例えば、MRIにおける麻酔など。

試験半年前から過去問を復習し始めました。試験一ヶ月ほど前になったところで実際に口頭試問の練習を嫁さん(Ns)と始めました。その際役に立ったのが、Salaryman anesthesiologist先生の「まとめファイル」でした。嫁さんに問題を出してもらい、私が答え、それをチェックしてもらうことで、効率的に勉強することが出来たと思います。稲田先生の「口頭試問の達人」にも記載がありますが、必ず他人と声を出して練習するのがポイントです。目線や声の大きさなど自分で気がつかない悪い癖などを指摘してもらった方がいいと思います。

Salaryman先生の本の口頭試問の分野以外は手を出さなかったのですが、筆記についてもいいと思います。

2回目の口頭試問では、リウマチ患者の意識下挿管とまたしてもペイン!が出題されてしました。完璧に答えられた訳ではありませんが、練習の成果と試験官が優しかったおかげで無事合格することが出来ました。2回目を受験して改めて思ったのは、経験したことがない分野についてスラスラ答えるのはかなり難しいということです。1回目の時は、試験の合格率が8割ということもあり、「きっと大丈夫だろう」と気楽に考えていました。また、初めての方は誤解していると思うのですが、麻酔科学会が開示している口頭試問の過去問は問題がすべて書いてありますが、実際の試験の時は2〜3行しか書かれていない紙(例えば「心臓に持病がある○歳男性が頸椎の手術を受けることになりました」)しか渡されないので、試験官が話す内容をきちんと聞いていないと問題を聞き逃すことになり、一時も気を抜くことが出来ないです。また、これは偏見かもしれませんが、女医さんの試験官は厳しいですので要注意。一般的に男の先生の方が優しいです。

専門医試験は過去問がきちんとしている筆記試験の方が勉強しやすいことから、多くの先生は口頭・実技は手薄な状態で試験に臨むのではないでしょうか。ですが、口頭・実技こそがピットフォールとなります。「まとめファイル」の良かったところは見やすい、持ち運びやすい、常識的な答えが載っているというところです。現在口頭試問対策の本としては「口頭試問の達人」しかありませんが、冗長に感じる点が多いのと、日本の試験にはぴったりマッチしているとは言えない気がします。もちろん勉強にはなるのですが。

「まとめファイル」は\15000とやや値が張りますが、作った先生の労力を考えるとかなり安いのではないかと考えます。麻酔バイトに行った方がずっと儲かるでしょうに。合格者の1人として購入をお勧めします。

以下に口頭試問を受験した際に感じた心がけを記します。

専門医試験心がけ

1、      救急・ICU分野では、「当たり前」のことしか出題されないと思うべし。

2、      分からなくても謝らない。

3、      堂々と返答する。

4、      出題してきた先生の方のみ向いて喋る。両方に視線を向けない。

5、      「このレントゲンの何を見ておきますか。ポイントを5つ述べておきなさい」という類の問題では、病変だけはなく、例えば、胸水無し、気胸無し、皮下気腫無し、縦隔偏位無しといった、「当たり前のこと」を聞いている事が多い。病変と関係ない事を聞いているので、それに注意。

6、      「この症例で注意すべき点を5つ述べよ」というときは、この症例特有な事意外に、「鎮痛をしっかりする」、「循環動態を保つ」などの当たり前の事も答える。

試験官への質問はあまり良くないみたい。

7、      大きな声で。

8、      常に冷静で。

9、      やったことがない分野でも「分かる」、「出来る」と思え。しょせん、どのオペの麻酔でも一緒!

体験談⑲

【症例1】:高齢の女性、RAがあり頸椎C1/2の後方固定を腹臥位で行う。

質問1:前屈位と後屈位で頸椎レントゲン側面像。所見をポインターを使って述べて下さい。(画像提示)

→アライメントのズレ、硬化があるためか透過性が下がっている。環軸椎亜脱臼を指摘。

質問2RAの問題点を述べて下さい。

→開口障害、後屈障害、ステロイド内服、無理なく体位を取れるか、末梢確保困難、内蔵病変

 

質問3:ステロイドを内服していますがどうしますか。ステロイドカバーについても述べて下さい。

→通常内服+ヒドロコルチゾン100mgをdiv+8時間毎+POD1から漸減中止で内服移行。

質問4:開口障害があり、患者の協力を得てファイバー挿管をすることになった。鎮静に使用する薬剤と量を述べて下さい。

→プロポフォール20mg程度、フェンタニル50mcg程度を患者の様子を見ながら。

質問5:ファイバー挿管に際して局所麻酔を施行します。どのようにしますか。

→甲状輪状間膜穿刺、ファイバー越しにspray as you go、ブレードが入る分だけの開口が得られるなら直接噴霧。中毒に注意する。

質問6:挿管の経路を根拠をつけて答えて下さい。

→チューブ1本分だけ開口が得られれば経口ファイバー。経鼻は鼻出血が問題となるため、第二選択とします。

質問7:仰臥位から腹臥位に体位変換する際に注意する事は何ですか。

事故抜管、点滴の事故抜去、気管チューブのズレ・折れ、変換後の目の保護、循環変動、周りのスタッフに対して音頭を執ること。

質問8:腹臥位の合併症を4つ述べて下さい。

→結膜浮腫、視力障害、コンパートメント症候群、気道浮腫、抜管後の気道閉塞

質問9:術中MEPを使用します。この麻酔を可能にするポイントを二つ挙げてください。

吸入麻酔を避けてTIVAでする。筋弛緩モニターをする。

質問10:筋弛緩モニターはどのモードでどのように管理しますか。

TOF四連刺激を用い、2/4反応が見られる程度に管理する。

質問11:C1/2の横突起付近にスクリューを入れる模式図(画像提示)、合併症は何ですか。

→椎骨動脈損傷。

【症例2】子宮癌の手術後の患者。夜寝返りを打つ際に右の大腿部に電気が走るような激しい痛みがある。

質問1:腰椎レベルのMRI画像の提示。所見をポインターを使って述べて下さい。

→右の神経根付近に境界不鮮明に腫大している箇所がある。腫瘍の直接浸潤か転移によると思われます。

質問2:この痛みの原因は何ですか。

→神経障害性疼痛

質問3:痛みに対してNSAIDSを使用しているが効果がありません。どうしますか。

→オピオイドを使用する。

質問4:具体的に何をどれだけ使いますか。

→経口モルヒネを60mg程度から?

質問5:このような痛みをなんと言いますか。どのような剤型の薬を使いますか

→突出痛。液剤・散剤・座剤。

質問6:突出痛に対して何をどれだけ使いますか

→モルヒネを1日量の1/6?

質問7:このような患者さんを診察する上で何に注意して診察をしますか。

→痛みの部位、性状?

質問8:オピオイドの副作用に眠気があります。他の副作用2つを挙げてそれぞれに対してどう対応しますか。

→便秘は耐性ができず、マグネシウム、センナ、ピコスルファートを使う。

→悪心は耐性ができるが、メトクロプラミド、ドロペリドール、オンダンセトロンを使う。

質問9:オピオイド以外に何が有効ですか。作用機序の違うものを4つ挙げて下さい。

→抗不整脈薬、抗てんかん薬、抗不安薬、ステロイドです。

質問10:そのような薬をまとめて何と言いますか。

→鎮痛補助薬です。

【ロールプレイ問題】

腹腔鏡下胆嚢摘出術に対して全身麻酔の予定の患者がいます。先生は患者さん術後に嗄声が起きる可能性があることを伝えてあります。

質問:私は歌手をしていて声が枯れては困ります。どのくらいの頻度でおこるのでしょうか?どのくらいで治りますか?友達が~~マスクを使って手術をしたと言っていました。私は駄目ですか。

→嗄声はそれほど多い合併症ではありません、100人に数人おこるかどうか?です?今回はお腹にガスをためて行う手術で、手術中に色んな姿勢をとる可能性があり、胃の中の強い酸が横道に入ると大変です。お友達の言われる~~マスクではしないほうが良いと思います。声が枯れたとしても通常は数日で軽快するものが多いですが、声帯の骨がずれたり、神経がしびれたりすると数ヶ月や年の単位でかかるものもあるかもしれません。私たち麻酔科医が優しくのどに管を入れますし、管に付いている風船がのどもとに当たらないように注意をすると予防に繋がります。術後ものどの加温・加湿のマスクをすると喉に優しく、安心だと思いますよ。

質問:どうしてものどに管を入れないと駄目ですか。

→お勧めしません。気管挿管による全身麻酔が安全だと思います。

質問:どうしても?

→駄目です。